主人公総受け物語~時オカ編~
第4話『森の聖域での異変』
前書き
リンク、離ればなれになった相棒を探し求めて、再び旅立つ!
リンク「何度来ても、この森は複雑だなぁ」
サリア「えぇ。ここ最近、森の植物を狙った野盗が迷い込んでそのまま出られなくなったっていうのも聞いているわ」
リンク「おかげで、迷いの森に行ってはスタルフォス退治という仕事が増えたよ」
現在リンクとサリアが進んでいっている『迷いの森』は文字通り、一度入ったら抜け出すのは困難を強いられる場所として有名である。また、昔から『迷いの森』に迷い込んだものは大人ならスタルフォス、子供ならスタルキッドになると言い伝えられている。
サリア「コキリの植物は貴重な栄養源や薬にもなるから、高く売れるのよね。でも、野盗に関しては自業自得としか言いようがないわ」
リンク「うん。とはいえ、この森は俺とサリアにとっては庭みたいなものだから迷わず進むなんて朝飯前だけどね」
リンクの言うとおり、リンク、サリア、その他コキリ族の面々はこの森に関しては何度も足を踏み入れている為、迷い込んで帰って来れなくなるというのはほとんどない。その事実を象徴するかのように、リンクとサリアは難なく進んでいき、奥には神殿を構える森の聖域へと抜けた。
リンク「…サリア、何だが様子が変だね」
サリア「うん、いくらなんでも静かすぎる。オコリナッツ達もどこかへ行ってしまったようだし…」
森の聖域へ入った直後、リンクとサリアはいつもと違う異変を感じていた。2人はほぼ毎日のように奥の神殿の前まで行ってはオカリナ演奏をしていた為、その点の事情には結構敏感になっている。
サリア「なんだか、神殿の様子も変。幽霊四姉妹の皆さん、大丈夫かしら?」
さらに言えば、森の賢者であるサリアは森の聖域の最奥部に位置する『森の神殿』から感じる異変をも感じ取っていた。ちなみにサリアの口からかつてのリンクの敵だった幽霊四姉妹の名が出てきたが、サリアが森の賢者として目覚めてからは今までの敵意がなくなったのか、普通に彼女達との交流がある。
リンク「ジョオ達のこともあるから、とにかく森の神殿に行こう!」
サリア「そうネ、何か分かるかもしれないし!」
リンクとサリアは、森の神殿を目指して聖域内にある迷路へと足を踏み入れたその時だった。
アオォォォォォン!
リンク「!? こ、この、鳴き声は!?」
ヒュン! ヒュン!
リンク・サリア「「!?」」
何かの雄叫びとともに、リンクとサリアの周りを囲うように数体のウルフォスが出現した。
リンク「くそぅ、こんな時に!」
サリア「どうやら、アタシ達の行く手を阻んでいるようね…」
リンク「サリア、アイツらを片付けるのを手伝ってくれないかい?」
サリア「えぇ、そうしないと先に進めなさそうもの」
突然現れたウルフォス達を前にして、リンクとサリアは応戦することになった。リンクはコキリの剣、サリアはスタルキッドから提供された短刀でウルフォスに対抗している。今まで数多くのモンスターと闘ってきたリンクはもちろん、サリアも森での生活が長いおかげなのか動きが俊敏である。
リンク「ていやぁぁぁぁぁ!」
サリア「はぁぁぁぁぁ!」
アオォォォォォ!
ウルフォスは自らの身体を守る術が腕を使ったガードという点に加え、攻撃直後にかなりの隙が出来る。リンクもこのウルフォスとは何度も出くわし倒しているので、楽に決着がつくかに思われた。だが、
リンク(おかしい。いつもならすぐに倒せるはずなのに、何度切りつけても一向に倒れる気配がない…)
ウルフォスの弱点をもう一つ付け加えるとすれば、非常に防御力がない点である。本家時オカではリンクのジャンプ斬りの一撃で瞬殺できる防御力の無さなのだが、目の前のウルフォス達はジャンプ斬りはおろか、幾度か剣で切り付けても何ともなかったかのようにリンクとサリアに反撃を仕掛けてくるのだ。
サリア「だ、駄目。これじゃあ切りがない…」
リンク「…一体どうなっているんだ?」
1体を倒してもまた1体現れ、また1体倒してもまたまた1体現れ、というふうにイタチごっこの状況に、疲労の色が隠せないでいるリンクとサリア。こういった複数のモンスター相手ならディンの炎で一網打尽にできるのだが、今使えばサリアにもダメージを被らせることになる。
リンク(くっ、このままじゃ俺たちが森の神殿に行く前にやられてしまう!)
リンクとサリア、まさに絶体絶命の危機に陥っていた。すると、そんな状況を打開するかのようにある人物の声が聞こえてくる。
???「リンク! それはウルフォスではない!」
サリア「だ、誰!?」
リンクとサリアが振り向くと、そこにはこのゼルダの伝説シリーズには絶対に外せない人物の姿があった。
リンク「ぜ、ゼルダ!」
そこに現れた人物とは、今は仮の姿・シークに扮しているハイラル国王女・ゼルダだった。彼…もとい彼女がこの場に現れた真の目的とは果たして…
続く
後書き
前回の後書きにて、姫様登場と言っておきながらその出番が終盤のみというオチ(汗)
作品名:主人公総受け物語~時オカ編~ 作家名:天の河