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伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第35話

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全てが完璧。何があってもなくても、誰がいてもいなくても。

こんなに可哀想なことって、ない。

完璧なものに感情や心が介在する余地などあるはずがない。
今のソロさんに心が感じられなかったのはそのせいだ。

・・・・彼という存在は完結した。
既に物語は終わって、本は閉じられてしまっているのだ。

・・・・それなのに。



サマル「・・・なのに・・・なのに、終わってるのに、まだいる。
もう終わった物語の主人公なのに、その抜け殻だけが本の外に放り出されているんだ・・・」


アレン「・・・サマル?何言ってんだ・・・おい・・・?」


・・・体がガタガタ震えだした。
背筋が冷たくなり、奥歯がカチカチと音を立てる。

怖い。恐ろしくてたまらない。

必死に頑張ってきたはずなのに耐えてきたはずなのに、その結果がこんな仕打ちだなんて・・・!!
これが・・・・これが、完璧な力を手に入れた代償?
違う・・・・・


・・これはきっと・・・ただ、運命だっただけなんだ。

・・そうするしかなかった、他に方法がなかった、
・・・・とっても可哀想な人の・・・・末路・・・・・・・・・・。


サマル「・・・・・う・・・・・・うぁ・・・・・」


・・・・・・弱者に生まれ、弱者でい続ける権利を持っている自分は、なんて幸せなのだろう。
あんなふうに生きてる間ずっと苦しんで苦しんで苦しみ抜いて、最後の最後まで自分を犠牲にして自ら破滅を選ばずにはいられない存在にならずに済むのだから・・・!


アレン「・・・・サマル・・・サマル!?」

サマル「ああ・・・・ああああうわあああああああ・・・!!!」


なんて可哀想なんだろう、なんて報われない存在なんだろう!
ボクはあんなふうにならずに済んだ、でもそんな存在がすぐ近くにいて、すぐ近くで一番残酷な終わり方をした、それだけで逃げ出したくなるほどに恐ろしい・・!

これまで生きてきた中でこんな激しい恐怖を感じたことはなかった。
こんなにも運命というものを怖いと感じたことはなかった。
こんなにも神を恐ろしいと思ったことはなかった・・・・。


アレン「サマル・・・どうしたんだ、しっかりしろ!!サマル!!」


・・・・ボクたちは・・・こんな恐ろしい世界の中で、生き続けてきたんだ・・・・・・・。


サマル「・・・あぅ・・・・っ・・・・」


・・・・・・あ、そっか・・・・・・こういう意味だったんだ・・・・。

・・わかっちゃった、ソロさんが言ってたこと・・・・・。
考えようとするなって、あんなに何回も警告してくれてたのに、ずっと前から注意してくれてたのに・・・。

ボク、なんて馬鹿なんだろう・・・・・・・・・・。



アレン「・・・サマル・・・・・・。・・どうして。なんで。なんでお前がこんな目に遭わなくちゃならない・・・?お前が何をしたって言うんだ・・・・・?」

アレンは泣いていた。体が硬直したまま動かなくなっているボクを抱いて、呆然としていた。

ボクはぐちゃぐちゃの頭のまま、必死に手を伸ばした。


サマル「ごめ・・なさい・・。アレン、・・ボク、・・・ごめんなさい・・・・」

アレン「・・・・・・・・・・・」


・・・・・・アレンが何も言わずに抱きしめる力を強くした。
その手はひどく震えていた。

そこで、ぷつんとボクの意識は途絶えた。

















  しかたないな。

  いつかはわかってしまうだろうと おもってはいたが

  こんなにはやいんじゃ はなしにならないなあ。

  まあ まだじかんはある。

  すこしばかり きけんなめにあうとはおもうが

  せっかくだから もっとちかくにきてもらっても いいかもしれない。














――――――――――

―――――

――












・・・・・・・・・・・・・え?


・・・・・・ここ・・・・どこ・・・・・?



・・・暗い。薄暗い・・・。
・・・・足元を見ると、・・石畳だろうか?冷たい。


ボク、あれからどうしたっけ。アレンと話してて・・・それで・・・

・・・・え・・・・・?どこなの、ここ・・・!?

・・だんだん目が慣れてきた・・・・・。
・・・・ここは・・・牢屋?

かなり広いみたいだ・・・・・・。

静まり返っているけど、どこからか水滴が地面に落ちる音がする。


・・・・ジャラッ

ん?

なにこれ、鎖・・・・?足首に鉄の輪っかがついてる・・・・。
しかもなんでボク、裸足なの・・?


わけがわからない。


・・・これじゃ動けない。とりあえずどうにかしなきゃ・・・。




  へやのなかを みまわした。




・・・・あれ?向こうの方にもう一つ足枷がある。壁に繋がってる・・・でも壊されてる。




  へやのなかを もっとみまわした。



・・・・なにあれ。なんだろう、あの道具。変な形だなあ・・・
なんか気持ち悪い・・・・。

・・・・でも、あれを使えば足枷を壊せそう。・・・・・取れるかな。

・・・・もうちょっと・・・よし、届いた。



  てくびちぎりのペンチを てにいれた。



・・・・・・。・・・・よし、壊せた・・・。

・・・・どうしよう。ここから出たいな。
なんだかすごく嫌なかんじがする。

・・・・・一体ここはどこなんだろう・・・・?

・・・扉がある・・・。あそこから出られるかな。

  

  サマルは とびらをしらべた。
  かぎが かかっているようだ。



・・・開かない。・・・・・・どうしよう・・・。
・・・・・・・・?・・・あそこの壁、色が違う。もうだいぶ目が慣れてきたみたいだ。

・・・・小さな砂の山がある・・・。

  

  サマルは あしもとをしらべた。
  なんと ときのすなを てにいれた。



金色のキラキラ光る砂。
・・・少し手にすくってみた。なんだろう?

手を傾けると、さらさらと落ちていく。



 サマルは ときのすなを つかった!



サマル「!!」

突然目の前の景色が歪んで、ぐるぐる回りだした。
・・・わけがわからずじっとしていたら、徐々にそれは止まって・・・・

・・・・・・。・・あれ?

・・部屋の中が明るい。壁のランプに火がついてる。

ボクがつながれていた枷も、向こう側の壁にあった枷も壊れていない。

・・ボクはさっきの扉に手をかけた。

・・・・鍵がかかってない。
扉を開けて外に出た。

・・明るいなあ。ほんとにここ、どこだろう。

・・・地下通路みたいだけど、・・どこかのお城の地下かな?
石の壁には大きなエンブレムや盾、剣なんかが飾ってある。

でもそのエンブレムはよく見るとなんだか禍々しい。怖いな・・・。


・・・・あ。また砂・・・。今度は銀色だ。



  サマルは あしもとをしらべた。
  なんと ものわすれのすなを てにいれた。
  サマルは ものわすれのすなを つかった!



また景色が歪む。

・・・・今度は通路が暗くなった。壁に飾ってあるエンブレムや盾に赤い液体が付いてる・・・。

背後の扉はもう開かなくなっていた。