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同調率99%の少女(5) - 鎮守府Aの物語

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 三千花らはあっけにとられていた。どういう戦いが繰り広げられるか楽しみにしていた。が、なんか気づいたらもう終わってた、という感覚である。

「あ、あの……明石さん?何が起こったのか私達全然わからなかったんですけど……?」と三千花。
「あー、早すぎてわからなかったですか? 私もさすがにここまで早く終わるとは思ってなかったです。那珂ちゃんほんっと強いな〜。」
 さすがに早すぎて焦った明石は、プールサイドに出て那珂たちにルール変更を伝えた。
「ゴメーン、三人とも〜! さすがに終わるの早すぎるー。ルールちょっと変更します。もうちょっと弾当たってもOKにします!」

 終わろうと明石達の近くのプールサイドに移動しかけていた那珂たちは顔を見合わせた後、それぞれ片手でOKサインを出してプールの中央に戻っていく。
「よかった〜。私なんか宣言どおり真っ先にやられちゃいましたからね……。」
「でも実際私達リアルな戦闘だったら結構マジな致命傷よね〜。それにさみはいいけど、私は学校の制服よごれちゃったわ!」
「あはは……あとで工廠で洗って乾燥機借りよ? 夕方までには乾くよ。」
「チャンス到来だね〜二人とも。今度こそあたしをぜひとも撃破してね〜。」
 中学生二人のやりとりを遮って那珂は挑発する。決して好戦的な性格の二人ではないが、余裕かましている那珂に対し少しイラッときてやる気を見せ始めた。
「さみ、こうなったら作戦なんてなしよ。那珂さんを絶対見返すんだから!」
「うん。もう何がなんでも当てよう!」


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 その後展開された那珂vs五月雨・村雨の演習は、明石が決めたもう2〜3発当たったらアウトのルールも早々に形骸化した、ほとんど通常の演習モードになっていた。つまり、ひたすらガンガン当たり、当てられの乱戦状態である。艤装の健康状態が、那珂たちのつけたスマートウェアの通知にガンガン伝わる。小破・中破と変化し、弾薬やエネルギー率も変化を見せるが戦っている当の本人たちはいちいち表示を見ていられない状況であった。繰り広げられていた演習は、三千花ら傍から見ても砲雷撃による戦いが繰り広げているということがわかりやすい展開だった。言い換えると、戦略なしの単純な押し合いだ。

 書記の二人はプールサイドに出て、デジカメとタブレットで撮影を再開した。わかりやすく面白い戦いになっていたので、近寄って全編録らないともったいないと感じていたのだ。
 一方で三千花は、最初こそかわしまくっていたが次第に色とりどりのペイントがついていく親友の姿を見て、心配の気持ちなぞどこかに捨て去っており、ケラケラ笑いながら楽しんで応援しながら見るようになっていた。
 明石は最初から変にルール決めずにやっておけばよかったなと、提督から任されて意気込んで演習を仕切ってはみたが、至らぬ部分があったのを反省していた。そして頃合いを見計らい、すでに勝敗がわからなくなった演習を止めることにした。

「はい!それまでー!それまでそれまでー! ストーップ!」

 やや興奮気味になって周りの声が聞こえなくなっていた那珂ら3人は、明石の叫びの最後の方でやっと気づいて動きを止めた。その時の姿は、顔から膝の辺りまで至るところペイントでベットリの状態である。
 ハァハァと息を荒くしている3人は、誰ともなしにクスクス、アハハと笑い始めた。そして明石や三千花らの待つプールサイドへと移動していった。
 すさまじい姿になっている3人を見て、明石は演習の終わりを仕切った。
「3人ともお疲れ様です。結局普通の演習になっちゃったね。段取り悪くてゴメンなさいね。」
「ううん!むしろこの方が楽しかったから問題な〜し!」
そういう那珂の顔は口のあたりにペイントがついていて、若干しゃべりづらそうにしていた。

「お疲れ、なみえ。それに五月雨ちゃんに村雨ちゃん。」
三千花もねぎらいの言葉をかける。
「なんかスポーツやってみるみたいっすね。」
 三戸が素直な感想を述べる。すると和子も頷いて同意した。
「関係ない人から見ればそう見えるかもしれませんが、実際の深海凄艦との戦いはいろんなケースがありますから、こういう乱戦もたまにはアリなんです。……正直私の段取り悪かったですね。ゴメンなさい。」
 言い訳をしてはみたが、段取りの悪さはごまかせそうにない。そう悟った明石は正直に謝った。
「いえ、明石さん。そんなことないっすよ。明石さんが俺たちのために演習を再開してくれて参考になりましたし、結果オーライっす。」
「ありがとう〜三戸君。そう言ってもらえると助かるわ。」
 謝る明石に対し、三戸は励ましの言葉をかけてフォローをする。そんな彼の心の中は、大人の女性を励ます俺カッコいい!だった。