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一年は組の席替え ノ段

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「やあ、乱太郎君達。何してるの?

輪になって唸っていた三人組の前にへっぽこで知られる事務員が通りがかった。

「小松田さん。こんにちは。
「補習授業っすよ。いつものように。
「小松田さんもいつものように事務のお仕事中ですかー?

元気よく挨拶をする乱太郎の隣できり丸は嫌味っぽく言った。
その更に隣のしんべヱはにこにこしながら小松田に尋ねた。

「そうだよ。この資料を道具管理主任の吉野先生のところに持っていくんだ。じゃあ授業がんばってね。
「「はーい。
「ん…?

小松田を見送る乱太郎としんべヱをよそに、きり丸は何かが頭に引っかかったので難しい顔をした。

「どしたのきり丸?
「小松田さんがどうかしたの?
「………。

おでこの辺りをコツコツしていたきり丸、そして突然、

「あー!!!
「「ひゃーーーー!
「わかったぞ!解けた!問題が!!

腹の底からの『あー!!!』に乱太郎達はひっくり返った。
当のきり丸は引っかかりが解け、喜ぶよりも閃いたことにびっくりしていた。

「解けた?何が?
「この補習授業の問題に決まってんだろ。さっきの小松田さんの言葉の中に答えがある。
「えー、うそー!?
「『花』を『桜』という暗号に置き換えるだけじゃなく、そっからもう一捻り必要なんだよ。
「『桜』からまた別の言葉に置き換える…?あ、そっかー!
「ええ!乱太郎もわかっちゃったの?
「とにかくしんべヱ、小松田さんの後を追うぞ!

答えにたどり着いたきり丸と乱太郎はしんべえを引っ張りながら教師達の長屋に向かった。



「おや。一年は組のよい子達、慌てた様子で何の用ですかな?

道具管理主任の吉野作造の部屋にあがった三人は、問題用紙を広げてそれを差し出した。

「お忙しいところすみません。ぼく達、補習授業の課題でこの問題に当たったのですが…。
「フム。『花のところへ行け』ですか。これがどうして私のところなのですか?
「忍者の暗号で『花』は桜です。そして桜といえば大和の吉野の桜が有名です。
「ほほー。
「つまり…えっと、えーっと…。
「「しんべヱ。がんばれ!
「花のところへ行けっていうのは、吉野先生のところへ行けということではないのでしょうか?
「…。

乱太郎・きり丸・しんべヱが順番に問題の説明をする。
吉野はそれを聞いてしばらくはいつもの笑っているような表情だった。

「よくできました。正解です。
「「「やったー!

一際目を細めると、右手の指で輪を作り乱太郎達に合格を告げた。
悲願を達成したかのように三人は肩を抱き合って喜んだ。

「正解なので、はい。席替え用のアミダくじです。
「よっしゃ。しかも問題は一個だけだ。
「ばんざーい!
「…暗号の問題一つで合格とは。もう少しがんばりましょうね、三人とも…。

喜び合うよい子の前で吉野は三人の実力の無さを改めて思い知ったのであった。

「ともかく、小松田君が来る前でよかった。彼が来ていたらこの部屋がメチャクチャになって、土井先生から渡されたその紙もどこかへ行ってしまったかもしれませんからね。
「あれ?そういえば…。

吉野の部屋に事務員の姿はない。

「ぼく達さっき校庭で小松田さんと会って追いかけてきたつもりだったんすけど。
「なんですと!?

吉野の細い目が思い切り開かれた。

「ぼく達、追い越して来ちゃったみたいですね…。
「あーもー。小松田くーん!!!

どこかで迷い人となった事務員を探しに吉野は飛び出していった。

「とりあえず、合格なんだよね?
「「たぶん。
作品名:一年は組の席替え ノ段 作家名:KeI