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機動戦士ガンダムRSD 第10話 父の呪縛

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「はいはい、これか。
どうだった?」
 エリオット少尉は、ニヤニヤしながらニール少尉に質問した。
「エリオット少尉がやたらと薦めてくれる理由が分かったよ」
 ニール少尉は、納得したように言った。
「そうだろう、そうだろう。
ちなみにエリオット少尉は、どの子が気に入ったんだ?」
 ニール少尉は、好みの子を聞いてきた。
「そうだな。
後ろの方に載ってたかわいい子だな」
 エリオット少尉は、その子を思い出したのか突然ニヤニヤした。
「あの子か。
そういえばあの子は、何となくケイト中尉に似てると思わないか」
 エリオット少尉もその子を思い出すと気付いたように言った。
「そうか?」
 ニール少尉は、否定的だった。
「あれ?
そうでもなかったか。
結構似てると思ったんだが」
 言い終わるとエリオット少尉は、何かを思い出した。
「どうした?」
 ニール少尉は、そんなエリオット少尉を不審に思った。
「ちょっと話があるんだが」
 エリオット少尉は、そういった。
「別に良いけど」
 ニール少尉は、特に問題なかった。
「よし、場所を移そう」
 エリオット少尉が提案した。
「ここでは、ダメなのか?」
 ニール少尉が怪訝そうに聞いた。
「ここだとちょっとな」
 エリオット少尉は、勿体つけるように言った。
「良いけど」
 ニール少尉は、問題ないと言った。
(ひょっとして新作ビデオの入荷かな?)
 ニール少尉は、そんな期待を持っていた。
「じゃあ場所を移すか」
 2人は、移動し始めた。
 2人は、人気のない廊下にいた。
「ここでいいか。
人もいないし」
 エリオット少尉は、適当な場所だと判断した。
「それでなんだ?
新しいビデオの話しか?」
 ニール少尉は、期待しながら聞いた。
「いや、違う」
 しかしエリオット少尉は、即効否定した。
「すると本でもないか」
 ニール少尉は、エリオット少尉の顔をうかがいながら可能性をつぶした。
「最近聞いたお前の噂というのを思い出したんだ」
 エリオット少尉が本題を言った。
「噂?
悪い噂か?」
 ニール少尉は、噂話と聞いて身構えた。
「むしろ良い噂だと俺は、思うけど。
知らせておいた方がいいかと思って」
 エリオット少尉は、ニール少尉の不安を取り除こうとした。
「気になるな。
何だよ、一体」
 ニール少尉は、じらされていた。
「最近遊撃艦隊の一部で『お前に彼女ができた』という噂がたってるんだ」
 エリオット少尉は、内容を言った。
「お、俺に彼女?
そんなわけないよ。
エリオット少尉ならその辺よく知ってるだろ?」
 ニール少尉は、驚いた。
「だと思った。
それで噂の彼女っていうのは、誰のことだと思う?」
 エリオット少尉が彼女が誰か聞いてきた。
「誰って」
 ニール少尉は、考えた。
(誰だろう。
仲のいい女の子は、割といるけど彼女だと噂されるなんて)
 しかし皆目見当がつかなかった。
「ケイト中尉だよ」
 エリオット少尉が答えを言った。
「俺とケイト中尉が?」
 ニール少尉は、驚きを隠せなかった。
「実をいうと俺も『あの2人って付き合っているのか』って聞かれたことがあるんだ」
 エリオット少尉が白状するように言った。
「聞いてきたのって女子か?」
 ニール少尉は、再び期待して聞いた。
「いや、男子」
 エリオット少尉は、再び即効で否定した。
「何だ」
 ニール少尉は、落胆した。
「それより実際のところは、どうなんだ?」
 エリオット少尉も噂の真偽が気になっていた。
「実際のところと言われても。
第251遊撃艦隊が全滅したころに初めて知り合ったくらいだぞ。
そんなの恋愛対象にならなんじゃないかな」
 ニール少尉は、自論を説いた。
「お前は、そう思ってるかもしれないが周りはそう思ってないということだ」
 エリオット少尉は、周囲の人の考えを説いた。
「そうなのか」
 ニール少尉は、疑っていた。
「それとひょっとしたらケイト中尉は、お前のことを『恋愛対象にならない』とは思ってないかもしれないぞ」
 エリオット少尉は、可能性を言った。
「さすがにそれは、どうだろう?
そんなことは、ないと思うけど」
 ニール少尉とてそれを望んでいないわけでは、ない。
ただその可能性は、きわめて低いと感じていた。
「でも悪くは、ないと思うんだけど」
 エリオット少尉は、そんなことを言った。
「ケイト中尉が彼女なんて想像がつかないよ」
 ニール少尉は、ケイト中尉が彼女なんて想像がつかなかった。
「そういうものなのか。
俺には、よくわからない」
 エリオット少尉は、理解に苦しんだ。

           ※

「1人1人のそういう気持ちが必ずや世界を救う。
夢想家と思われるかもしれないが私は、そう信じているよ」
 デュランダル大統領は、アスラン中将の考えをよく理解しその気持ちこそコーディネイターに残された唯一の勝利の道だと考えていた。
「はい」
 落ち着きを取り戻したアスラン中将がうなずいた。

           ※

 コロニーでは、再戦ムードが活発化していた。
「我々は、一方的な地球連合からの宣戦布告に抗議する」
「コロニーを護れ」
「軍は、何をしているか。
アダム総帥は」
「弱腰外交は、舐められるだけだ。
結果として戦争を呼ぶ」
「断固とした態度で我等ナチュラルの安全を護るんだ」

            ※

「だからその為にも我々は、今を踏み堪えなければな」
 デュランダル大統領は、ここが正念場だと考えていた。

            ※

 混乱する大西洋連邦のあっちこっちのモニターに突如ハロが映った。
「皆さん」
 そしてラクスが映り皆に呼びかけた。
市民は、その声を聞きモニターを見た。
「わたくしは、ラクス・クラインです」
 ラクスが自分を認識させた。

            ※

 それは、アスラン中将も見ており驚愕した。

            ※

「皆さん、どうかお気持ちを沈めてわたくしの話しを聞いて下さい」
 ラクスが話し始めた。
「ラクス・クライン?」
「ラクス様だわ」
「一体どうして」
 市民は、困惑していた。
「この度のコロニー軍による大量破壊兵器の使用によって核攻撃は、再び防がれました。
実に悲しい出来事です。
コーディネイターの創世となるはずだった光は、ナチュラルの巨大な欲望によって再び呑みこまれ驚き憤る気持ちはわたくしも皆さんと同じです。
ですがどうか皆さん。
今は、お気持ちを沈めて下さい。
怒りに駆られ敵と戦えば無駄な犠牲を増やすだけです。
デュランダル大統領と軍令部は、それを抑えるべく今も懸命な協議を続けています。
ですからどうか皆さん、常に平和を愛しコーディネイターによる新たな世界を模索している皆さんの代表であるデュランダル大統領をどうか信じて今は落ち着いて下さい」
 そこで演説は、終わり水の証が流れた。

            ※

「笑ってくれて構わないよ」
 デュランダル大統領の言葉にアスラン中将が驚いた。
「君には、無論判るだろう」
 アスラン中将には、これがデュランダル大統領のプロパガンダだということはすぐに分かった。