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C3-シーキューブアフター 壱

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同時、弥の意識は徐々に薄れていき。
「"まったく童子の分際で妾と体を重ねたいじゃと? は、冗談にしても笑えぬわ"」
冷たいこのはの声が耳に届いたと同時、弥の意識は無くなったのだった。



――《妖刀村正》。かつての戦国時代、血を求める呪われた妖刀として恐れられた《禍具》。その後、長い年月を経て、夜知春亮の父、夜知崩夏によりまだ幼い春亮の居る《夜知家》へとやってきた。
その頃の彼女は、まだ村正このは。と言う名前ではなく、自分をれっきとした妖刀と自負しており、血を求める習性は消えていなかった。
しかし、とある事故をきっかけに春亮に好意を寄せ、崩夏の作製した特注の鞘で刃を覆うことで自己暗示をかけ、温和な性格を作り上げ、以後、春亮の姉的存在として彼の面倒を見てきた。
そして春亮が高校生になって、フィアが《夜知家》にやってきて、様々な騒動の中、春亮に「好きだ」という自分の気持ちを伝える事になる。
しかしながら現在も《禍具》の呪い解きと、サラリーマンの二重生活に追われる春亮からはきちんとした回答はもらえていなかった。

そこへ弥がとんでもないことを言い出したものだから。
「うう……やりすぎたでしょうか」
「ふん。こんなエセハレンチ小僧などこれくらいがお似合いだ」
居間の畳に突っ伏しピクリとも動かない弥を仰向けに寝かせ、額に濡れタオルを、峰打ちした後頭部には氷枕で解放するこのはは、感情的に行ってしまっつた自分の行動を悔いていた。
「ふ、ふふ。それにしても久しぶりに聞いたぞお前の妾口調。なんだ? このエセハレンチ小僧に体をねだられてそんなに動揺したか? は、数百年と生きてきたにしては随分とアレだな」
「そ、そんな別に! ただいきなりだったし、春亮くんさいきん忙しくて家に帰って来ないことも多いし」
「ん? ハレンチ小僧は関係なかろう。おおアレか。俗に言う溜まってい……」
「ハレンチブロック!」
すぱーん。とこのはの手刀がフィアの小さな脳天に叩きつけられる。
「い、いきなり何をするか! 呪うぞあほー!」
「デリカシーの無さ過ぎるあなたが悪いんです!」
このはは春亮に好意を抱いているし、告白だって何年も前に行っている。けれど、こうも面と向かって言われると気恥ずかしさが出てしまう。しかもオブラートなんかに包まず、どストレートに確信を突かれたのだから。
――と。
「う……う〜ん」
二人の痴話喧嘩に割り込むように弥が呻いた。どうやら大事には至らなかったようだと、このはは胸を撫で下ろす。
「あれ……僕」
「ご、ごめんなさい弥さん! さっきはつい……」
あたふたと、手をぱたぱたさせるこのはを一度見、弥は天井に視線を移すと、
「いや、気にしないで下さい。僕は捨て子で《研究室長国》で育って、常識とか欠落してる所も多いですから。多分さっきのもそのせいだと思います」
「《研究室長国》? あの闇曲拍明のか!?」
フィアが警戒と驚嘆の入り混じった声を発する。
「はい。て、ああそうですよね。みなさん《夜知家》と《研究室長国》って。
お世辞にもいい関係では無いって聞いてますし」
「ますます信用ならん。おいウシチチ。さっさとこのエセハレンチ小僧をつまみ出さんか?」
半目で腕組みをしながらこのはに意見するフィア。
対してこのははどこか困った様な表情をしている。
このはは基本、おっとりほわほわな性格で(本性は違うが)いまぼんやりと天井を見ている弥が自分達に悪意を持ってやってきたとは思えなかった。
それに以前、成り行きとは言え《研究室長国》には助けてもらった例もある。
彼らはひたすら未知を求める集団で、結果的にそれが対立の原因となっていたに過ぎない。そして今、関係はほぼ絶たれている現状、彼らが何かをしてくるとも考えづらい。
「お話を、聞かせてもらえますか?」
「有難うございます。やさしいですね、このはさんは」
ゆっくりと弥は身を起こし、畳に正座すると、真剣な眼差しをこのはに向けて、
「結論から話すと、あと数日で日本が"戦国時代"になりかねません」
「戦国……時代?」
きょとんとした表情のこのはに対し、フィアは、
「おいウシチチ。戦国時代というのはアレか?
今もテレビでやってる人が人を斬り殺す時代のことか?」
「……はい」
思い出したくもない、自分が呪いの妖刀だった頃をこのはは思い出す。
「であるならば看過できんぞ。せっかく平和になったのに、また血が流れるなど」
フィアも自分が拷問処刑道具だった頃の記憶を思い出していた。血しぶき、人の悲鳴、無残に成り果てた人の残骸。そんなもの、二度と見たくはない。絶対に、だ。
「弥さん。もっと詳しく聞かせて頂けますか?」
「はい。今日本では新たな組織が水面下で結成されています。その名を《命脈維新》。彼らは呪われた日本刀の《禍具》を集め、今の日本を明治維新が起きる以前の、廃刀令が起こる以前の戦国時代に変えようとしている」
「何故そんなことを?」
「理由は室長でも未知なんです。だから既知に変えなくちゃならない。
けれど彼らは着々と世界中から日本刀の《禍具》を集め、武力を高めているそうです」
そこまで聞いて、このはの頭に一つ思い当たる節があった。一ヶ月ほど前、仲南アジアの紛争地帯で起こった出来事を。重火器で武装した双方の勢力が、何者かによって惨殺されたというニュースが報道されていた。
とても人の所業とは思えないと春亮も言っていたし、丁度調査に崩夏が行っている所だったのだ。
「お心当たりがありますか?」
「……はい」
服の胸元をぎゅ、と抑えながらこのはが返答する。
「ならお願いします。僕と一緒に《命脈維新》と戦って下さい。最強の日本刀であるあなたなら……」
「できません!」
取り乱すようにこのはが声を荒げる。
「どうして!?」
「私の呪いは既に解けかかっているんです。昔のように《禍具》のみを破壊する事も出来るかどうか……それに」
「分かっています。あなたがもう《禍具》として戦いたくない、人として穏やかに暮らしたいという事も。だけど放っておけば沢山の犠牲が出る。だからどうか!」
懇願するように弥は頭を下げた。
「ですから……私にはもう《禍具》としての忌能が」
「あります」
弥が一言で糾弾する。
「あなたの呪いが完全に解けていないのなら、この」
言って、弥は竹刀袋に入れていた《朱い鞘》を取り出した。
「《朱起源鞘》で本来の機能をあなたの人格を保ったまま引き出せます」
「ふん。信用ならんな。どうせそれも闇曲拍明が作ったものだろう?」
「そうですが、これはあくまで《人意禍具》なんです。元々呪われていたのではなく」
大きく深呼吸をして弥は、
「忌能を発揮して初めて呪いが発動する仕組みなんです」
だから、と続けようとした弥の言葉をこのはが、
「そんなの尚更感化出来ません! あなたが呪われてしまったら、私が呪ってしまったら! そんな事承諾できる筈がないでしょう!」