ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第6話
アレンは・・・・・・・・・・・・アレンは・・・・・・
ソロ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
・・アレンは・・・・
・・・・・・・ソロさんには勝てないよ・・・・・・・・・・・・・。
ソロ「・・・・悪い、ガキんなってた。ちょっと機嫌が悪かったもんで」
ロト「機嫌でいちいち言い合いされても困るんだが・・・まあ、一応アレンも謝っておけ」
アレン「・・・・・・・・・・いきなり怒鳴って悪かった」
エックス「頼むぜまったく・・・。で、どうすんの?結局」
レック「サマルは外。エイトとアルスが中に変更。でオッケー?」
ムーン「待ってください!私も外に行きますわ」
サマル「ムーン・・・」
ムーン「アレンとサマルが行くなら、私も・・・それだけですわ」
ロト「わかった。じゃあ外に行くのはソロ、サマル、ムーン、アレン、レック、エックス。屋敷内の探索は俺とアレフ、アベル、アルス、エイト、ナインで決定でいいか」
━─━─第六話 Discordant Discolor
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3日目 07時02分 ―レック―
門を出ると、あの生臭い血の匂いが鼻をつく。
体に害がないのか気になるが、今のところは特に何もない。
とりあえずもう1回あの血の池まで行ってみようってことになった。
まあそれ以外行くところがないからなんだけど、昨日と何か変わってるところがないか調べに行くらしい。
ソロがそう言ってるんだから、何か変化があるってことなんだろうけど。
レック「・・おいソロ、お前そんなのどっから持ってきたんだよ」
背中に背負っているデカい・・・ライフルかな?を指差して問う。
ソロ「ああこれ?アレフが持ってるのと同じやつだぜ」
レック「え、でもなんか銃口のほうデカくねえか」
ソロ「実は刃が仕込んであるんだ。接近戦の時、さすがに本体でブン殴るわけにいかねえだろ」
レック「あー、そう言や考えてなかったな・・・。魔力はなるべく取っておきたいしな」
ソロ「つかお前それどうやって使うのかわかってんのか」
レック「そりゃあ、ここ押して弾打つんだろ?」
言いながら構えて、トリガーに指をあてがってみせると
ソロ「馬っ鹿、こっち向けんな危ねえだろ!」
レック「あっごめん」
ソロ「・・・お前本当にたまにしか頭使わねえんだな」
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・・ドガガガガガガガガガガガッ!!!
ズゥ・・・ン・・・
穴だらけになった巨体が、体液を撒き散らしながら倒れ込む。
ガシャンっとマガジンをリロードし、悠々と銃を下ろす。
レック「・・へ、これで4体目だぜ」
便利な武器だ。
自分は指先をちょっと動かすだけで、相手にはかなりのダメージを食らわすことができる。
エックス「あんま弾無駄遣いすんなよ!ただでさえみんなフルオートなんだから」
そう言いながらエックスのやつ、両手にサブマシンガン持ってバカ撃ちしてやがんじゃねえか。・・でも全部ちゃんと当たってるからすごい。
ムーン「はあーーっ!イオナズンッ!!」
オレたちが銃で怯ませた相手を、ムーンが一気に魔法で塵にする。
ムーンにはアレフたちが屋敷で見つけた、エルフの飲み薬っていう魔力を回復させる薬ををいくつか持たせているから、とりあえず魔法はバンバンやってもらってる。
サマル「っ・・・・!せやあああああっ!!」
・・あいつ、ソロにボロクソ言われてた割には頑張ってるじゃねえか。
体が小さいから小回り効くみたいだし、弾の命中率もなかなかのもんだ。
まあ使い始めて2時間も経ってないオレが評価することでもないけど。
アレンはもう、さすがの一言に尽きる。
スナイパーライフルで確実に相手を貫き、複数の敵はオレの身長の倍はありそうな対戦車マシンガンで一掃する。
ありゃあ、並の人間じゃどう見ても出来っこない。
レック「・・・すんげー・・・・・」
あんなのを片手で振り回してるなんて、一体どんな腕力してやがんだあいつ。
ソロ「よう、順調か?」
レック「何が順調か?だよ、お前も参加しろよこの野郎」
・・・・・で、さっきからこいつは特に何をするでもなく、腕組みしながらオレたちが戦ってるのを眺めてるだけだ。
レック「なんでお前は戦わないんだ?」
ソロ「無駄に体力を消費したくないだけだ」
レック「いやそうじゃなくて、そう思う理由を聞いてんだよ」
そう言うとソロはわざとらしく笑って、「冗談だよ」と言った。
ソロ「本命じゃないからだ。こんな雑魚ども、俺が参加しなくたって充分だろ」
レック「・・お前な」
ソロ「別にもったいぶってるわけじゃない。・・もっと強力な相手が出てくる」
そう言って、ソロはまるでこれから始まることを楽しみにしているかのような笑顔を見せた。
だが、オレがむっとしてもう一度ソロの顔を見たときには、その笑顔は消え、つまらなさそうに戦いを眺めるだけのもとの表情に戻っていた。
その時、向こうの方からオレとソロを呼ぶ声がした。
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エックス「ったく・・・なんで何も手伝ってくれなかったんだよー」
ソロ「しつっこいなあ、疲れるのは嫌なんだ!」
アレン「呆れる。この状況に置かれて尚そんな程度のことでしか物事を判断出来ないのか」
当然ながら、見ているだけだったソロにみんな文句を言った。
ソロはその度に疲れていただとか、服が汚れるのが嫌だったとか、よくわからない言い訳をしている。本当、こいつが何を考えてるのかさっぱりわからない。
レック「なー、ぶっちゃけ面倒臭かっただけとか言ったら怒るぞ」
ソロ「うっせーな。んなわけねーだろ」
エックス「ほんとか?どれ」
悪戯そうな笑みを浮かべ、エックスが人差し指でゴスっとソロのうなじをつついた。
ソロ「痛って!・・何すんだこのやろっ」
仕返しにと、エックスの背中のあたりを手でくすぐる。
エックス「ちょ、やめ・・・アハハハ!ははっ・・・や、あ、ちょマジで!ははははっ」
大笑いしながら身悶えるエックスと爽やかな笑顔でくすぐり続けるソロに、自然とオレ達も笑顔になる。
息を切らしたエックスが涙目でソロの脇腹をくすぐり始め、ソロがエックス以上に慌てふためいて笑い出した時は、アレンさえクスリと小さく笑っていた。
ソロ「・・・あー・・・息が切れるまで笑ったのなんて何年ぶりだか」
エックス「お疲れさん・・・」
2人はまだ笑いながら、オレたちのあとをついてきている。
レック「大丈夫なのかあいつら・・・まだ戦うかも知れねえってのに」
・・かく言うオレも、そんな2人を見てさっきまで爆笑してたんだけどな。
すると、
サマル「・・・いいなぁ・・・」
レック「ん?」
サマルがため息混じりに、どこか寂しそうに呟いた。
レック「何がだ?」
サマル「えっ?」
聞かれていたと思ってなかったらしく、目を丸くして振り返るサマル。
サマル「え・・・その、それは・・・」
レック「・・・。」
サマル「何でもないよ。・・ごめん・・・その、・・・・・・・・。」
レック「・・・・・。」