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伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第32話

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この記憶はきっとこの先お前を苦しめることになるだろう。でもどうか・・・
・・・・・・最後の我が儘を聞いて欲しいんだ」

レック「・・・・・・・・忘れるわけないだろ・・・。
誰もお前のことを忘れたりなんかしねえよ・・・!!
なんで・・・なんでそんなこと言うんだよ・・・・・忘れるだなんて・・・・っ!!」

ソロの肩を掴んで叫んだ。おかしい。ソロは今オレの目の前にいる。ここにいるのに。

レック「消えるって何なんだよ、お前はここにいるだろ!?
これからもオレたちと一緒に戦っていくんだろ!!?
どうして・・・・どうして・・・・・・ッ!!」

本当に、ソロがこのまま消えてしまうような気がして。
本当にいなくなってしまうような気がして。
そしてもう二度と、姿を見ることも声を聞くこともできなくなってしまうんじゃないかと、急に怖くなった。
怖くて怖くて、体が震えだした。

ソロ「みんなを・・・・救いたい。この手で守りたい。でもこの手を動かすのが俺でなくともいい。そう、言っているんだ。俺の力ではもう、無理だから。

・・・・・・レック。ありがとう。ここまで一緒に来てくれて。
俺のすべきことに気付かせてくれて。
逆らえないなりに足掻くことを、教えてくれて」


そう言ってソロは、笑顔を見せた。

・・心臓を抉られたようだった。
そのあまりに寂しげで、死んでしまいそうなほど優しく美しい微笑みは、オレの心を地獄に突き落とした・・・。

レック「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

・・・ソロの体が崩れ始めた。
ぐちゃぐちゃな色の染みが全身に広がり、限界まで色が濃くなった部分から。
砂のようにこぼれて、消えていく。

レック「・・・・・嫌だ・・・・・ソロ、ソロ・・・!!」

風がどんどん冷たくなって。

オレはソロの手を掴んだ。

ソロ「本当にありがとう。そして、ごめんなさい。
俺のことを許さなくていい。永遠に許さなくていい。
ただ・・ただ覚えていてくれればそれでいい」

どんどん崩れていく。

崩れて、崩れて。



ソロ「ありがとう、レック。・・・・大好きだ。永遠に」



レック「・・・・・・・っ・・・・!!」


・・・・・・・・・・・・・握っていた手が崩れ落ちた。

空間を埋め尽くす染みが音もなくソロのいた場所に収束し、消えた。

・・・・・・無音。
何もない真っ白な空間だけが、ただただ広がっていた。


レック「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ソロ・・・・・・・・・・・・」


手の感触がまだ残っている。

オレの前には、ついさっきまでいた愛しい仲間の姿はもうなかった。




――――――――――――――――
―――――――――――
―――――――























9日目 05時01分 ―レック―






















レック「・・・・・・・・・・・・・・・」


・・・目が覚めると、オレは自分のベッドに横たわっていた。
部屋の中は暗い。

体を起こし、時計を見る。

・・・・・・・5時。9日目。


レック「・・・・・・・・・・・・ソロ・・・」

・・・・・・自然と、ソロの部屋へ向かっていた。


―――――――――――
―――――――



レック「・・・・・・・・っ」

焦る気持ちの中扉を開けると。

・・・・・・鏡の前。

誰かが座っている。椅子に。

部屋の明かりはついていない。暗くて見えない。

レック「・・・・・・ソ・・・・・ロ・・・・?」

その人物がこちらを見た。

そして椅子から立ち上がり、明かりに手を伸ばす。


―――・・・・・・パチン


「・・・・・・・・・・・・・・・・レック?」

レック「・・・・・・・・―――」


・・・・・・・・・・・・・・・・ソロ、だった。
不思議そうな顔で座り込んだオレを見下ろす。

夢の中で消える前と同じ、ソロだった。


ソロ「・・・・どうしたんだ?一体。何かあったのか?」

レック「・・・・・・・ソロ・・・・・・」

・・・・・体が軽くなったようで重くなった。力が抜けて肩が落ちる。
・・・・・・・・・よかった。ソロはここにいる・・・。

・・・・じゃあ一体、あの夢は・・・・・・・・・


ソロ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ソロ?」


頭上から聞こえた問うような声。

顔を上げると、ソロはオレに手を差し伸べることもせずにただ立っていた。

・・・・・・・・その時オレは気付いた。

その一言だけで。その1秒間の動作だけで。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・違う。


レック「・・・・・・・・・・・・お前・・・・・・誰だ・・・・・・・・・・・・」


ソロ「・・・・・・・・・・・・・・誰?」


オレの言葉を反復する。
まるでその単語の意味を知らないかのように。

そして突然、困ったようで悲しむような表情になり、オレに言ったのだ。


ソロ「・・・・・どうしてそんなことを言う?俺はソロの言う通りにしたのに」


―――――――――――
―――――――









??? ????????????? ???





―・・・なるほどねえ。逃げる道を選んだか。まあ彼らしいといえば彼らしい。
より確実に仲間を助けられる方がいいと。それによって自分の魂が消えてなくなり、光の輪の法則によって転生することも許されず・・・永遠に無の中を彷徨うことになろうとも、か。

―つまらないわ。もっとどうにかして抗おうって気にはなれなかったわけ?
ま、それが絶対に不可能であるとわかるまで進化しちゃったのが痛いわね

―うーん。僕としてもその力を過信して、もっと自分たちの運命をいい方向に変えようと奮起する方に転んで欲しかったんだよねえ。君の言うとおり、彼はそんな挑戦をするには少し成長しすぎたようだ

―・・・・・・・はぁ・・・・・こんなところにいたのか。おい、奴が呼んでいたぞ

―うんうん、わかってるわかってる。後にしてって言っておいてくれるかい?

―馬鹿を言うな。・・・お前たちはこの儀式を何だと思っているのだ。
必要のないことをするなと散々言われたであろうが

―必要あることよ?だって私たちが飽きちゃったらもうこのゲーム、水の泡じゃない。毎回同じじゃあんまりにもつまらないでしょ

―・・・・・・・・全く・・・・・・・・。
・・・・お前たちは、創造された生命を無意味に弄んでいるという自覚はあるのか?
俺にはそこまで儀式を奔放にする意義がわからん。
もう大凡の目星は付いているのだろうが

―まあねえ。いいじゃないか、何か損があるわけでもないしさ

―・・人間は確かに大半が救う価値のない、愚かで質の悪い下級生物。
しかしあの者たちは違う。聖なる心を持った選ばれし者たちだ。
何故にかくも残酷な運命を課す?

―・・・・・んー、面白いから

―そうね。特に深い理由はないわ

―・・・・・・・・・・・呆れてものも言えん。まあ止めはしない、好きにやっているが良い