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伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第5話

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レック「あー、そうだったな」

ソロ「実はその条件ってのが、外にいるトライポッドと言う3本足の化け物を倒すことだったんだ。
本来なら今から少なくとも3日はかかるはずだったんだが、どういうわけかレックたちが素手で瞬殺してくれたおかげで俺は戻って来れた」

サマル「それも注意書きに書いてあったの?」

ソロ「ああ。それから、こうも書いてあった。レックたちが血の池で扉を見つけてくるので事前に鍵を見つけておくこと・・・残念ながらまだ探してもいない。あと3日あるはずだったからな。それに銃も見つけてから外に出るはずだった。まだいくつか予定と違うことがある」

ソロはこっちを見て、まずオレの腕を指差した。

ソロ「今日外に出かけた奴らは全員大ケガして帰ってくるはずだった。
とくにレックは片腕を失ってな。まあ、実際はケガどころかあの怪物をコテンパンにしてきたわけだが」

そして次に腕から、その先の手に握られているハンドガンを示す。

ソロ「実はみんなが持つ銃も決まってたんだ。
だが、違った。・・例えばレックはブローニングオートライフルとか言う化け物みてえな銃を持つはずだった。しかしレックはハンドガンにリボルバー、アサルトライフルの3つを装備している。そしてさっきの銃は代わりにアレフが持っていると来たもんだ」

オレが首を傾げるとソロは少し笑って、

ソロ「そして今レックが持っている3つは、本来ならロトが持つはずだった。
・・・こんな調子で追っていくと、不思議なことに全員の持つ武器が全て入れ替わってるんだ。銃の種類や数は変わらず、綺麗に誰が持つかだけが変わってる」

アベル「・・・それが何を意味しているのかは君にもわからないのかい?」

ソロ「まぁ・・・心当たりがないわけじゃないが。あてにはならんな」

ロト「いや、この際あてになるかならないかは一度捨て置く。話してくれ」

ロトに真面目な顔で言われ、ソロは面倒臭そうにため息をつく。
が、話すつもりだったのかすぐに顔を上げる。

ソロ「・・・まあ多分何かの間違いだ。アレを書いたやつもきっと焦ってるんだろう・・・字が更に雑になってた」

そう言って、ピッと一枚の紙を机の下から取り出した。

サマル「え?」

アベル「な・・・どこに」

ソロ「ほら。な」

差し出された紙切れを見てみると、そこには「すまない、少々手違いがあったようだ。これまでの注意書きと多少異なる状況になってるだろうが、心配はしなくて良い」
・・・と書かれていた。

アルス「ど・・・どういうこと?」

事前に確認でもしていたのだろうか。
なぜ今この場所に、あの注意書きが現れる?
なぜソロはそれを一発で探し当てられた?

ソロは紙切れを机の上に置いて、しれーんとしている。
・・・ほんと、なんなんだコイツ。

アベル「・・・・・・まぁいいか。本題に移ろう」

レック「ちょ・・・よくないだろ」

アベル「今はそれより大事なことがあるんだ。後でいくらでも聞けるだろう?」

・・・・確かにそうか。

アベル「君は何故自分が“犠牲者”だとわかった?そして、今までどこで何をしていたんだ?」

ソロ「決まってるだろ、注意書きだ。朝起きたら机の上にあったのさ。
・・・あぁでも次の質問には答えられない。手詰まりになっちまう」

アベル「手詰まり?・・・あぁ、そういうことか。じゃあ次の質問に移るよ。レック」

アベルがいきなりオレの名前を呼んだので少し驚いた。
軽く返事をすると、アベルは机の上に置かれたトランシーバーを目線で示して言った。

アベル「それは何だい?」

レック「あー、これはトランシーバーっつって、離れた場所にいる相手と会話ができるみたいだ。
さっき廊下に出たらあった。これと一緒に」

トランシーバーの下にあったメモを見せる。

アルス「レックさんだけホールに来いって?」

レック「うん。で、行ってからボタン押したらソロが出たもんで」

ロト「それから合流するように言ったのか」

レック「そうそう、それなんだけど・・・」

オレはソロの方を見て、にやっと笑ってやった。

レック「嘘ついた理由、そう言やまだ聞いてなかったっけ」

ソロ「・・・・・・。」

ソロはまた面倒臭そうにため息をつく。

サマル「嘘って?」

レック「まあいろいろ事情があったんだろうが、理由を聞く権利くらいオレたちにゃあるはずだぜ」



2日目 10時33分 ―ソロ―


・・・参ったな、完全にバレてた。
いきなり話の流れを変えたのもこのためか。アベルの奴・・・さっきレックと何話してんだと思ったらこういうことかよ・・・。

白旗をあげるような気持ちで俺は苦笑する。

ソロ「・・・・実は俺、今朝から一歩も屋敷の外に出てなんかいないんだ。
でも訳あって外から戻ってくるように見せかけなきゃならなかった。しかし、
辻褄合わせをする暇すらなくレックに嘘だと見抜かれちまった・・・こりゃどういうわけだろうな」

茶化すように言うと、レックは得意気に笑った。・・・まさかとは思ったが、ここまでされちゃあ反論の余地もない。完敗だ。

ソロ「・・・いつから気づいてた?」

ここからは他の奴らにも理解しやすいよう、ちょっとした探偵ごっこと洒落こむとしよう。

レック「いつからって言うか、気になったから確かめようと思っただけ。
でもお前が屋敷に戻らないとって言った時確信したんだ。嘘だなって」

ソロ「・・なら、その前からもう既に疑いはしてたってことか」

レック「さぁ?言葉の綾ってやつかもよ」

へらりと笑って躱された。・・・くっそ、ムカつく。

ソロ「じゃあ、最初の質問に俺が答えてやる必要はなさそうだな」

レック「まっ、そうなるか」

・・・そう。レックの推理した通り、俺は今朝レックたちがこの部屋を出た時点ではまだ外に出てなどいなかった。扉だけを開けておいて、全員が外に出たことを確認してから初めて移動したのだということを、扉に挟まっていたメモ用紙が語っている。

そして屋敷に残ったアレフたちは、休憩室付近の廊下とホールを調べていた。
いくつか扉があるにはあるが、まぁ・・・ただでさえ静まり返った廊下で、足音を立てずに、しかも周囲に対して警戒バリバリの5人に気づかれず移動するのは、ほぼ不可能というわけだ。

サマル「・・ってことは、ソロさんは今朝から今の今までずっとここにいたってこと!?」

さすが、理解が早くて助かる。・・・だが惜しかったな。もう少しだけ頭を捻るべきだ。

ソロ「・・・理屈上はな」

エイト「理屈上はって、・・どういうことです?」

ソロ「実際はどうだかわからんが、推測だけだとどう転んでもそうにしかならない。あくまでもそれ以外はありえないってことだ」

ロト「おいおい、自分がどこにいたかぐらい覚えてるだろ?」

・・・・俺はニヤリと笑んで、こう言ってやった。

ソロ「いいや。覚えてない」


2日目 10時46分 ―サマル―


・・・みんなシーンとしちゃった。
ソロさんはなぜか笑いながら、自分が今までどこにいたか覚えてないって・・・・。