主人公総受け物語~時オカ編~
第8話『探索! 森の神殿』
前書き
リンク達、いよいよ森の神殿のガサ入れ…じゃなくて探索開始!
リンク「…ん、ふわぁ〜。あっ、サリア、ゼルダ、おはよう。俺、寝過ごしちゃった?」
ゼルダ「おはようございます。いえ、丁度良い時間ですわ」
サリア「今日も頑張ろうネ、リンク」
森の神殿に来てから一夜明けて、揃って起床したリンク、サリア、ゼルダ。ジョオ、ベス、エイミーお手製の朝食を食べ終わると、大広間で探索前の打ち合わせに入る。
リンク「あれ? メグはまだ帰ってきていないの?」
ジョオ「えぇ。リンク達が来てからここには帰ってきていないわ」
ベス「メグ姉さんが帰ってこないのは心配だけれど、まずリンク達の探索の手伝いをするのが先だわ」
エイミー「お姉様なら…、大丈夫…」
リンク「そう…」
リンク達が森の神殿を訪れてから、幽霊四姉妹の長女・メグは一度も姿を見せていない。メグのことが気がかりになるリンク達であったが、今は森の神殿の探索に集中することにする。
リンク「じゃあ、俺達は入口から見て左側の扉から回るからジョオ達は反対側から探索してくれるかい?」
ジョオ「えぇ。最終的に2階中央の大部屋で落ち合うようにしましょう」
事前の打ち合わせもしっかり行ったところで、リンク達とメグを除く幽霊姉妹の面々は森の神殿の探索を始める。
リンク「ここを最後に探索した日っていつのことだろう? でも、いつ来ても変わっていないなぁ。この捻れた通路とか」
ゼルダ「不思議ですわね。通路が真っ直ぐな状態か捻れた状態かで行き先が決まるなんて…」
サリア「こんな通路がある神殿ってここだけじゃない? あっ、リンクはここ以外にもハイラル全土の神殿をまわっているのよね?」
リンク「まぁね。この森の神殿の捻れた通路はまだ序の口だよ。時の神殿を除く5つの神殿での体験は、話すにも話しきれないよ。あっ、ちなみにこの通路は捻れた状態でないと、幽霊四姉妹と落ち合う場所に行けなくなるんだ」
ゼルダ「私、ハイラルの姫君ですのに、まだハイラルについて熟知していないことをたった今痛感しましたわ。むしろ、リンクの方がハイラルについてお詳しいですわ」
サリア「うん、実際に経験したことがリンクにしっかり身についている。一見簡単そうで簡単には出来ないことをリンクは出来ているわ」
リンク「いやぁ、それ程でもないよ。それに、俺がここまでやって来れたのは俺一人の力じゃない。ゼルダやサリアはもちろん、ハイラル全土に住むみんなのおかげだよ」
ゼルダ・サリア「「リンク…」」
リンクが放った一言はゼルダとサリアの心を温かくさせた。実は探索を開始してから時間は経っているが何も目ぼしいものが見つかっていない。3人の精神的疲労感が募ってきた時に、このリンクの一言は非常に大きいものとなった。
リンク「この通路を抜けて出た部屋の右側に扉があって、扉の向こうに幽霊姉妹と落ち合う大部屋へとつながる階段部屋があるんだ。俺も気を付けておくけど、何か見つけたら知らせてね」
サリア「分かっているわよ、リンク」
ゼルダ「あなただけに全ての負担は負わせませんわ」
リンク、サリア、ゼルダは、間もなく捻れた通路を抜ける。ちなみに、森の神殿には捻れる通路が今リンク達の通っているものの他にもう一つだけある。幽霊姉妹と落ち合う予定の大部屋(ゲーム本編ではここに‘妖精の弓’があった)を抜けた先にあるのだが、今回はその通路の事には触れないので悪しからず。
ゼルダ「通路を抜けて右側…!?」
サリア「あ、あれは、フォールマスター?」
リンク「なんだか、様子が変だね。ちょっと近づいてみよう」
階段部屋へとつながる扉に向かう前に、手のひらを上に向けたままぐったりしているフォールマスターを発見したリンク達。リンク達は急いでそのフォールマスターの下へと駆け寄る。
サリア「ひ、酷い…。傷だらけよ」
リンク「どうやら、何かに襲われたようだね。フォールマスター、大丈夫かい?」
リンクの呼びかけに意識を取り戻した様子のフォールマスター。直ぐに本来の体勢に戻して、自らの身に何があったのかをジェスチャーでリンク達に伝える。
ゼルダ「つまり、いつも通りにこの神殿の警備をしていたら、後ろから拘束されてその後叩きのめされたというわけですね」
リンク「それで拘束されるまで、後ろから何者かが来るのに気が付かなかったと」
自分のジェスチャーが通じたのか、うんと言いたげに指を動かすフォールマスター。
サリア「あなたを襲ったのって、気配を消すことも出来るの? なんだか厄介ね」
リンク「とにかく、ゼルダの持っているクスリで手当てするからしばらく安静にしていてね。傷の状態からして、だいぶやられたみたいだし…」
リンク達は直ちにフォールマスターの傷の手当てを行う。手当を終えると、部屋の隅で少し手を握ったような状態になって、安静になるフォールマスター。
リンク「大丈夫。君の仇はとってあげるからね」
ゼルダ「えぇ、あなたを襲った張本人を絶対に許しませんわ」
サリア「アタシ達でやっつけてあげましょう」
フォールマスターの仇を撃つことを誓ったリンク達は、階段部屋へと続く扉を開けて幽霊姉妹と落ち合う予定の大部屋へとまた歩みを進める。階段部屋を順調に進んでいたその時だった。
『キャアアアアアアアア!』
サリア「!? 今の声って…」
ゼルダ「幽霊姉妹の方の声では?」
リンク「ジョオ達に何かあったんだ! 急ごう!」
ジョオとベスの叫び声を聞いたリンク達は、急いで叫び声のした大部屋方面へと向かう。そして大部屋の扉を開けてみると…
ジョオ・ベス「「う、うぅ…」」
エイミー「……」
そこには、床に蹲っているジョオとベス、そして何かに備えて構えを取っているエイミーの姿がそこにあった。
リンク「い、一体何が起きたというのだ…」
この現場の状況に至るまで、幽霊姉妹の身に何が起きたのだろうか。そして、この大部屋で駆けつけたリンク達を何が待ち受けているのか…
続く
後書き
次回、姿見えなき相手と対峙!
作品名:主人公総受け物語~時オカ編~ 作家名:天の河