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伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第21話

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今の状況では生存率は残りの制限時間を表しているはずだ。まさかもう、これほどまでに時間が残り少ないということなのか?

いや・・・そもそも整数単位がゼロになっているということは・・・まさか
・・・・・・・・・・・・もう1分もない・・・!?

ロト「・・サマル、生存率を見たか?」

サマル「う、うん・・・」

サマルが左手を見せる。
そこには、『0,23』という数字が・・・

ロト「・・残りの時間じゃない?」

残り時間を表しているなら、俺たちはみんな同じ数字になるはずだ。
だったら・・・

レック「・・ロト!サマル!」

壁の方にいたレックが駆けてくる。生存率を見たんだろう。

・・・その時。

目の前を青白い光が走った。

それと同時に、立ち止まったレックの体がふっと消えた。
いや、違う。・・吹っ飛ばされたんだ。

その証拠に、かなり離れたところでレックが両足で地面を削りながらなんとか体勢を整え、着地しているのが見えた。

が・・・その両手は腹の真ん中に当てがわれている。
じわじわと赤い染みが広がっていき・・・・

ロト「レックッ!!」

頭上で耳をつんざくような雄叫びが聞こえた。

ソロが頭を抱えて、苦しげに表情を歪ませている。
だがやがてその叫びは徐々に・・・笑い声へと変わっていった。

赤い血がついた触手を掲げて、何かのタガが外れたように笑い続けている。
真っ暗闇の中、手探りで獲物を探し当てたからか・・。

レックを見ると、膝を地面につけ、口からは血が大量にこぼれ落ちている。

回復呪文を唱えようと魔力を集中させかけた時。

・・背中に衝撃を感じた。

それは胴を突き破って俺の目の前まで上がってきた。
手ではなく、まるで槍の先端のように尖った形をしている・・・。

形を変えられるのか。

血で濡れたそれは、今度は俺の右肩より少し下・・・鎖骨のあるあたりに突き刺さり、背中から出たかと思うとすぐに別の場所に刺さり、胸の真ん中から出てきた。

ロト「が・・・・がはっ・・・・・」

少し前のめりになり、喉の奥からせり上がってくる血を吐いた。

ギシっと、触手の刺さった箇所が締め付けられる。
・・・・・体を、縫われたのだ。

サマル「ひ・・・・・・ぁっ・・・・!!」

サマルが顔を恐怖に引きつらせ、後ずさる。

ロト「・・・サマル・・・・・っ逃げ・・・ろ」

体から力が抜けていく感覚の中、やっとのことでそれを口にした。

サマル「・・ぃ・・・ロト様・・・・・・ッ」

もうそれ以上、声を出すことはできなかった。




2日目 09時09分(7日目 23時27分) ―サマル―


ロト様が・・・ロト様が全身のいたるところから血を噴き出しながら、倒れた。
ズルズルッ・・・とロト様の体から、青白い何かが引き抜かれる。
布に縫い針を何度か通したあと、糸を引き抜くみたいに。

ボクは首を左右に振りながら、目の前の光景を否定しながら、後ずさった。
するとたった今までボクがいた場所に、ものすごい速さで青白い光が落ちてきた。
衝撃で軽く吹き飛ばされる。

そこには、青白く透き通った・・・普通の何十倍もの大きさの手が・・・何かを叩き潰すように地面に深くめり込んでいた。

・・・今、後ずさっていなかったら、確実に死んでいた。

ボクは地面を蹴り、とにかくソロさんから離れようと必死に走った。

・・レックさんが倒れている。動いていなかった。
周りは血だまりで・・・・・

その瞬間、うつ伏せに倒れたレックさんの背中に、またあの光が振り下ろされる。
普通の大きさの手の形をしていたけど、振り下ろされた速さと衝撃はさっきのと何ら変わりはない。

レックさんの体が跳ねて、ベキッ、と嫌な音がした。

サマル「ひ・・・・・っ・・・」

思わず目をそらすと・・・

目の前に閃光。

凄まじい衝撃を全身に感じて、視界が横に吹っ飛んだ。

そのままボクの体は壁に激突し、床に投げ出される。
地面に落ちたあと、崩れた壁の破片がぱらぱらと落ちてくる・・・。

サマル「・・・・・がっ・・・・」

少し遅れて激痛。息ができない。
でもボクは必死の思いで、ふらつきながらなんとか立ち上がると、お腹を押さえながら壁に手をつけ、移動を続けた。

同じ場所に数秒でもいれば、殺される。

背後で地面が砕ける音がした。




??? ????????? ????? ―レック―


気がつくとオレは、白い・・・真っ白いところにいた。

ここはどこなんだ?

・・・・・・・・・・・そうだ、オレ・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・オレ、もしかして・・・死んだ、のか?

一瞬そんな考えが頭をよぎった。
でも・・・違う・・・・・・・・。

雨が降り始めた。
・・だがその水は、透き通った青色をしている。
それに肌にあたる時、じんわりとした温かさが生まれ・・・

手を広げて雨を受けるととてもいい気持ちがした。
なんて温かいのだろう。


・・・・・・歩いていくと、徐々に足元にその水が溜まり始める。

・・・・奥の方に誰かがいる・・・。

・・そいつは真っ白な地面に座り、片膝を立てて上を見上げていた。
オレの足が水の溜まった地面を踏む音で、こっちに気付いた。

・・ほんの少しだけオレを見ると、ため息をついて視線を戻す。

・・・・・・・・ソロ。

これは夢か・・・・・・・。しかも一度見たことがある。
雨が地面を打つ音だけが、しばらく響いていた。

レック「・・・・・・・何してんだ?」

オレが声をかけると、今度は後ろを向いてちゃんとオレを見た。

ソロ「・・・・・・・・なんで来たんだよ・・・・」

どちらかというと苦笑いに近い笑い方だった。
それでもその表情に、安堵の感情が混じっているのには気付いた。

レック「・・悲しいことばっか思い出してても、元気は出ねえぞ」

オレは言いながら、ソロの隣に座った。

ソロ「ん・・・」

ソロは下を向き額を膝につけて、目を瞑った。
そのまましばらく、何も言わなかった。

・・・・この夢はソロの夢。
夢は大抵がその主の心を映し出すものだ。夢の中では、何も偽ることはできない。
その時の感情をそのまま、何も誤魔化すことなく取り繕うこともなく、疑問に思うことなく全てを受け入れる。

だから夢の中では、気遣いや嘘の一切をなくした正直な気持ちや考えを聞き出すことができるのだ。
本人の口から。

レック「・・・・・・・・・・。」

・・・・・ソロは、おもむろに体を後ろに倒した。
両手を投げ出してほっと息をつき、眠たそうに目を細める。

現実ではソロは仰向けになることはできない。今ここでこうしているのは、ここにいるソロが、全てをさらけ出している証拠だった。

少しだけ溜まった水がソロの髪を揺らした。
前髪は濡れた頬に張り付き、ビショビショになった袖は腕に刻まれた傷を浮かび上がらせていた。

ソロ「・・これなら、泣いててもわからないだろ?」

少し頭を動かし、ソロはオレを見上げてそう言った。
顔にも容赦なく青い雨が降り注ぎ、肌を伝って落ちていく。

レック「・・・・そうかも知れないな」