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伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第21話

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それどころか気付いた時には俺の目の前まで移動していて、左手で勢いよく首を掴まれた。
予想していなかった衝撃に、体から力が抜ける。

片手とは思えない信じられない力で持ち上げられ、足が地面から離れる。
・・ソロはもとの無表情に戻っていて、その目は俺をまっすぐと静かに見つめていた。

首が締め付けられる。まるで万力のようだ。視界が赤く染まり始め、意識が朦朧とし出す。

ロト「ぁ・・・ぐ・・・・・・っ」

その時、レックがサマルの名前を呼んだのが聞こえた。
そして直後、銃声。

ソロの体がガクンと傾く。
手の力が緩んだので、俺はすぐにその場を離れレックたちの方に移動すると、自分にベホイミをかけた。

レック「ソロっ、オレたちがわからないのか!?どうしちまったんだよ!!」

そう叫びながらも、レックはソロに銃を向けていた。

ソロは血の滲んだ脇腹を押さえ、こちらを睨みつけた。
まるで言葉を忘れてしまったかのようだ。

ロト「どうしたってんだ・・・一体・・・」

レック「・・エヴィギラヴィットの殺傷本能が目覚めちまったのかも知れない。
「自分と自分の仲間以外の生命が視界に入れば即座に殺す」という行動式を例外なく持ってるらしいからな・・・」

ロト「・・・どうしろって言うんだ」

レック「どうにかしてソロの理性を呼び戻さなくちゃならない。多分・・・・」

レックが言いかけた時、崩れてボロボロになった壁の一部が宙に浮かび上がり、・・ソロの頭上まで移動したかと思うといくつかに分裂し、それがまたさらに分裂して散らばる。
石の砕け散る音と共に、その破片が一瞬にして先の尖った杭の形になった。

それらの先端は全てこちらを向いている。

レック「ロト、あっちだ!」

それが目にも止まらぬ速さで飛んで来て、別々の方向に走り出した俺たちの後ろを追いかけるようにして地面に突き刺さっていく。

レック「・・・・・気絶させるしかない・・・・!!」


2日目 08時34分(7日目 22時52分) ―レック―

レック「サマル、こっちに来い!」

怯えて動けなくなっているサマルに向かって叫ぶ。
それから・・・・・・

・・・・・・・!!!

足元に白い紙が落ちている。オレは拾い上げ、急いでそれを読んだ。

『ここに来るまでの通路に、彼と戦うのに有効なヒントが隠されている。
ここまで運んでくることが可能だ』

レック「何・・・!?」

ヒント・・・!?くそ、どうしてこんな時に限って・・・
・・・・・・――!!

ここに来るまでの通路、そうか。あの紫色の光だ!でもどうやって・・・・
ここに運んでくることが可能?どういうことだ?

だがここで考えていても駄目だ。解決策が見えたなら行動あるのみ!

レック「ロト!!すまん、ここで持ちこたえていてくれ!!すぐに戻る!!」

サマル「ど・・・どこに行くの・・・?」

レック「大丈夫だ、お前はここで待ってろ。できたらロトと一緒に戦ってくれ」

サマルが少ししてから、銃を握り締めて頷いたのを確認し、オレは走り出した。

今まで通ってきた通路を駆け戻る。扉をいくつか抜けると、あの通路に出た。
まだ紫色の光があたりを覆っている・・・

レック「・・・どうすれば」

・・目に入ったのは、壁にある小さな四角い窪みだ。ガラスの板が貼ってある。

オレは直感的にそれに向かい、ガラスを割った。
すると、ガラスを割る前はなかった黒い水晶のようなものが中に現れた。隠蔽魔法がかけられていたんだ。

真っ黒な、手で握れる大きさのものだ。ぎざぎざしていて・・・電気を帯びているのか、バチバチと光の線が周りを飛び交っている。

オレがそれを取ろうとして手を伸ばした瞬間、触れた指先から全身にかけて激痛が走った。

レック「ッ!?」

指が焼け焦げている。やはり電気・・・

レック「・・・っくそ・・・早くしないと・・・・・」

オレは早く戻りたい一心で、一度大きく息を吸い込むと、思いっきり歯を食いしばってその水晶を掴んだ。

バチバチバチッ、と体中ででとてつもない衝撃と焼け付くような痛みが駆け回る。

それを出すと、電源の落ちるような音と共に、紫色の光が消えた。

レック「うぐくッ・・・ぅう・・・!!」

少しよろめいたが、オレは必死の思いでその場を後にした。

再び通路を走る。その間も全身の痛みは増し、水晶を持った手から煙が上がり始める。
きっとこれは、電流から何かのエネルギーを生み出しているものなんだろう。

さっきの洞窟に戻ってくると、早速手頃な窪みを探し・・・その中に水晶を押し込んだ。

その途端、電流が空気中を走る鋭い音が洞窟内に木霊する。
壁に電撃の閃光が走り、空間がすう・・・っと暗くなり始めた。

心臓が破裂しそうだ。水晶を持っていた手は燃える直前で、焼け爛れて麻痺しているが・・・

やがて、あの紫色の光が洞窟内を埋め尽くした。

ロト「・・! レック・・・!!」

血だらけになったロトがサマルをかばうように立っている。

・・・オレは顔を上げて絶句した。

空中に浮いているソロの背後から、数え切れないほどの半透明の青白い何かが・・・・・・・・

サマル「・・・・・・・っ・・・・!!」

それは人間の腕と同じくらいの太さの、触手のように見えた。しかしその先端は人の手のような形をしている。
何十本あるかわからないそれらはソロの背中からまるで細い花びらのように伸び、辺り一面を埋め尽くしている。
煙のようにゆらゆらと蠢き、絶えず波打っていた。

レック(・・・神の・・・・・・腕・・・・・・・・・)

・・・そう言えばあの本には、特殊な光を通すと見えるようになるって書いてあった・・・。

ソロの様子がおかしい。目が見えなくなったせいか、動きが不安定になった。

その時、・・・・・

ビリ、と左手の甲に鋭い痛みが走った。
今まで生存率が変化した時とは違う痛みだ・・・・・・

だが左手はあの水晶のせいで焼け爛れ、数字が読み取れなかった。
それでも、痛みとは別にこれまでと決定的に違うことがあるのはわかった。

光が、赤いのだ。

血だらけになっているせいかとも思ったが、そうじゃない。
今までの青い光よりも強く、熱を帯びた光だった。

レック「・・ロト!サマル!」

オレは2人の方へ駆け出した。




2日目 09時08分(7日目 23時26分) ―サマル―


突然左手に電撃のような痛みが走った。

まさかと思い手袋を外して、生存率を確認すると・・・

ボクの目に飛び込んできたのは強烈な赤い光。
今までの青い光と違って連続的な痛みが残る。

そしてそこには、ぐにゃぐにゃに歪んだ字が・・・

『0,23』

サマル「・・・・・・・え?」




2日目 09時08分(7日目 23時26分) ―ロト―


突如、左手の甲に鋭い痛みが走る。

生存率が変化した証だが・・・今までより痛みが強かった。
嫌な予感がしたが、確認しない理由はない。

・・・・・そこには赤い光とともに、『0,14』という数字が浮かび上がっていた。

これはどういうことだ?