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伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第10話

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レック「・・・・・駄目だ。悪いけど、お前と一緒に遊ぶことはできない」

オレは相手の目を見ているが、向こうは一向にオレの目を見ようとしない。
子供っぽく首を傾げてから下を向き、クスクスと笑った。

ソロ「・・・なんで?それはお兄さんが決めることじゃないよ」

レック「・・・昔、兄ちゃんに遊んでもらってたのか?」

え?と一瞬顔を上げ、・・首を振った。

ソロ「・・ううん。お兄ちゃんには会ったことないよ。お話したことはあるけどね。・・お兄ちゃんは一緒に遊んでなんかくれないよ」

少し寂しそうに目を伏せている。

ソロ「・・お兄ちゃん、きらいだな。僕のお友達をみんな連れて行っちゃうんだもん」

レック「・・・・・・・・。」

ソロ「・・・・お兄ちゃんのこと、知ってるの?」

・・・・・・・・・・・・鋸を下ろし、少し笑顔になって訊いてきた。

レック「ああ、知ってる。・・・・・知ってるよ、お前のことも・・・」

・・目が見えるようにしてやること。

オレは歩み寄り、うつむいている相手の頬に手を当て、オレの目を見させた。

ソロ「・・・・・・・・・・・。」

透き通った青紫色の瞳が見開かれる。
相手にはオレの、目が見えている。

レック「・・・・知ってるよ。・・寂しいんだよな・・・」

・・・・・・・。
・・正しい名で、呼んでやること。
・・・・・・ロベルタ・・・・では、ない。
そう・・・こいつの正しい名前は・・・・・・

レック「・・・・・・ローグデルタ」

相手の目がさらに見開かれた。

────────
────

・・・・・・・・・・・・・・・・・気がつくと、オレはホールの床にひとり倒れていた。
いや、違う。すぐ横にロトがいた。

ロトはオレが目を開けたのを見て、安心したように息をついた。
そして・・・・・・・・

玄関扉の前に、ソロが立っていた。

ソロはオレが起きたのに気付き振り返ると、・・少し早足で歩み寄ってきた。

そして膝をつき、・・・ぼろぼろと涙を零した。
床に倒れたオレの手を握りしめて、だらしなく肩を落としながら。

謝罪と感謝の言葉を何度も何度も繰り返して。

ロトは少し寂しそうに微笑みながら、ソロの肩に手をかけていた。

・・・・・・・ただ、悲しいだけだった。
ソロへは何の怒りも感じなかった。ただただ、悲しかった。

・・・ロトもオレと同じ気持ちなんだろう。涙を流していた。


・・・・・・オレは、全て理解した。笑い声も落書きも、トラップも、あの無邪気な笑顔も、ソロがオレについた嘘も全て全て。

理解した。

しかし彼は、なぜこれほどまでに過酷な運命を背負わなければならないのか。
なぜ、こんな誰にも責任がないような形で、人殺しという大罪を被らねばならないのか・・・。

それだけがわからず、悲しかった。

・・・・・・・・・・・そして、ソロがここまでボロボロになってしまった理由を知ろうと決意した。



玄関扉の前に立つと、閉ざされていたはずの扉はまるでオレたちを待っていたかのように開いた。

外にいたみんながオレたちのほうを見る。

・・・・みんな驚いている。

無理もない、3人ともどう見ても血まみれなのだから。
怪我はないか、無事かと心配してくれるのをありがたいと思う反面、オレたち以外はこの屋敷の中で起こった惨劇を知らないのだと思うと虚しくもなった。

サマルとアレンが、真っ先にムーンはどうしたと訊いてきた。

・・・・・・ロトは静かに目を閉じ、首を左右に振った。

2人の顔に絶望の色が広がる。
サマルはその場に崩れ落ち、アレンは玄関の扉を開けて屋敷の中に入ろうとしたが、扉はもう開かなくなっていた。

アレンは目を見開いて、声もなく涙を流した。
アレフが泣きじゃくるサマルを抱きしめ、後頭部を撫でている。

エックスの回復呪文を断り、ソロが力なく屋敷を振り返る。
・・そして膝を折って座り込み、うなだれた。

一体何があったのか、と訊いてきたのはエイトだけだった。
オレは無表情でソロを見て言った。

あいつがああなるぐらいのことが起きたんだよ。

エイトは唖然として、エックスたちに慰められながらさめざめと泣き続けるソロを見ていた。

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プレイヤー1人死亡 生存者 残り11名


4日目 13時01分 ―サマル―

どうやらボクは泣き疲れて眠ってしまったようで、目が覚めて最初に見えたのは・・・
どこかの部屋の天井だった。

天井の模様が城の自分の寝室と似ていたから、一瞬、今までのことは全部悪い夢だったんだ、ムーンもちゃんと生きてるんだと思いたくなった。

・・・・でも、違う。

体を起こすと、タオルで服に染み付いた血を拭くレックさんの姿が目に入った。

ロト様が壁にもたれて眠っている。・・その傍らには、サブマシンガン。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・夢じゃ、ないんだ。
これは紛れもなく、現実だと・・・思い知らされた。

・・・・ムーンには・・・・・・もう会えないんだ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

・・・・もはや涙は出尽くしてしまったようで、いくら悲しくてももう出てこなかった。

眠っている時、ムーンとアレンと3人で旅をしていた頃の夢を見た。
・・・宿で話をしたり、3人でトランプをしたりなんかしていた。
・・・・・・・・本当に楽しかった。

戦いでは守られてばかりだったけど、でも確かに・・・3人での旅はいい思い出だった。
大切な・・・幸せだった、掛け替えのない時間だ。

けど今はもう、ムーンは・・・死んでしまった・・・・・・生き返ることはできない。

もう二度とあの笑顔を見られない。話せない。呪文の上手な唱え方を教えてくれることもない。

・・・・・・・・・これが、この世界が夢だったらどんなにいいだろう・・・・・・・・・。

そう思わずには、いられなかった。

・・・・・・・・・・・だめだ、だめだよ。・・悲しんでばかりじゃ何もできやしない。
もう充分悲しんだ。涙が出なくなるほど。

・・・・・・・・・・・強くならなくちゃ・・・・・・・・・・・・・。
もう、もう・・・いい加減、一人前の勇者にならなくちゃ。

アレンだって、ボクと同じくらい悲しかったはずだ。でももう泣くのをやめて、いつもの顔つきに戻って、いつもの目に戻って、みんなと戦いの時の話をしている。

ボクは・・・ボクはもう・・・自分に甘えるのをやめないといけないんだ。
自分の弱さに甘えるのを。

ボクは・・・・・・・・・・・ムーンの分まで、生きなくちゃ・・・・・・・・。

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・・・そう決意すると少し体が楽になったような気がした。
やっと、ベッドから立ち上がれるようになった。

・・・アレフ様に聞くと、ここは血の池のすぐそばにできていた新しい拠点らしい。
レックさん曰く少し前まではなかったものだから、ゲームが進行していると見ていいみたい。

ボクが寝ていたのは2階だった。
1階に降りていくと、そこは広めのリビングみたいになっていて、奥側には本棚がいくつかある。