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伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第3話

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アルス「それって魔物でしょ?
・・・戦いの準備しといたほうがいいと思う?」

エックス「多分な。俺もそれっぽいのを感じるぜ」

俺たちは一層警戒を強め、辺りを見回した。
・・・なるほど、言われてみれば何か蠢く気配がある。

その時、レックが手前の木に向かって手のひらを突き出した。
そこには赤い光が集まり、今にも放たれようとしている。

ロト「・・・何をしてる?」

レック「この方が手っ取り早いだろ。確か炎系の魔法がよく効くんだよな?
いきなり襲われるよか有利になる」

エイト「ちょっと待ってください。
それなら補助呪文をかけてからのほうが安全だと思います」

レック「あ、それもそうか」

エックス「おいおい頼むぜ・・・」

敵の強さがわからないので念には念を。
スクルトやピオリム、フバーハ、マジックバリアを重ねがけし
アレンにはバイキルトをかけた。

アルス「とりあえずこれで敵の強さを測るんだね」

エックス「よし、ついでにこれもやっとくか。
ジバリカ!」

エックスが手をかざすと、周りの地面が光り
円のような魔法陣が現れた。

レック「うお!なんだこれ」

エックス「あれ、知らないのか?結界魔法」

エイト「僕は初めて見ました・・・」

ロト「ああ、俺も知らない」

エックス「まあいいや、効果は見てりゃわかる。
じゃあ準備も整ったことだし、始めようぜ。レック」

エックスが言うとレックは頷き、手を構え直した。
同時に6人全員、ぐっと表情が険しくなる。
空気が張り詰める。

レック「・・・やるぞ。
・・・・・・・・3」

レックの手の先に赤い火の魔力が集まり、それはだんだんと
大きくなっていき・・・

レック「・・・・・2、・・・・・・・・・・・・1」


閃光。

レックが放ったメラミが木の根元に当たった瞬間、
周辺の地面がぐらりと大きく揺れた。

アレン「!!」

ロト「来るぞ!」

そして地中から赤褐色の土を突き破り、見上げるような大きさの花のようなものが
轟音とともに何体か現れた。
・・・・やはり囲まれている・・・!

アルス「・・・・っ」

紫色で無数の棘が生えた茎の先端に、大きな口と一つの目を持った
真っ赤な・・・百合のような花。
一体の茎の分かれ目に、さっきレックがメラミを打ったと思われる木が根からめり込んでいる。

なるほど、そういうことか・・・。
この辺り一帯の地中には十中八九こいつらの体が埋まってるってわけだ。

アレン「はああああああああッ!!!」

アレンが飛び上がり、一体の茎から枝分かれしている部分に
渾身の力で拳を振り下ろす。
直撃し、当たった部分はぐしゃっとひしゃげて緑色の液体がにじみ出た。

グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

その途端、耳を劈くような咆哮とともにソイツが頭を大きく後ろに振りかぶり、
物凄い速さで俺たちの真ん中に叩きつけてきた!

だがピオリムの効果もあってか、その攻撃は誰に当たることもなく地面にめり込む。
かわした勢いで高く飛び上がった俺は、花の奥にある大きな目玉に魔力の焦点を合わせメラミを打った。
だが当たっても少し怯んで頭を振っただけで、たいしたダメージはなかったらしく
すぐに俺を叩き落とそうと枝分かれした茎を振るう。

ロト(やっぱり中級魔法じゃダメか・・・っ)

俺は着地すると同時に振り下ろされた一撃を飛び退いて避け、
間髪いれずに飛んできた茎をベギラマで焼き払う。

・・・目の前で口を大きく開け、咆哮とも聞こえにくい奇声をあげるソイツは
俺を喰らうことしかきっと頭にない。
俺は正直言って魔法が得意なほうではないし、
使える呪文の数も多いとは言えないだろう。
だがだからといってそう簡単に食われてやるものか、見ていろ。

次々と繰り出される攻撃を避けつつ、俺は手の中に魔力を集中させ始める。
やがて攻撃がなかなか当たらないのをもどかしく思ってか、
ソイツは茎から長い触手のようなものをすごい速さで伸ばしてきた。

ほぼ弾幕に近いそれを辛うじて避け切った俺は、地面にめり込んだ茎を踏み台に
再び高く飛び上がる。
そしてわざとソイツの口を目がけて降下してやれば、案の定
俺を丸呑みにしようと口を大きく開けた。

・・・・今だ。

落下しながら体を捻り空中で呪文詠唱の構えをする。
もう少しで花弁に触れるというところまで来た時、俺は瞬時に魔力を凝縮させ
ソイツの口の中に魔力の塊を叩き込んでやった。
その勢いで頭に思い切り蹴りを入れ、開いたままの口を閉じさせる。

そして地面に着地し、抑えていた魔力を開放して
呪文の印を結んだ。

ロト「・・・イオラ!!」


爆音。

ビシャアっと緑色の液体と細切れになった肉が大量に降り注ぐ。

俺は汚らわしいそれを浴びないよう、ギラで炎の壁を作り防いだ。



2日目 07時28分 ―レック―


後ろで大きな爆発音がしたので振り返ると
頭のなくなった花が一体、緑色の体液と思しき物を撒き散らしながら倒れた。

そこには炎を纏ったロトがいかにも勇者!といった感じで立っていた。
花が倒れた衝撃で起きた風になびくマントがなんとも画になっていて、
同じ勇者ながら不覚にも格好良いと思ってしまった。

レック「あいつ、もう倒したのかよ!?」

アレン「さすがはロト様・・・!」

くーっ、負けてらんねえ!!

オレは目の前の異形に向き直ると、両手を構えた。
相手はエックスが仕掛けたジバリカだがジベリコだったかに完全に足止めを食らっている。

レック(・・・よーし、やってやるぜ!)

魔力を集め、固めて膨らませていく。
オレの周りに光を放つ魔法陣が現れ、ゆっくりと回転しだし・・・
やがてオレの体も浮いていき、その周りの空気がバチバチと音を立てて
電気を帯び始めた。

アルス「うわ、レックさん!?」

エックス「おま・・・何する気だ!?」

レック「へへっ、見てろ!」

するとその時、ヤツがオレの魔法を妨害しようと大きく口を開け
灼熱の炎を吐いてきた。


2日目 07時29分 ―ロト―


エックスたちのところへ加勢に向かうと、いきなり凄まじい光景が目に飛び込んできた。

レックが何だかすごい魔法を使っていて、周りには魔法陣のようなものが
幾つも浮かんでいる。
・・・あんなの見たこともない。

後から駆けつけたエイトも目を見開く。

エイト「な・・・っ!」

その時。
レックの前方にいる花が頭を振りかぶり、口から
巨大な炎の渦を吐き出した!

ロト「!!」

危ない、と思った次の瞬間目の前が真っ白い光で覆われる。
耳の奥が痺れて、体の周りにバチバチと音を立てる電流の魔力が飛散しているのが感じられた。

体は全くの無傷だ。

ロト「・・・・・・。」

顔を上げて宙に浮いたレックを見る。
花の吐き出す炎の波は、彼の生み出す魔力の結界で完全に遮られ
吸収されているようにも見えた。

・・・なんて大きな魔力。
渦を巻き、吐き出される地獄の炎をまるでものともしないその力は、
勝ち誇ったような笑みを浮かべ楽しげにさえ見えるレックの表情とはつり合わない。

レック「おおらッ食らいやがれえぇ!!