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同調率99%の少女(5) - 鎮守府Aの物語

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 工廠の一角で那珂が艤装をつけ始めた。その様子を書記の三戸と和子はタブレットとデジカメでそれぞれ撮影をする。
「うぅ〜……。なんか見られたらいけない部分撮られてるみたいで恥ずかしいなぁ〜。アイドルの裏っかわって撮られるもんじゃないっておばあちゃんも言ってたぞ〜」
「頑張れ、未来の艦隊のアイドルさん。」
 以前那珂が言っていた艦隊アイドルにわざと触れて提督がからかうと、那珂はプリプリ怒って恥ずかしがる。

 珍しく素で恥ずかしがっている親友の様子を目の当たりにした三千花は提督のそばに行って提督に打ち明ける。
「なみえの本気で恥ずかしがるところ、久々に見ましたよ。西脇提督、あの娘の今の様子結構貴重ですよ〜。」
「ははっ。そうなのか。じゃあ俺はじっくりネットリと眺めておこうかな?」
「提督さんも好きですね〜」
 肘で提督の腕をつっついてお互い笑い合う提督と三千花。そんな二人の様子に気づいた那珂はグッと睨みつけたが、二人はそんな視線は気にも留めない。那珂は諦めて本気でため息をつきつつ、艤装の装着を続ける。

 数分後、那珂は艤装の装着が完了した。艤装を身につけた那珂に三千花が質問する。
「ねぇ、艤装って重くないの?」
「ううん。そんなに重くないよ。那珂の艤装は制服以外で外側で身に付ける物少ないからね〜。」
 装着した本人に続き、明石が補足説明をする。 
「艤装はね、担当の艦によって形も大きさもまちまちなの。那珂ちゃんの艤装は、軽巡洋艦の艦娘の艤装の中でも、とにかく身軽さ・細かい作業ができるよう行動力重視で作られているのよ。その分防御が弱いけどバリアを出力する受信チップは多めだし、今のところうちの那珂ちゃんならそれを補って余りある性能発揮して活躍できてるし、ベストフィットしてると思いますよ。」

 那珂の艤装は見るからに重量ありそうな白露型(五月雨以前)と違い、その制服も艤装の一部とされているため、外部ユニットたる機器が少ない。そのためいざというときに身代わりにできる外装が少なくベースの防御性能が低い。その分装着者の身体能力をフルサポートして自由に動いて活動しやすく設計されている。奇抜な動きをすることのある那珂にとってはふさわしい艤装と制服なのだ。

「へぇ〜そうなんだ。普段と何が違うの?」
 と三千花が那珂の肩や腕に触れる。それに続いて和子も那珂の腕や腰、腰に付いている魚雷発射管に触る。(三戸はさすがに触れるのをためらった)
「今は同調してないから普段のあたしそのままだよ。だけど同調始めると、あたしはスーパーガールになるのだ〜」
 両腕でガッツポーズをする那珂。那珂と三千花がふざけあっていると、ここでもやはり明石が補足説明をする。
「3人とも。那珂ちゃんが同調始めたら彼女にうかつに触れちゃダメです。那珂ちゃんや川内っていう姉妹艦の制服含めた艤装はね、ほぼ全身電磁バリアで身を固めるから、素肌以外のところ触ったらダメ。本人が意図的に機能をオフにしてくれないかぎりは本当に危ないからね。あと、装着者本人の腕力や脚力も大幅にアップするから、同調し始めたら周囲に気を配るよう、注意しています。」

 明石の言葉には真剣味がある。本当に危ないのだと、三千花らはその空気だけでも艤装の取り扱いの注意具合を感じられた。
「とはいえ今日はデモンストレーションなので、電磁バリア関係はこちらで機能をオフにしちゃいます。だから安心して那珂ちゃんにペタペタ触ってもいいですよ。」
 明石の一言にホッとする三千花ら。

「じゃ、那珂ちゃん。出撃行ってみようか。今日はどうする?屋内からやる?それとも外からする?」
「撮影してもらいたいので、今日は外の水路から行ってみま〜す。」

 出撃用水路は2段式になっている。艤装が運び出せるくらいの重さなら自力で運び、外の出撃用水路の脇で艤装を身につけ同調開始して水路から海へと出て行く。それ以外の大きさやその他条件によっては、工廠の中にある屋内の出撃用水路から出られるようになっている。艤装を外まで運び出さずともクレーンで運ばれてくる艤装を一人ひとり順番に身につけていくことにより流れ作業で連続してスムーズな出撃に臨める。ただ、厳密な条件分けではなく、あくまでも目安である。
 水路は全部で3つ。屋内と屋外は別々というわけではなく、すべてつながっている。そして3つの水路は小さな湾へと流れ出て、さらには川へと出て、最終的には海へと流れていく。

 一行は工廠の最南の扉から出て外の出撃用水路に向かう。
「結構軽やかに歩くのね。」
 三千花は那珂が思ったより軽やかに歩く様を見て感想を述べた。
「あたしはね。けどさっき会った時雨ちゃんや夕立ちゃん、もう一人村雨っていう娘は、駆逐艦っていって、あたしとは種類が違うんだ。その娘たちの艤装はかなり大きいの。だから時雨ちゃんたちは同調して周りに気をつけて歩いて外の水路に行くか、屋内で艤装装備させてもらって出撃するの。そのままでも歩けないこともないみたいだけど、中学生の力じゃ同調してないと相当つらいみたい。」
 那珂は艦娘たちの出撃時の苦労を語る。三千花はそれを聞いてふぅんと、艦娘になる人たちって大変なのねとさらなる感想を口にした。