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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 25

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 アズールは、メガエラとユピターとは、かなり正反対の心の持ち主だった。
「ははは、まあ、確かにヒースさんが全て懸けてデュラハンまでの道を示してくれたんやしな。そうのんびりしてもいられへんわな……」
 アズールはロビンを見る。
「ロビン、今やソルブレード扱えるんは自分だけや。ヒースさんの遺志、継いだりや」
 メガエラとユピターの視線も、自然にロビンへと向いた。
「ふん、たかが人間ごときにソルブレード預けるなんて……、全く理解に苦しむわ」
「ロビン殿、貴殿からは不思議な力を感じる。人の子にしては溢れんばかりの清き力が。さあ、今こそソルブレードをその手に!」
「あ、ああ……」
 その場にいる全ての者の視線を一身に受け、ロビンはなんとも言えない緊張感に包まれた。
 メガエラからの見下すような視線、ユピターからの心の拠り所とされるような気持ち、アズールの妙に自信に満ちた様子。
 そして仲間達の期待を受けて、ロビンはソルブレードへと歩み寄っていく。
 ソルブレードは一ヶ月ぶりの太陽光を受け、その輝きを増していた。
 ロビンが近付くにつれ、ソルブレードも反応を示した。まるで剣そのものに意思があり、ロビンという持ち主が現れるのを待っているかのようだった。
 そしてロビンはソルブレードのもとへたどり着き、手を伸ばした。
「うわっ!?」
 ロビンは思わず驚いてしまった。
 柄を握りしめ、地面から引き抜くと、ソルブレードは予想以上に軽かったのだ。
 前に一度ソルブレードを手にした時は、両手でしっかり持たなければいけないほどの重さがあった。それが今や、ソルブレードは羽根のような軽さになっている。
 ロビンは、まるで木の枝を振り回すかのように、ソルブレードをあちこちに振るってみた。
「すごく軽い……、前は鉛の塊でも持ってるみたいだったのに、今じゃ何にも持ってないみたいに軽い!」
 ロビンは試しに、近くにあった岩にソルブレードを降り下ろしてみた。
 ソルブレードの刀身は、まるでゼリーでも切ったかのように、岩の表面に一切のひびを入れることなく分断してしまった。そして刀身は、岩を打ったにも関わらず、刃こぼれ一つ起こしていなかった。
「岩をそこまで簡単に斬るなんて……!」
「普通なら刃が折れてしまうのに……!」
「ソルブレード、いや、それを使えるロビンもすげえぜ!」
 ガルシア達は驚いていた。
「やはりそうか……」
 驚きつつも喜色を浮かべるガルシアら人間とは対称的に、ユピター達天界の存在は何やら確信を得ていた。
「オレも信じられへんかったわ。せやけど、これで決まりやな」
「……ふん、剣なら私も得意だから癪だけど、これは認めざるを得ないわね」
 メガエラは腕組みしながらロビンに嫉妬の目を向けた。
「ソルブレードは神じゃなく人間を選んだ。あなたならソルブレードの本当の力を発揮できるかもしれないわね」
 メガエラは言う。
「本当の、力……?」
 剣先から常にエネルギーが溢れ出し、その刀身を白金に輝かせ、岩をも簡単に断つソルブレードには、まだ未知の力が宿っていた。
 ソルブレードには太陽神ソルの絶大なる力が込められている。それは、その一振りで岩どころか、大陸さえも消し飛ばすことができるほどのものである。
 もっとも、そのような目的で振るえば、逆に剣に体を弾かれる事になるが、それほどの力を発揮できれば、デュラハンさえも恐るるに足りない。
「そんなにすごい力があるのか……」
 ロビンはソルブレードを構え、目を閉じて集中し、剣に宿った力を探ってみた。すると、剣に宿る何かがロビンの頭を走った。
 輝きを増すソルブレードによって、太陽を何万分の一の大きさに縮小させた隕石を作り出し、それを打ち出すことによってあらゆるものを砕く一撃を生み出す。
 太陽という万物の象徴は、たとえその姿を岩石ほどの大きさに変えたところで、その破壊力は計り知れない。大陸を穿ち、海の一部を蒸発させるに足る力はあるであろう。
 太陽神ソルの創造せしソルブレードに隠された力、その名は。
「……ハル、マゲ……」
 ソルブレードの力がロビンの頭に浮かび、その名を口にしようとしたときだった。
「ロビン! 後ろ!」
 ヒナがいち早く察知し、叫ぶものの、遅かった。
「……んぐぉっ!?」
 ロビンの体を、電撃の刃が突き抜けていた。
「なっ!?」
「ロビン!?」
 一同が驚愕に包まれる中、ロビンは謎の刃に心臓を貫かれ、ロビンという水門が決壊し、血という名の水が一気に噴き上がるように空高く舞い上がった。ロビンの周辺の空間は、一瞬にして真っ赤に染まる。
 体を流れる血を全ての噴き出したかと思えるほどの出血の後、ロビンは力なく倒れ、血の海に沈んだ。
 ロビンの後ろにいた者、それは剣先から紫電の刃を放ち、ロビンを絶命の海へと追い込んでいた。
 そこに立つのは、紫に金のまだら模様の鎧に身を包み、その上には裾がギザギザの緋色のマントを着けており、肩より上、あるべきはずのものがない、魔王と恐れられる大悪魔。
「デュラ、ハン……!?」
 全ての世界を魔界に変えようと画策する主、デュラハンがそこにいた。
「ロビン!」
 デュラハンの出現に、皆が硬直する中、ガルシアは血だまりに沈むロビンを抱き起こした。
「…………っ!?」
 抱き上げたロビンは完全に脱力しており、呼吸も止まっていた。
 そして瞳孔が散大している。これが認めざるを得ない事実を、ガルシアに突き付けた。
「……死んでる……」
 ロビンは、決して覚めることのない眠りに落ちていた。
「そんな……っ!?」
「ロビン!」
 ジェラルドとジャスミンが駆け寄った。しっかりと確認しなくとも、ロビンは見るからに屍と化していた。
「ああっ……!」
 ジャスミンは顔を手で覆い、声にならない声で泣き叫んだ。
「ふふふ……」
 ロビンを不意の一撃により絶命させたデュラハンは、小さな笑い声をもらす。
「デュラハン……!」
 ジェラルドは立ち上がり、剣を抜き放った。
「てめぇだけは絶対に許さねぇっ!」
 ジェラルドは怒りに任せ、デュラハンに向かって斬りかかった。
「うおおおおっ!」
 喉が潰れんばかりの叫び声を上げ、ジェラルドは力任せに剣を振り下ろした。
 しかし、ジェラルドの剣がデュラハンに触れた瞬間、デュラハンは煙のように消えてしまった。
「何っ!?」
「ふん、馬鹿めが。それは我が作り出した分身よ……」
 霧の如く消えたデュラハンは、空中に浮遊していた。
「下りてこい! 叩き斬ってやる!」
「分からぬ奴よ。我本体はここにはいない、その小僧を殺すのに我が直に出る必要はない」
「……奴の言ってることは本当よ。あれから感じる力は不安定。本物のデュラハンなら、ものすごい力を発しているはず……!」
 メガエラは言った。
 過去に実物のデュラハンと対峙したことのあるメガエラには分かっていた。
 本当のデュラハンであれば、これほど近くにいるだけで圧倒されてしまいそうな邪気を放っている。しかし、今目の前にいるデュラハンからはそれほど強い邪気を感じられないのである。
「我こそはデュラハン。魔族の楽園を築かんとしている魔王……」
 デュラハンは分身を通して名乗りを上げる。