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機動戦士ガンダムRSD 第10話 父の呪縛

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そして先のラクスとの会話を思い出した。
「我ながら小賢しいことだと情けなくもなるな。
だが仕方ない。
彼女の力は、大きいのだ。
私の等より遥かにね」
 デュランダル大統領は、こういう時ラクス・クラインの巨大な影響力と自分の無力さを痛いほど思い知らされる。
アスラン中将もそれは、わかっていた。
だからこそこんなことをするデュランダル大統領を笑えなかった。

             ※

 大西洋連邦では、落ち着きが戻ってきた。
「ラクス・クラインがそう言うなら」
「ねえ」
「そうだな、彼女の言うとおりだ」
「俺、前の戦争の時ヤキンで彼女の言葉を聞いたんだ」

             ※

「馬鹿なことをと思うがね。
だが今私には、彼女の力が必要なのだよ。
また君の力も必要としているのと同じにね」
 デュランダル大統領は、意味深なことを言った。
「私の?」
 アスラン中将は、デュランダル大統領が何を言いたいのか分からなかった。
「一緒に来てくれるかね」
 するとデュランダル大統領は、立ち上がりどこかへ歩き出した。
アスラン中将もついて行った。
2人は、護衛2人と共に軍施設に向かっていった。
 そして格納庫の1つに向かった。
格納庫前では、数名の警備兵が立っていたがデュランダル大統領を認めるとロックを解除して扉を開けた。
そこには、モビルスーツが1機いた。
「これは」
 アスラン中将は、驚いていた。
「GAT-X29Sセイバーだ。
性能は異なるが例のカオス、ガイア、アビスとほぼ同時期に開発された機体だよ。
この機体を君に託したいと言ったら君は、どうするね?」
 デュランダル大統領は、機体についてと用途を説明した。
「どういうことですか?
私をファントムペインに異動するということですか?」
 アスラン中将は、自分が配属異動するのではと危惧した。
「そういうことでは、ないな。
ただ言葉の通りだよ。
君に託したい」
 デュランダル大統領には、その意図がなかった。
しかしアスラン中将は、疑っていた。
「まあ手続き上の立場ではそういうことになるのかもしれないが。
今度のことに対する私の想いは、先ほど君のラクス・クラインが言っていた通りだ。
むやみに敵に挑めば返り討ちになる。
そんな難しい状況下の中で願う通りに事を運ぶのも容易では、ない。
だから想いを同じくする人には共に立ってもらいたいのだ。
出来ることなら戦争は、避けたい。
だがだからといって銃も取らずに一方的に我々の理想を滅ぼされるわけにもいかない」
 デュランダル大統領は、力を持つ理由を言った。
アスラン中将も同じ考えだった。
「そんな時のために君にも力のある存在でいてほしいのだよ。
私は」
 デュランダル大統領は、アスラン中将にセイバーガンダムをたくした真意を言った。
「大統領」
 アスラン中将は、デュランダル大統領が自分にかける期待の大きさに驚いていた。

           ※

 サウス大尉は、ア・バオア・クーの食堂で食事をしようとしたところケイト中尉がいるのに気付いた。
「カニクリームコロッケということは、A定食か?」
 サウス大尉がケイト中尉のメニューを見て言った。
「そうです。
ちなみにB定食は、鳥のクリスピー揚げです」
 ケイト中尉は、肯定しB定食が何か言った。
「どっちもうまそうだな」
 まだメニューを決めていなかったサウス大尉は、その話で一層決定しにくくなった。
「ところでA定食は、どんな感じだ?」
 サウス大尉は、A定食の感想を聞くことにした。
「すごくおいしいです。
サウス大尉もA定食にしますか?」
 ケイト中尉は、A定食の感想を言った。
「食べてる途中だったのか」
 サウス大尉は、申し訳ないことをしたと感じた。
「水を汲みに来たところです。
ちなみにテーブルは、向こうです」
 ケイト中尉は、自分が何をしに来たかと席がどこか言った。
「1人で食べてるのか?」
 サウス大尉は、席を教えたことに違和感を感じた。
「本当は、ステファニー軍曹と食べようと思ったんですか急な用事ができたようです。
せっかくですから一緒に食べませんか?」
 ケイト中尉は、事の経緯と一緒に食事をしようと誘ってきた。

            ※

 アスラン中将は、デュランダル大統領との会談が終わり予約していたホテルに到着した。
エントランスには、狙ったようにラクスが座って待っていた。
ラクスは、アスランに気付き近づいた。
「アスラン」
 アスランもラクスに気付いた。
しかしアスランは、状況が呑めなかった。
「お疲れ様です。
ずっと待っていました」
 ラクスの言葉にアスランは、驚いた。
「どういうことですか?」
 アスランは、状況を理解するのに務めた。
「ザラ前大統領が私たちのために時間を作ってくださったのです」
 ラクスは、事の経緯を話した。
アスランは、驚き深いため息をついた。
「申し訳ございません。
こんな忙しい時に私的用件でお時間を取ってしまって」
 アスランは、ラクスに謝罪した。
「そんなことありませんわ。
私もあなたと一緒の時間を過ごせるのでうれしいですわ」
 ラクスは、笑いながらそういうとふと何かを思いついた。
「晩御飯は、食べましたか?
申し訳なく思っていられるなら一緒にいてほしいのですが」
 ラクスは、アスランを食事に誘った。
「はい、喜んで」
 アスランは、ラクスと共に予約されていた最上階の部屋に向かった。
 部屋に着き席に着いたアスランは、どこかうわの空で外を眺めるだけだった。
「大統領との会談で何かあったんですか?」
 ラクスもそれに気づき気遣った。
「どうでしたか?
やはり核のことは、ショックでしたか?」
 ラクスは、うつむき暗い表情で質問した。
しかしアスランは、どうこたえるべきか返答に困り外を見た。
「そうでしたか」
 ラクスは、状況がかなり悪いと判断した。
「申し訳ない。
そんなことは、ない」
 アスランは、必死に否定した。
「本当ですか」
 ラクスは、先とは打って変わって明るく質問した。
「はい、会談はうまくいきました。
新型機も託されましたし」
 アスランは、あまり口外してはいけない軍事面のこともラクスに話した。
「安心しました。
実は、あの演説中も頭の片隅ではあなたのことを心配してましたのよ」
 ラクスは、アスランのことを心配していたと告白した。
近くでは、ハロがラクスの声に反応して脈絡のないことを言い続けていた。
 料理が運ばれてからもアスランは、外を眺めるだけだった。
「私は、ずっとなぜサオトメがあれほどの強さを持っているかを考えていたんです」
 ラクスが唐突にサオトメのことを話してきた。
アスランは、ラクスを見た。
「なぜナチュラルである彼があれほどの力を持っているか」
 ラクスは、何を考えていたかを言った。
「それで答えは、見つかったんですか?」
 アスランもその答えに興味を持った。
「護りたいものの大きさが違うことを思い出したんです」
 ラクスは、サオトメの強さを言った。
「どういうことだ?」
 アスランは、理解できず聞き返した。
「私がサオトメに拘束された時彼は、こういったんです。