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嫉妬と不安 1

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「お疲れさまでしたー。」
すずめは仕事が終わり、カバンの中に入れっぱなしにしていた携帯を見た。
もしかしたらやっぱり今日大丈夫になったかも…!
なんて、淡い期待を抱いてみてみたものの、まったくそんなものはなく、それどころか、返信すら来ていなかった。
ハー…。
大きくため息をつくと、ふっと、とある居酒屋のことを思い出した。

以前、すずめは仕事が早く終わり一人で飲みに行ったのだが、
あまりお酒に強くないせいか、かなり酔っ払ってしまった。
そのせいで、自分が住んでいる最寄駅の改札を、間違えて普段と逆側の方から出てしまったのだ。
そのことにも気付かず、ボーっとした頭で歩いていると、
魚の香ばしい匂いがした。
匂いを頼りに向かってみると、そこには、若者でも入りやすすそうな居酒屋があったのだ。
いい匂い...。
ドアに手をかけ、ちょうど入ろうとした時、オイ!と声をかけられた。
「ふぇ…?なんれ馬村がいるの?」
声の方向を見ると、恋人である馬村の姿があった。
「バイト帰りに駅でお前を見かけたんだけど、いつもと違う方向行くから心配してついて来たんだよ。」
「そっかー。そーなんらー。」
「...お前酔っ払ってるだろ...。誰と飲んだだよ...。」
ムッとしながら少し怒った口調で馬村が聞くと、
「一人だよーん。」
と、ニコニコしながらすずめが答える。
馬村は大きくたふめ息をつくとすずめの手を取り家に送ろうとしたのだが、
「やら!!ここ入るのぉ!」
と駄々をこね、
「はいはい、今度な。」
そういうと、無理やり馬村に家に送られた。

作品名:嫉妬と不安 1 作家名:けい