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伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第7話

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アベルさんの表情が険しくなる。

アベル「・・・僕たちは君を疑いたくない。僕は君を疑ってるわけではないし、からかってるわけでも貶めようとしてるわけでもない。だから正直に本当のことを言ってくれないかな」

ソロさんの眉がピクリと動く。

アベル「それから、今どうして嘘をついたのかも答えてもらうよ」

なんで嘘をついたってわかったんだろう。
・・・あ、一緒にいたボクたちの反応を見てたのかな。

ソロ「・・・魔物の体液がかかったもんで、気持ち悪いからシャワーを浴びてたんだ。1時間以上、ずっとな」

アベルさんの言葉が少し気に障ったみたいで、わざとおかしな言い方をする。

エイト「・・・ソロさん」

アベル「待って。今のが真実だね?間違いない?」

アベルさんは周りにいるボクたちを目だけで探り、質問する。

レック「ああ、間違いないぜ。それが真実だ」

ムーン「・・・ええ、私もそれを主張しますわ。この部屋の出入り口の扉が、私たちが入ってから貴方がたが戻るまで一度も開いていないことを保証します」

ロト「今更で悪いんだが、この部屋の出入り口は本当にその扉だけなのか?」

エックス「そうだよ、散々調べただろ?」

なんだか、口論みたいになっちゃってる。
一体何があったんだろう。

ソロ「・・・ニンゲンの行いの上に絶対の保証は存在しない」

少し大きな声で、宣言するようにソロさんが会話を遮った。

ソロ「お前ら甘いなあ。ムーンが見落としただけで扉は開いていたかも知れない、その間に誰かが部屋を出入りしたかも知れない。俺たちが調べても見つからなかっただけで、扉の他にも出入り口があるかも知れない。そしてそれを・・・」

ソロさんはソファから降り立ち、あの考えの読めない目で笑った。

ソロ「俺だけが知っているかも知れない」

ロト「わかってるなら話が早い。そうだ、“犠牲者”であるお前だけが知る情報や隠し通路があっても何ら不思議はない。しかも、シャワーを浴びている間中ずっと誰かがお前を監視していたわけでもないんだろ?リビングにいるメンバーの目を盗んで部屋を抜け出せる可能性はいくらでもあるんだ」

な・・・・何が何だかわからない・・・。何の話をしてるの?

ソロ「よしわかった。じゃあ、仮に俺がそうやって何らかの方法で部屋を抜け出したとしよう。
で、どうするんだ?俺は」

ぱりっと、部屋の空気が張り詰めるのがわかった。

レック「ああ・・・そろそろ、何があったのか説明してくんねえか?ちょっと話についてけねえ」

―――――――
―――――
―――


エックス「そんなのありえるわけないだろ!だってソロはずっと俺たちと一緒に行動してたんだぞ!?」

アレン「・・・ロト様、それは敵の罠です。幻影を見せて俺たちを瓦解させるつもりなんでしょう」

ロト「・・・・・そう、だよな。いや、俺たちだって別に疑ってたわけじゃない。ただ念のため確認をしようと思っただけなんだ」

ソロ「そうか、なら無駄な時間を過ごしたな。・・だいたい俺は“犠牲者”なんだから、わざわざ罠にはめなくたっていつでも皆殺しに出来るんだぞ?」

それをしないのは、俺がみんなを殺そうとしてない証拠だろ・・・とでも言うつもりだったんだろうけど、そこで言葉を切っちゃったから余計に違和感がある。

やっぱり、疑いをかけられたと思って機嫌が悪くなってるみたい。

レック「まあまあ、そんなにピリピリすんなよ。別に悪気があったんじゃないんだし、むしろみんなの命を守ろうとした、紛れもなく人として正しい行動だろ?」

レックさんが、眉間にしわを寄せたままのソロさんに陽気な笑顔を向けた。

レック「確かにやってないことをやったんじゃないのかって言われたら、いい気持ちはしないだろうよ。殺す殺さないなんて話なら特にな・・・でもさ、下手すりゃ死ぬんだぜ?自分たちの命を脅かす可能性があるかも知れないとなったら、誰だって本気になる。もういいじゃねえか、勘違いだったってわかったんだし、気を悪くするなよ」

するとソロさんはまたため息をついて、目を伏せた。

ソロ「・・そんなことわかってる。俺が腹を立ててるのはアベルたちにじゃない、俺を疑わせるように仕向けた連中にだ。ただ・・・」

レック「ただ?」

ソロ「・・・・まさかお前にそんなことを言われるとはな。全くいちいち想定外のことが起きて困る」

・・いつも思うけど、この人は本当に不思議な言い方をするよなあ。
なんていうか、ここに来て初めて会ったのに、ずっと前から知り合いだったみたいな話し方をする。

たまにいるんだけどなあ、こういう人。
でもなんだろう、何だか違う気がする。


3日目 11時30分 ―エイト―

・・・・・・なるほど、やっぱりそういうことだったんだ。
もうすっかり誰もが納得してしまっている。

・・みんな忘れてしまったんじゃないだろうか、この世界で死んだらもう二度と生き返れないことを。
他人を殺すということのメリットが、報酬が、人によっては計り知れないほど大きなものであることを。
                      . . . . . . .
・・・・・・ソロさんがレックさんたちと一緒にいながら、僕たちの前に現れることができるたった一つの方法を。


3日目 11時29分 ―レック―

ロトたちの話によると、事の次第はこうだ。足音とドアを閉める音がしたのでその部屋に入ったら、閉じ込められ、さらにはその床が消えるトラップが発動し、一歩間違えれば命を落とすほどの事態にまで陥った。
そしてそれを引き起こしたと思われる人物が、ソロに酷似していたというのだ。
まあマヌーサみたいな幻覚か何かなんだろうけど・・・・・

それで一応確認、か。
そりゃあアベルもちょっと怖い顔になるわけだ。

でもソロが何もしてないって確信してから本気で謝ってくれた。
まあ当然のことをしたまでなんだから謝るほどじゃないんだけどな。ソロもそう言ってたし。

じゃあ誤解も解けたとこで、これからどうするか・・・・・・


――・・・・・・・くすくすくすくす・・・・ふふふふふっ・・・・・・・


レック「!!」

またあの笑い声だ。
小さい子供の・・・・・・・・・・

驚いて辺りを見回すと、近くにいたアレンが不思議そうにオレを見た。

みんな特に変わった様子はない。
やっぱり、オレにしか聞こえていない!

間違いなく何かの思念体だ。
これは・・・・・・。

・・・・・!

・・・・その時、オレはあることに気づいた。
ロトたちはトラップにかけられる直前に壁で、例の血文字を見たと言った・・・そしてさらにその前、小さな子供の殴り書きのような解読不能の文字と絵が並ぶ赤い本を見つけたとも言っていた。

そして今の笑い声の思念体。

・・これらは何か、関連性があるんじゃないのか・・・・・・・?

そうだ、そうに違いない・・・。
証拠があるわけでもなければ自分の目で確認したわけでもないのに、オレはなぜかそう確信した。

そして決心し、それをあいつに話すことを決めた。

―――――――
―――――
―――


・・2時間くらい経っただろうか。