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伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第12話

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レック「・・お前らだったのか」

ロベルタ「うん。でもやっぱり面倒くさいね。こうやってお話してみたいよ」

・・・・・・・・・・ん?・・・おかしいな、何かが引っかかる。
あの筆談の内容・・・・・・確か・・・・・・・・




―――誰が半殺しにしろっつったよ!


レック「・・・・・・・・・・?どういう意味だ・・・?」

ロベルタ「あー、気付いちゃったか。でもそれだけは知らない方がいいよ」

知らない方がいい・・・?
まだ何か隠しているのか。

レック「いや・・・ロベルタ、教えてくれ。あれはどういう意味だ?」

ロベルタ「・・・・・。・・・・実はあの筆談、初日にしたものじゃないんだよ。
基本的に僕たちは意識がなくならないと入れ替れないから。
・・じゃあこれだけ言っておくよ。あれ、今からだいたい10年位前のやつ」

・・!!??

どういう・・・ことだ・・・・・・・・!?

ロベルタ「ここまで言ったら、お兄さんならわかっちゃうかな。まあいいや。
で、その時生まれた・・ううん、正しくは戻ったのが僕。

数時間のうちに今まで生きてきた世界の全てが失われ、挙句抵抗もできずに、それを引き起こした張本人に嬲られ弄ばれる。幸せだった日常からあんまりにも突然、生きることが地獄に変わった。
そんな日々に、世間知らずのただの人間だったお兄ちゃんが耐えられるわけがなかった。
いつになったらこの地獄から解放されるのか、それだけを考えながら過ごして・・・一番やっちゃいけないことをした。自分がその状態になってからどれくらい時間が経ったかを数え始めちゃったんだ。

その時、もう既に限界を超えてたお兄ちゃんの心は完全に壊れてしまった。
ピサロっていう人を楽しませることもできなくなって、殺されるのも時間の問題だった・・・
でもその時、本能的にお兄ちゃんは生きようとした。自分の中に溜め込まれた苦しみをどこかに排出して、少しでも楽になろうと無意識にしてた。

その結果、溜められる限界量を超えた苦痛の受け皿になったのが僕だったんだ。
辛い思いをしてる自分を「自分じゃない誰か」として見ることで楽になろうとした。
実際、その方法は有効だった。その「自分じゃない誰か」っていうのは僕のことだったから。
どんなに痛くても、どんなに悲しくても、悔しくても、惨めでも、そんな目に遭っているのは自分じゃない、自分とよく似た他の誰かなんだと思い込むことで、ほんの少しずつだけど確実に心の負担は軽くなっていった。

・・多分、それも勇者としての才能というか・・・生存本能だったんだろうね。
それができなかったらきっと自分で命を絶つか、人形みたいになって殺されるかどっちかだもん。
それができたから、今生きていられるわけだし・・・。
でもそんな普通じゃない経験のおかげで、お兄ちゃんは“意識体”から“人格”へと昇華した」

ある意味、運が良かった。
・・・・・・だと・・・・・・・・・・・・?

・・・・・言っちゃいけないんだろう、この言葉は。
きっとこの言葉は、言ったら今までソロが生きてきた意味を全否定することになってしまう。
でも、言わせてもらう。言わなければオレの気が済まない。


見つかった時に殺されていたら、どれほど楽だったか・・・・・!


・・・・きっと今、オレの顔は蒼白して固まっているに違いない。
手足は細かく震えているに違いない。

そんな思いをしてまで、ソロは1人の人間として生きようとしていた。そんな状況に置かれてもなお、自分を保ち続ける術を自ら見出した。そして生き延びてみせた。

地獄から、生還してみせた。

ああ・・・そうだ。
たとえその代償が重大な病であっても・・・
それで生きることができたのだから、誰にも嘲笑う権利はない。
軽蔑する権利はない。

それをけなすことは、「お前は生きる価値がないんだ」と罵声を浴びせることに等しい。
いや、それ以上だ。

生きている者としての尊厳を踏みにじる行為だ。

そう、そして、あの筆談。
10年前か・・・・ようやくその意味がわかった。

ソロがその状態から回復し今に至るまで、一体どれほどの年月が費やされたか?
1年2年では到底、無理だ。
5年。まだ無理だ。ありえない。

10年。・・・いいや、まだ足りないだろう。
そこまで考えてわかった。オレの頭の中で散らばっていたパズルのピースが音を立てながらすごい速さで組み合わさっていく。

絵が、完成されていく。
絵が・・・・このゲームの、トライアングルの、真実が。

ソロの謎めいた言動、壮絶な過去、タイムリミット、生存率、もうひとりの犠牲者、食い違う証言、天空人と人間のハーフ、沼地の魔物の死体、最初から空いていた屋敷の玄関、かなり前に消されたランプの形跡、隠し通路にあった何者かの足跡――・・・・・!

レック「・・・ぅ・・・・あっ・・・・・あああぁぁぁぁぁ・・・・・・・!!!」

すべて繋がる。
すべて理解した。
何もかも、わかった。

あと必要なのは最後のピース。あと1つ。
1つだけが足りない。

あと1つあれば、絵が完成する。

レック「く・・・あああっ・・・畜生・・・畜生・・・・っ・・!!!」

どうして気が付かなかったんだ。こんなにもヒントが用意してあったのに。
ソロのあの言動もすべてがヒントだったのだ。
もっと早く気付いていればムーンも死なずに済んだ・・・・!!

レック「ああああああああああああああああああ・・・・・!!!!」

ロベルタ「・・・・・・・・残念だったね、お兄さん。
僕があの女の子を殺す前に気付かなきゃいけなかったんだよ?・・くすくすくす。
でもよかったね、これでもう僕は誰も殺さない。
1つ目のイベントはクリアだよ」

――――――――
――――――
――――

5日目 03時16分 ―レック―

わかった、・・・タイムリミットがあるのにこの世界での制限時間がない理由が。

10年前の筆談がなぜあんな形であの場に残っていたのか。

そしてこのゲームの名前、「トライアングルの中心」の本当の意味、それは・・・


“ループ”だ。

トライアングルは三角形を示す言葉だが、その真の意味は・・“つながっている”ということ。
3つの角はそれぞれ、次の角までの道を繋いでいる。
そこから進むと次の角へとたどり着き、また進めばその次の角へ。そしてそこから進めば、最初の角に戻ってしまう。

この世界も同じなのだ。

来た時最初から開いていた、あの屋敷の玄関扉。
かなり前に消されたランプ。
埃をかぶっていない本。
初めて見つけたはずなのに何者かが通った形跡のある隠し通路。
そして何より、誰も入っていない場所、鍵がかかっていた場所、時間的に不可能な場所にあった血文字の落書き。

それらは、初日より前に誰かが屋敷にいたことを語っている・・・そこまではわかったのだが。

まさかそれが自分たちだったとは・・・・・・・・・・。

ロベルタ「これでわかったでしょ?同じことが永遠に繰り返される。
ループするたびに記憶とそれまでの体の状態とかはリセットされるみたいだね。“犠牲者”であるお兄ちゃん以外は」

そうだ。