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伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第5話

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・・・でも、どうしてだろう・・・ソロさんは笑ってる。なのに、ボクはなぜかその笑顔を・・・悲しそうだと、思ったんだ。

そして同時に、悔しそうに見えた。・・何かを諦めてるような。そんな雰囲気。

アベル「・・・それは、僕たちに謎かけをしているんだと受け取っていいのかな?」

ソロ「どうぞご自由に。俺は真実を言ったまでだ」

アレン「・・・・そんなわけないだろう・・・。貴様、自分が仲間の混乱を招いていることがわかっているのか!?」

ソロ「怖い顔すんなって。いいか?嘘じゃない。俺は本当のことを言ってるんだ」

アレン「わけのわからないことをッ・・・何が言いたい!!」

ムーン「アレン、落ち着いて・・・」

我慢できなくなったのか、アレンが今にも掴みかかりそうな勢いでソロさんに迫る。
ボクとムーンがたしなめると少し落ち着いたけど・・・

ソロさんは全く動じることなく、腕組みをして薄く笑いを浮かべている。

ソロ「何度でも言うぞ。俺は嘘なんて言ってない。全部本当のことだ」

・・・嘘は言っていない。全て本当のこと。

ナイン「・・・本当に、覚えていないんですか・・・?」

ソロ「あぁ、覚えてない。・・なんにも・・・・な」

そう言って、ソロさんはまた笑った。

・・その時、ボクは確信した。
アベルさんの言った通り、・・ソロさんはボク達に謎かけをしているのだと。
そしてその謎を解いてほしいと思ってるけど、ボク達にはその謎を解くことは出来ないと。・・・思っているのだ。
だから笑顔が悲しげで、諦めてるように見えたんだ。

だったら・・・・

サマル「・・・ねえ」

ソロ「ん?」

サマル「あなたはボク達に問題を出してるんだよね?そしてそれを解いてほしいと思ってる。けど、ボク達には解けないと思い込んでる。そういうことだよね」

ソロ「・・・・・・・・・。」

ムーン「・・・サマル?一体何を」

サマル「ボクらは・・・・!
解けるよ。解いてみせる。そしてあなたを救ってみせる」

ソロ「!」

ソロさんははっと目を見開いて、・・・目線だけをレックさんの方に向けた。

レック「え・・・」

ソロ「どうした?」

レック「? ん・・・何でもない」

レックさんは不思議そうな顔をして、小さく首を傾げた。
・・・ソロさんは少し俯いて、何か考えてるみたいだった。

・・けど、突然クイッと目線を上げて―――
ボクの目を見た。

サマル「・・・・!」

攻撃的ではないけど、どこか・・・試されてるような鋭い目。
人形みたいに、微動だにしない。
それこそまるで人形みたいな整いすぎた顔のせいで、余計怖い。

思わず下を向きそうにになったけど、なんとなくここで目をそらしたら駄目なような気がして・・・。
そのまま、じっとしていた。

するとソロさんは唇を片方だけ上げて、目を閉じた。

ソロ「・・・面白くなって来やがったぜ」

レック「なあなあ、ほんとはオレたち今から3日後に帰ってくるはずだったんだろ?だったら、あと3日何してればいいんだ?」

ソロ「さぁな。それは俺も知らん。ただ言えるのは、少なくともあと1週間くらいは俺も別行動を取らなくていいことだ」

アルス「へー!じゃあ色々教えてよ!トラップとか、危険なものがいっぱいあるんでしょ?どこにあるかわかんないと安心して歩けもしないよっ」

アレフ「そうですね。ソロ殿がいれば心強い」

ソロ「はは・・・何でもかんでも知ってると思われちゃ困るがな。いいよ、わかってることはその都度話そう」


・・・・・・・・こうして、ボクたちはひとまず体を休めることにした。
数時間とはいえ、いつ死ぬかもわからない危険地帯を移動するのは精神的にも堪えるものがある。
他愛ない話をしたり、軽く睡眠を取ったりして各々自由に休憩をした。

時計を見ると、針は一周して6時より少し前を指している。
ボクは今、ダイニングテーブルでみんなと銃の扱いの練習をしている。
いるのはボクの他に、レックさん、アルスさん、ムーン、アレフ様、エイトさん、ナインさん、そしてソロさんの8人。

ナイン「じゃあこれは、こっちに回して・・・片手でリロード中にこっちで」

エックス「おっ、慣れてきたな!俺もやっと片手でできるようになったとこだぜ」

2人ともすごいなぁ・・・・・。
ハンドガンをポンっと上に投げて、それが空中に留まっている僅かな時間の中で予備弾のマガジンを取り出し、そのまま落ちてきたハンドガンに押し込む。
あっという間にリロード完了だ。

ボクも練習してるんだけど、なかなかうまくいかない。
マガジンを差し込むことはできても、挿入口の中の突起に引っかかったりぶつかったり、結局その後に両手を使わないとできない。

再度挑戦してみる。
投げる。
マガジンを構える。
落ちてきたハンドガンに差し込む・・・が、カツっと音がして。
やっぱり少しずれる。
うーん・・・。

とその時。すぐ隣からにゅっと白い長袖の手が出てきて、人差し指でボクの持っている銃の先を弾いて浮かせたかと思うと、瞬時に手の甲でマガジンの先端を短く打つ。
するとカチリと小気味の良い音がして、マガジンはハンドガンにしっかりと収まった。

サマル「・・・えっ」

あまりに一瞬の出来事だったので、ボクは何が起こったのか理解するのに数秒間かなりの努力を強いられた。

パッと振り返ると、すぐ後ろのほんの少し右寄りのところにソロさんが立っていた。

サマル「びっくりした・・・。あ、・・ありがとう?」

ソロ「なんで疑問形だよ。・・それ、マガジンをセットする時に逆手持ちするからずれるんだ。普通に持ったほうが真っ直ぐになって引っかからない。あと、ある程度はまってから力を込めて押すといい」

サマル「そ、そうなんだ」

もう一度やってみろ、と微笑混じりに言われて、言われた通りにやってみる。
投げて、構えて、・・・押し込む。

カチリ。

サマル「あ」

ソロ「な?」

・・・・できた。

サマル「わぁっ、すごい!ねえねえできたよ!」

嬉しくて、思わず素でぱあっと振り返っちゃった。
・・ソロさんはキョトンとした顔で微動だにしない。

サマル「あ・・・その、・・・すみませんでした」

ソロさんは「は?」とでも言いたげに首を傾げる。
少しの沈黙。

ソロ「・・・・・・ぷっ、・・・っくフフッ」

しばらくしてソロさんがいきなり吹き出して、そのまま前かがみになって小刻みに震え始めた。

サマル「え、・・・あのっ」

大丈夫ですかと言おうとしたその時、ソロさんは顔を上げて

ソロ「あははははははは・・・!なっ、なんだお前・・・あはっ、ははははっ・・」

目に涙を溜めながら爆笑している。
・・ボクそんなに面白いこと言ったっけ?

アレフ「何かありましたか?」

サマル「ううん、あのっ・・・わ、わかんないです」

エックス「・・・なんかツボったか」


その後ようやく笑いが収まったソロさんに、「お前カワイイな」って指でほっぺたをつつかれた。
・・・思ったより面白い人なのかも知れない。

エックス「ほれ!見ろよこの華麗な指使い」

エイト「ちょ、やめてくださいよ・・・危ないっ」