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伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第6話

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アレンが咆哮しながら、例の化け物みたいなマシンガンを触手の付け根に向けて連射した。

付け根の肉が削ぎ落とされ、ムーンに絡みついた触手がぐらりと傾き沈みかけた時、アレンは高くジャンプしてその触手の先端を引きちぎるように両手でつかみ、叫び声を上げながら抱え込んで引っ張り始めた。

驚くことに、ドルーガはアレンの力に負けてその体を傾かせ始めている。
やがてその触手の付け根がブチブチと音を立てて少しずつ千切れ始め、・・ついにはアレンが渾身の力を込めて腕を振り上げると同時に、完全に体から切り離された。

ソロ「・・・なんつー腕力だ」

これにはさすがのソロも驚いていたようだ。

ムーンは触手から解放されると、火の海に落ちる前に何か魔法で風を起こして――たぶんバギマくらいだと思う――浮き上がり、もとの足場に着地した。

ムーン「ありがとうアレン、助かったわ・・・」

アレン「・・全く、上級魔法を使うときは背後くらい気にしろ」

あなたに任せるわ、とムーンはアレンに向かって軽くウィンクをした。

そうしているうちに、オレたちの銃撃が少しずつ堪えてきたのか虫たちの動きが徐々に鈍くなり始める。
しかしそれに反比例するかのように、奴らの攻撃は激しさを増していく。
特にドルーガは目を潰されて怒りを感じたのか、執拗にエックスを炎で攻撃している。
だがエックスは怯む事なく、その俊敏性でドルーガを翻弄し、逆に追い詰めているようにも見える。

・・そんな中、あまり攻撃もせずに苦しげな表情で、炎の中立ち尽くしている奴がいた。


3日目 07時49分 ―サマル―

・・・・・どうして。どうしてみんなあんなふうに戦えるのだろう。
みんな、わかっているんだろうか。ここはいつもとは違う世界なんだってことを、ちゃんと覚えているんだろうか。
だって、いつもなら死んでも呪文や教会で生き返らせてもらえるけど、ここでは違うんだよ?
ここで死んだら、もう二度と生き返れなくなるかも知れないんだよ?

少なくとも生存率を100にして、この世界から出ない限り、生き返ることはできなくなる。
生存率を100にできる保証だってない。

・・・なのになんで、みんなは。
あんなふうに・・・死を恐れずに、戦うことができるんだろう。
ボクは・・・・・・・・ボクは・・・・・・・・・怖い・・・。死ぬのが怖い・・・・・。

初めて目の当たりにする、本物の「死」の恐怖。
それに足がすくんで、ボクは動けずにいる・・・・・・・・・・・。

ああ。
ボクはなんて、なんて弱いんだろう。
みんな当然のように、もう二度と取り戻せなくなるかも知れない命を賭して戦っている。
それなのに。ボクは。
・・・・・・・・ボクは・・・・・・・・・・・・・。

その時だった。
エックスさんが、ボクの方を見て何か叫んでいると思った瞬間、・・・目の前に真っ赤な何かが迫ってきた。

触手!!

そうわかった時にはすでに遅く・・・・ボクは・・・もう、体を真っ二つに分断される覚悟をした。

ドンっと体に衝撃を感じた。
・・でも、真っ二つになったのはボクの体じゃなかった。

サマル「・・・・・・え・・・・・・・・っ・・・・?」

目の前の光景がスローモーションのように見える。飛び散る鮮血、崩れ落ちる体、自分の胸の前をかすめる血に濡れた触手の先端。

その瞬間、何があったのか全く理解できなかった。
・・・・・だって、だってこんなのって・・・・ありえない。どうなってるの?

空中に投げ出されながら、ボクは目でその光景を追っていた。
触手に貫かれ分断されたのはボクではなく、・・・ソロさんだった。

触手の太さはボクの腕と同じくらいなので、あの速さで叩きつけられれば人間の体なんて裂傷で切り裂かれる。

実際、ソロさんの体は完璧に2つに別れていた。血が弾けるように飛び散って、上半身と下半身に。

・・・・え、待って。
これって、・・・・え?
・・・・・死んじゃう・・・・・?

地面に叩きつけられても尚、ボクは目を見開いてそれを見ていた。
そしてここから、ボクは更に信じられない光景を目にすることになる。

流れる映像はスローモーションのまま。でもそれでも一瞬、一瞬だとわかる程度の速さでソロさんの体を緑色の光が包んだ。
そして次の瞬間には、上半身から離れたはずの右足で地面を蹴って走り出していた。
その体はすっかり元通りになっている。

わけがわからなかった。

サマル「・・・え・・・・え?」

触手に当たりそうになって、もうダメだって思った瞬間に誰かに突き飛ばされたのはわかった。
それで、その人が僕の代わりに触手に当たった・・・・のも、わかる。

え・・・・でも、だったらなんでなんともないんだろう。
あれは完全に、・・・・・・・――――死・・・・・

グギャアアアアアアアアアアアアアアア・・・!!!

はっと我に返る。

黒い方の怪物、・・・ギーヴァが絶叫していた。

見ると、BARの先端から突き出た刃でさっきの赤くなった触手を突き刺し、振り回して遠心力で触手をギーヴァの体から引きちぎったソロさんが、ダメ押しとばかりに魔法でその目を粉砕したところだった。

そして、ようやく立ち上がりポカンとしているボクに平然と歩み寄ってきた。

ソロ「くっそ・・・最悪だ。ベトベトになっちまった」

おそらく自分の血と、ギーヴァの体液かな・・・なんだかよくわからない液体で腕や体が汚れている。
いかにも嫌そうに顔を顰めながら、不機嫌そうな低い声でボクに言った。

ソロ「全く・・・俺がここまでしてやったんだから、意地でも死ぬんじゃないぞ。
次からは自分でやれ」

自分でやれって、何を?
それを聞こうとしたけど、もうソロさんは銃を構えながら走り出していた。


3日目 08時04分 ―レック―

信じられない。

オレは事の一部始終を見ていたが、自分の目を疑った。
一撃必殺のギーヴァの毒攻撃をまともに食らって、サマルは生きていられるのも奇跡だと言うのに、もっとありえないことが起こったのだ。

ギーヴァの毒攻撃をいち早く察したのはソロだった。
ヤツの黒い触手の1本が徐々に赤く染まりだしたのに気付き、標的となったサマルに向かって走り出す。
そして触手がぶつかる瞬間、ぼーっと突っ立ったままのサマルを突き飛ばした。

・・・当然、触手はソロに当たる。ソロの体は真っ二つに割れた。
確かに割れた。
でも・・・多分だが、ソロは体が千切れてから意識を失うまでの数秒間・・・いや、数秒もないか。
その間に、自分にベホマをかけたんだ。
体が引き裂かれ、普通なら痛みとか衝撃とかで呪文を唱える余裕なんてあるはずもない。
しかしソロはそれどころか、体から離れた下半身が地面に倒れるよりも早く魔法の詠唱を終えた。

全くもって並の人間のやることじゃない。

・・・というか、一度死んだ。

ソロはサマルを守るために、現実的に一瞬だけ死に、でも意識がなくなる前に自ら生き返ったのだ・・・。

レック(すっ・・・・すげぇえ・・・・・)

オレは素直にすごい、と思った。
・・あれ、頑張ったらオレもできるかな・・・。

エックス「・・・なぁ、今のって・・・」