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伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第31話

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あんたは知ってるじゃないか・・俺が死ぬより辛い思いをして何もかも犠牲にして、それでも与えられた使命を全うしたことを・・・・!その結果得たのが気の遠くなるほど長い長い孤独だけだったってことも!!
それなのに・・・・最後の最後でこんなことになるなら」

その先は言ってはいけない。わかっていた。
・・でももう、止められなかった。

ソロ「俺がやってきたことは全部無駄だったってことになるじゃないか!!
一体何のためにあんなに苦しんで、何を成し遂げるためにあんなに努力したんだよ俺は!!一体俺は何のために生まれて、何のために生きてきたんだよ!!」

『・・・・・・・・・・・・・・。』

涙は出てこなかった。そんな余計なことができるほどの余裕はなかった。

ソロ「・・・・・こんなの酷すぎる・・・あんまりだろ・・・・!!
こんなことになるなら俺なんかいなくてよかった・・・
生まれてこなければよかった・・!!
あんなに辛い思いをして全てをかけて成し遂げたことが全部無駄になるなら、生きたいなんて思わなかったのに!!!」

次から次へと溢れ出てくる。
絶望。落胆。後悔。怒り。悲しみ。それら全てがぐちゃぐちゃに潰されてめちゃくちゃに混ぜ合わされたわけのわからない感情が止まらない。

頭が割れそうに痛い。

ソロ「・・・・・・・っ知ってたんだな・・破壊神たちのあのゲームのことを・・・・
俺がそのために呼び出されてこの世界から姿を消したことも、何もかも・・・」

『・・・・・・・・・この際もう話してもよかろう・・・・・。
おまえたちが参加しているのはマーサヴェルド・ヴォン・ケイアーヒェンと呼ばれる天界の恒例行事だ。数億年に一度行われる、破壊の神々によってただ一つの輪が選ばれる儀式』

ソロ「・・・・ッ」

『おまえたちは選ばれたのだ。そして互いの未来の可能性を削り合う。
新たな世界を担う代償として』

ソロ「知るか・・・そんなこと。何が新たな世界だ・・・不要になったものは命でも世界そのものでも切り捨てる・・・それがあんたたち神様のやり方なんだろ・・・・?」

『・・そうだな。言われてみればそうかも知れぬ。しかし我ら神々には、宇宙を、命を、そして秩序を創り出しそれを進化させていくという責任があるのだ。
おまえにもいつか理解できる時が来よう』

今更ながら、今ここでこうして話していることが全くの無駄であることに気付いた。

そんなものはいらない。理解したくもない。
下等生物なら下等生物なりに、与えられた生をできるだけ後悔することのないよう全うしたいと思うはずだ。そう思う権利はあるはず。

その権利を俺たちに与えたのは、創造主である神。
ならばその神であろうと、俺たちの生きたいという意思を無効化する権利などない。

ソロ「・・・・・・・・もういい。わかった。
あんたらが俺たちのことを何とも思ってないことはよくわかった。
・・残念だな・・・・」

全身から力が抜ける。

ソロ「・・・・神様が理解してくれないなら、俺たちも神様を理解する必要なんてない。
だから俺は俺のしたいようにやってやる」

強い感情を込めて低く言い放つ。

『・・・・・・・・・・・・・何をするつもりだ』

クリアで真空波を巻き起こすと、周りにいた天空兵たちは一瞬で切り刻まれ炎の中に落ちていった。
驚いて他の兵士たちが向かってくるが、俺は体を一切動かすことなくそいつらを一掃した。

ソロ「何って。・・・自分の意思で行動する権利をくれたのはあんたたちだろう。
今更否定なんてさせない。・・・・・・知ってるはずだ。
可哀想な俺に、どうかわがままを言わせてくれよ」

そう言うと同時に、すべてのクリアを出して体の周りに広げた。

『・・・そうか・・・・・わかった。いいだろう。
・・本当にすまなかった。私は・・・・・私はこれほどまでに哀れな生物を作り出してしまったのだな』

悲しげに翼を広げ、・・・俺を見る。

『おまえに背負わせた過ぎたる苦痛、この私が引き受けよう。
内なる声の法則に従い、生命の権利として・・・おまえに復讐の機会を与えることをここに認める』

――――――――――――――――――――
――――――――――


・・・・・・・赤く輝く世界。

俺が知っていた景色は、もう何処にもない。

今この世界に存在する生命は俺だけ。

何もなくなった。全て消え去った。

何故、自分だけがいつも生き残るのだろう。

何故、生きていなければならないのだろう。

その答えは自分が一番よく知っている。なのに、理解できない。


俺は一体、何なんだ?

人間だった。勇者だった。そして世界を救った。

狂気に囚われ、助けたはずの“仲間”を殺した。

勝利を得るため、数えきれないほど人の命を奪った。

復讐のために神までも屠った。

俺は一体何になってしまったんだ?


・・・空に亀裂が入る。音を立てて割れる。
その向こうには目に痛い青空。

途端、世界が再編され始める。

形を失った大地が、海が。新たな形を得て命の芽が芽吹く。

その何もかもが、俺の無意識によるものだと気付くのに時間がかかった。

・・・・・・そう。俺が創ればいいんだ。失ったのなら取り戻せばいい。
この力を使って。

なんだかとても晴れやかな気持ちになった。

空を駆け上がり、強い抵抗のある空間を抜けると、青空が夜空に変わった。

ひどく冷たい。

周りには無限が広がっていた。ここは・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

・・・・まだだ。まだ、足りない。俺を打ちのめすにはこの程度じゃ全然足りない。

きっとまだ何かある。

・・・・・そう確信したその時、俺は上に落ちていった。

・・・・そこはいつの間にか青空に戻っていた。だが不思議なことに、いつまで経っても地面にたどり着かない。青空と白い雲以外何もない。

だが最も問題なのは・・・クリアが出せないことだ。
俺は何か大きな力に引っ張られているらしい。


・・・・・眠いな。目を開けているのが辛い。

視界の隅に、突然巨大な青が映った。体の向きを変え、その方向を見る。
俺はかなりの速度で落ちているにも関わらず、俺の目に映るそれは全くと言っていいほど動かなかった。それほど巨大だということだ。

青い・・・・少し紫がかった、宝石?いや・・・・・

あれは一体・・・・・・何だ・・・・・・・・・・・?


周りにあった雲が一瞬にして弾け飛び、視界が開けた。

俺は目を見開いた。


・・・・・それは・・・・・白い塔だった。天空の塔?それよりはるかに、数百倍大きい。
形も塔というよりは・・・白銀色の細長い何か。
先端の円形部分の中央にある巨大な青い宝石らしきものが、杖を連想させる。

その円形部分の前には、大きな金色の円がそれを囲むように浮いている。
後ろには一言では言い表せないような色をした魔法陣。

そして最も目を引いたのは、円形部分の真後ろから生えた超巨大な翼。
それは片翼で、目が潰れそうなほどに白かった。

俺はそれを見た瞬間、悟った。
その塔の正体。今までずっと持っていた疑問に対する答え。

自然と・・・目には涙が、唇には笑みが浮かんだ。