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機動戦士ガンダムRSD 第11話 選びし道

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「それにあの大量破壊兵器は、想定外だったにしてもMS開発技術が向上したからこその宣戦布告と考えれば充分オーブを守れる戦力になりえましょう」
 ウナトは、地球連合のMSの性能向上でMMの性能を超えたと推測した。
「しかし」
 カガリは、嫌な予感がしてならなかった。
「我々が二度としてはならぬ事、それはこの国を再び灼くことです」
 ウナトが自分たちの最大の過ちを言った。
その言葉にカガリは、どこか納得した。
「伝統や正義、正論よりもどうか今の国と国民の安全の事をお考え下さい。
代表」
 ウナトは、カガリに最優先で護るべきことを言った。

             ※

 臨時会が終わり関係者たちが議会室から続々と出て行った。
カガリは、大層疲れた様子で皆とは別方向に歩いて行った。
「カガリ」
 カガリが振り返るとユウナが早歩きで近づいてきた。
「大丈夫か?
だいぶ疲れてるみたいだ」
 カガリは、声をかけてきたのがユウナで落胆しため息をついた。
そしてまた歩き始めた。
その後ろをユウナが近づいてきた。
「先は、悪かったね。
でもあそこできちんと君に意見を言うのが僕の役目だ」
 ユウナは、カガリの肩に手を掛けながら言った。
「ああ解ってる、そんなことは。
私がまだまだ至らないだけだ」
 カガリもそれは、分かっており自分に非があると認識していた。
ウナトは、そんな2人を見て微笑んだ。
「こんなことでは、また首長達に笑われてしまうな」
 カガリは、自分の未熟さに落胆した。
「大丈夫だよ、皆も解っている。
ただ今度のこの問題が大き過ぎるだけだ。
君には。
ただ国を灼いた元国家元首の娘である君がまた同じことをするのかと心配してるんだ」
 2人は、廊下で立ち止まり手すりに両手をかけた。
「解ってるよ」
 カガリは、皆の気持ちを知っていた。
「兎も角少し休んで。
何か飲むかい?
それとも軽く何か食べる?」
 ユウナは、そういうとカガリを近くの椅子に座らせた。
「いや大丈夫だ。
ありがとう」
 カガリの声には、覇気がなかった。
「可哀相に。
君は、まだほんの18の女の子だって言うのにね」
 ユウナは、そういうとカガリの前に座りカガリの前髪を撫でた。
カガリは、その行為に驚いた。
「でも大丈夫だよ。
僕が付いているからね」
 ユウナは、そういうとカガリの額に接吻した。
カガリには、怖くて怖くて仕方なかった。

         ※

「いやしかしですね艦長、もう開戦してるんですよ?
宣戦布告されたんですから」
 リーンホースJr.の廊下では、ミハイル副艦長がマーカー艦長に出航を具申していた。
「解ってるさそんなこと。
けどしょうがないでだろ?
こっちは、物資の積み込みもまだ終わってないんだ」
 しかしマーカー艦長は、出航には万全を期したかった。
「いや、ですからもうそんなことを言っていられる場合ではないと申しているんです」
 だがミハイル副艦長も一歩も引こうとは、しなかった。
2人は食堂に入るとそこにはサオトメ、カレン中尉とエルヴィン中尉がいた。
3人は、マーカー艦長とミハイル副艦長に気付くと立ち上がり敬礼した。
しかしマーカー艦長は、制止させミハイル副艦長と共に席に着いた。
「焦る気持ちは、解るけどだからと言って今俺たちが慌てて飛び出して何がどうなる?
かえってバランスが微妙な時期でもあるんだ、ミハイル。
あのとんでもない第一派の核攻撃を躱されて地球軍も呆然としてるんだろ?
トリントン基地への攻撃隊も包囲したまま動けないみたいだし」
 マーカー艦長は、時期が時期だけに慎重に動きたいと考えていた。
「いや、だからこそですね」
 しかしミハル副艦長は、食い下がった。
「今α艦隊が下手に動いたら変な刺激になりかねないぞ。
火種になりたいか?
お前」
 マーカー艦長は、この艦隊が持つ力が強力であることを誰よりも熟知していた。
だからこそ変な動きをすればあの大戦の二の舞になりかねないという懸念があった。
「いえ、そんな」
 ミハル副艦長も地球軍と戦争したいわけでは、ないため否定した。
「情勢が不安定なら尚のこと艦の状態には万全を期すべきだ。
幸いオーブもまだ地球軍陣営じゃないからトリントン包囲艦隊の増援としてオーブ艦隊が派遣されることは、ないだろう。
だからもう少し事態の推移を見てからでも遅くは、ないだろ?
出港は。
軍本部からは、何も言ってきてはいないんだし」
 マーカー艦長は、現状を説明して出航時期を説いた。
「でしょうね。
まだですかね」
 乗員たちには、いつまでたっても命令が来ないため疲れが出始めていた。
「いつまでかは、知らないけれど」
 マーカー艦長もいつ命令が来るか予想できなかった。
サオトメは、黙ってその会話を聞いていた。

          ※

 地球軌道上では、コロニー軍の降下部隊が準備をしていた。

          ※

「第4戦闘軍の展開確認」
 サイド8の司令部では、部隊配置が報告されていた。
「しかしなんとも篩った言い回しですな、積極的自衛権の行使とは」
 アダム総帥が嫌味っぽく言った。
「そう言ってくれるな。
政治上の言葉だ、仕方ない」
 内閣官房長官のエドワード・マッドエーナが苦しそうに言った。
「第一派で現在包囲されているアーティ・ジブラルタル基地とトリントン基地から地球軍を追い払うというのはいいとしましてもその後は」
 アダム総帥は、アーティ・ジブラルタル基地とトリントン基地から地球軍を追い払った後のシナリオを気にしていた。
「さてどうなるかな。
無論我々とて先の大戦のような戦争を再びやりたいわけでは、ない。
国民感情を納得させられるだけの上手い落としどころ見つけ戦闘を終結させて後は、政治上の駆け引きということになるのだろうがまたも核を撃ってきたコーディネイターに対する憎しみは最早消えないだろうな」
 エドワード官房長官は、その後のシナリオを簡単に推測した。
「でしょうな」
 それは、アダム総帥もそれはできた。
「首相のお手並み拝見とうことになるか、その後は」
 エドワード官房長官は、ベルリ首相の手腕を見ようとしていた。

           ※

 その夜サンティエゴ基地では、キラ大佐が自室でコロニー軍の動きを傍受していた。
「やっぱりそう動くよね、コロニーとしては」
 寝室では、兵士たちが眠っていた。
 キラ大佐の自室の窓は、開け放っておりそこから外を飛んでいたトリィが戻ってきた。
トリィは、キラの頭にとまった。
キラは、トリィを右手に乗せた。
そしてに死神の鎌から護ろうと決めていたのに果たせず殺されたフレイとトールとの日常を思い出していた。
キラは、今度こそサオトメを自らの手で討とうと決めていた。

            ※

 朝アスランが泊まっている部屋をノックする音が聞こえた。
不審に思いドアを開けると殺気立ったイザークとディアッカが私服姿でいた。
「イザーク」
 その姿に驚いた。
「貴様」
 突然イザークが胸ぐらをつかみ押してきたため2人は、部屋の奥に入った。
「一体これは、どういう事だ」
 その後をディアッカが落ち着きながら入ってきた。