世界最後の一日1
さて、明日は地球最後。どう過ごすか考えてみよう。
テレビを見てもいいし、本を読むのもいい。
パソコンをつけて、気になるニュースを調べてみるのも面白いだろう。
いや、やめた。
しばらく考えてから、俺は椅子に掛かったジャケットをとると、袖に腕を通した。
飛行機はもう使えない。人がいないからだ。
では自家用ヘリで移動するとしよう。
かなり前だが、免許もとった。皮肉なことに、このような事態になるのに備えるためだ。
久しぶりに乗るから緊張する。
レバーを引いて、エンジンをかけた。
しばらくカタカタと音をたてた後、前進する。
フワッと機体が浮くのが分かった。
目の前に広がる景色は壮大で、思わず感嘆の声を漏らす。
「この光景、日本にも見せたかったな」
呟いたあと、一人で赤くなる。
どうして日本のことを考えてしまったのだろう。
気が付くと、航空路は「日本」になっていた。
自分の考えに若干赤面しながらも、俺は戻らずにその道を飛んだ。