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伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第8話

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ソロ「言いたくないなら無理に言わなくてもいいけどな」

・・・・・・。でも、伝えなきゃいけないことがあるんだった。

レック「じゃあ、これだけ言っとく。シンシアさんは、今も変わらずいつまでも、お前を想い続けてるって・・・言ってた」

ソロ「・・・!」

ソロは最初こそ驚いたような顔をしていたが、すぐにそれはどことなく面映ゆさの混じった、切なげな表情に変わった。

ソロ「そうか・・・・・・・・ありがとう・・・・・」

今までソロが見せたことのない表情と声だった。

―――――――
―――――
―――


レック「・・・・・鍵、か」

ソロ「ああ、本当はもう少し後なんだけどな。こんな世界に留まりたがる奴なんていないだろ」

レック「注意書きの通りの行動をしなくて大丈夫なのか?」

ソロ「わからん。大きなことには繋がらないらしいが・・・まあ、その時はその時だ」

血の池にあった、あの青い扉の鍵を取りに行くとソロは言った。
あと10時間ほど経ってから行くつもりだったが、あの夢を見て気が変わったらしい。

ソロ「どこにあるかはもうわかってる。問題は制限時間内にここまで戻ってこられるか、だ」

レック「戻ってこられなかったらどうなるんだ?」

ソロ「さあな。多分、死ぬんじゃないか」

ソロは地面を見つめ、なんてことないような声色でそう言った。
失敗すれば、死。蘇ることはできない。
このゲームの恐ろしさが、改めてオレの背筋を震わせた。

ソロ「・・・・・本番は、血の池の扉が開いてからだ。それまでは前置きみたいなもんさ」

レック「何があるのかわかってるのか?だったら、教えてくれよ」

ソロ「今教えたところで無駄だ。何の意味もない」

レック「ソロ!」

・・まただ。またこれだ。
どうして教えてくれない!?

レック「無駄だなんて、なんで言う前にわかるんだよ。言ってくれなきゃわかんねーよ!」

ソロは少し驚いたようだった。

レック「何か変わるかも知れないだろ?変わらなくても、オレたちに損はないじゃないか」

するとソロは、静かな声でこう言った。

ソロ「いいや、損はある。俺が探しものをする時間が減るという損がな」

・・・・・・・・・・・・こいつは。
・・こういう奴なんだと、諦めざるを得なかった。

ソロ「悪く思わないでくれよ。別に意地悪がしたいわけじゃない」

レック「・・・じゃあ、せめてその場所だけでも教えてくれ」

ソロ「・・・。この部屋を出てすぐの廊下を奥まで進んだ、突き当たりにある鉄の扉だ。
最初らへんの注意書きにあっただろ?魔法で壊して入ることができるが、時間内に戻らないと出られなくなるやつだ」

レック「・・・・・・・・・・・・・・・・。・・・・絶対に戻ってこいよ」

ソロ「当たり前だ。前置きの段階で死んでたまるもんか、情けないにも程があるだろう」

そう言って、ソロは冗談っぽく笑ってみせた。オレを安心させるためなんだろうけど、今のオレには逆効果だ。心配が増すだけだった。

ソロ「あ、そうだ。俺が入ったあとすぐ扉は復活するらしいが、追いかけてこようなんて思うなよ。余計面倒なことになるからな」

そう言うとソロはさっさと廊下の奥へ向かい、休憩室の扉に手をかけた。
そして最後に

ソロ「・・・シンシアのこと、伝えてくれてありがとう。いつか本当のことを話すよ」

こっちを見ることなく、そのまま出て行ってしまった。

オレはしばらくその場に佇み、・・仕方なくリビングに戻ろうとした。
すると廊下の真ん中に、あの注意書きの紙が落ちていることに気づいた。今さっきまでなかったものだ。

・・・オレは無言でそれを拾い上げると、視線を滑らせた。

『ようやく覚悟を決めてくれたようだな。
彼は今から約48分後に扉から出てくるだろう。そうでなければ、その時は彼は死んだと思え。あの扉は中の空間に生命体を感知してからきっかり50分後にロックされ、永遠に開かなくなる仕組みだ』

・・・リビングに戻ると、みんなすでに集まっていた。
もうすぐに部屋を出ようというところで、オレとソロが戻るのを待っていたらしい。

オレは、ソロが青い扉の鍵を取りに行ったことを話した。
・・・・・それから、夢のことも。

アベル「予知夢なんかの類じゃないといいんだけどねえ・・・」

ナイン「・・・・・・・あの、」

ナインが少し申し訳なさそうにオレを見上げた。

レック「?」

ナイン「彼はその時、本当に眠ってたんでしょうか」

ロト「・・・どういう意味だ?」

ナイン「・・僕もその時ちょうど部屋で休んでいて、水を飲もうと思って・・・こっちに来ようとしたんです。その時ソロさんの部屋の前を通ったんですけど、物音がしたんです。・・でも、それが尋常じゃなくて」

・・・・・・・・・・・?

ナイン「壁を殴る音とか、何かを叩き割るような音とかがずっと聞こえてて・・・それと、時々泣いてるのか笑ってるのかわからないような声が聞こえるんです。びっくりしてドアを開けようとしたんですけど、鍵がかかってて・・・」

ガタン、と背後で音がした。

エックス「・・・・確かめに行こう」

―――――――
―――――
―――


不思議なことに、ソロの部屋の鍵は開いていた。
さっきあいつに何も聞かなかったことを後悔しながら、扉を開けると――

レック「・・・・・・・・・・・・っ」

部屋の中はひどい有様だった。
壁には数十箇所殴ったような跡があり、ところどころ亀裂が入っていたりへこんだりしている。
4隅の天井を支えるための柱も滅茶苦茶に壊され木片となって床に散乱し、本棚や机は倒れ、ずたずたに引き裂かれている。
ベッドに至っては真っ二つにへし折られひっくり返っており、ただ最も気になったのは、入口の扉とその淵だけが傷1つなしに悠然と佇んでいることだった。

エックス「おいおい・・・なんだよこれ」

ナイン「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

扉だけが無傷なのはきっと、オレたちに異常を悟らせまいとして理性を働かせた結果なのだろう。
今となっては、それが逆にソロが不安定な状態であったことに拍車をかけている。
廊下で会った時に疲れたような顔をしていたのは、このせいだったんじゃないか?

ロト「・・・・・・なんでこんな・・・」

・・・・・・・・・・・・やっぱり、ソロはオレたちに何かを隠している。


レック「・・・・・あいつが戻ってきたら聞いてみるよ・・・・・・・・・」

オレは部屋から目をそらし、ふらふらとリビングに向かい歩き始めた。
その時オレは、背中にヒヤリとした気味の悪い触感を感じたのだ。
早く戻りたかった。

エックス「レック?・・・おい」

みんなも半ばオレにつられるようにしてリビングに戻った。



3日目 15時07分 ―エイト―


ナインさんの話を聞いて様子を見に行ったレックさんたちが帰ってきた。
・・その顔は引きつっていて、部屋がどんな状態になっていたかはすぐにわかった。

アルス「だ・・・大丈夫?」

レック「あぁ・・・」

とくにレックさんの伏せられた目に宿る、悲しみと恐怖の入り混じったような色を読み取るのは実に簡単だった。