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伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第35話

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・・さっきまでの状態に戻ったのかな。

・・・・不気味だ・・・嫌だな、怖い・・・・・。


・・・本当に、ここはどこなんだろう。

ひょっとしてボク、夢を見ているのかな・・アレンと話してて途中で寝ちゃったとか・・・。

・・とりあえず進んでみよう・・・。


・・・暗い廊下を進んでいくと扉があった。鍵はかかっていなくて、開けるとまた同じような通路に出た。

奥に進んでいくと同じ扉があった。

それを開けると、また同じような通路だった。

また進んでいくと、同じ扉。

また同じ通路。同じ扉。


サマル「・・・あれ・・・?」

おかしいな・・・ずっと同じところをぐるぐるしてるみたい。
ループしてるのかな・・・どうしよう。

・・・怖い・・・・ここから出られなくなったらどうしよう。

・・そうだ、戻ってみよう。



・・・・・・・・・・やっぱりだめだ。ずっと同じ。ずっとずっと。

・・・何かしないとこの通路から出られないみたい。


・・何か・・・あ、さっきの砂・・・。
もう一回使ったらどうなるだろうか。



  サマルは ときわすれのすなを つかった!
  ・・・とくになにも おこらなかった。



・・・・・・・・。・・・何も起きない・・・。
どうしよう。



  サマルは かべをしらべた。
  なにか かいてあるようだ。



・・・・・?
この壁、よく見ると何か文字が彫ってある。
文章・・・?



  “だれか いるんだろ?
   とじこめられないうちに はやくこっちへ そこはきけんだ!”
  


・・・・・!
文字が消えて別の文章が浮かび上がった。



  “おまえはふたりめ”



・・・・・2人目?



  “おまえは じぶんでおもっているほど ばかではない
   まだきづいていないようだが
   えらぶことのできるせんたくしならたくさん
   のこしてある
   うごいてばかりでは みつけられない
   しんのすがたは こころをとめてはじめて みえてくる
   ろんりせいを あえてすててみるのも ひとつのて”


・・・・・・どういう・・・い・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!



・・体が凍りついた。

背後から人の気配を感じる。
ボクを見下ろしている。



 
  うしろに だれかいるようだ。
  ふりむいてみますか?

   はい  いいえ




サマル「・・・・ひ・・・・・」



  いいえ



サマル「だ・・・・だれ・・・・・誰なの・・・・・・・・?」


・・・・・・・背後の気配は動かない。
ただただ静かに、ボクを見下ろしている・・・・・。



  うしろに だれかいるようだ。
  ふりむいてみますか?

   はい  いいえ



サマル「・・・・・・・っ」



  いいえ



サマル「・・・だ・・・・誰か」


サマル「・・・・誰か・・・・助けて・・・・・・」



  “しんのすがたが みたいのなら
   にんげんのこころを ひとつのものとかんがえるといい
   たくさんあればあるほど こたえはみつかりにくい
   くいのないせんたくをできるよう つねにめをさましておけ
   なぜならむくわれるときがいつかは だれにもわからないからだ
   けれどもときおり かみはむじひにわれらでおあそびになられる
   れんぞくするふこうも りふじんなうんめいも すべて
   ばつでもなければ つみでもない すべてはきまぐれに”



サマル「え・・・!?」




  “そしておまえはしることになるだろう
   いつかはだれもがかんがえ しることになるだろう
   つまりこれは とてもかんたんなこと
   がんぜんのふうんを なげくのではなく
   だれかのしあわせを うらやむのではなく
   れんぞくするふこうを りふじんなうんめいを
   かえていくちからを みつけなければならない”
   

サマル「・・・・」

・・・後ろの気配・・・・・・・


  “こえられないよるはない
   ただし それははてしなくながいかもしれない
   えそらごとのような ものがたりだが みつめるだけではいけない
   ろうどくすることで ものがたりのけしきが みえてくるのだ”



・・・・そんな・・・・・・。わからないよ・・・・・

・・・・誰・・・・誰なの・・・・・・!?

・・・・・・・・・・・・怖い。怖い・・・・・・・!



  “こえられないよるはない
   ただし それははてしなくながいかもしれない
   えそらごとのような ものがたりだが みつめるだけではいけない
   ろうどくすることで ものがたりのけしきが みえてくるのだ”



同じ文章が一度消えて、また現れた。

サマル「ま・・待ってよ、そんなのわかんな・・・・」



  “はじめはむずかしいだろう
   やみにかくされた ほんとうのものがたりは
   くるしみをのりこえたものにしか みえてこない”



サマル「・・・・・・ま・・・・・っ」



  “こえられないよるはない
   ただし それははてしなくながいかもしれない
   えそらごとのような ものがたりだが みつめるだけではいけない
   ろうどくすることで ものがたりのけしきが みえてくるのだ”



・・後ろの気配がどんどん強く、冷たくなっていく。


心臓が早鐘のようにうち、冷や汗がにじみ出てくる。

誰、誰・・・!?


ボクの後ろにいるのは誰・・・・・・!?!?


サマル「・・・!!」






  “お  そ  い”






ぞわっ、と背中が冷たくなった。
そして背中から、どんどん体が冷たくなって。

痛いほど、冷たくなっていって・・・・・

サマル「あ・・・や、だ・・・・たすけ・・・・・・」

・・・・・・ぱちん。
何かがはじけるような音がした。


  “待て!待ってくれ頼む!そいつを壊すな!”


壁の違う場所に文章が現れた。


  “怒ってんだろ?わかるよ。でも待て。そいつを壊しちゃダメだ”



・・・・・・・え・・・・・?


  “オレはわかってる。お前は誰も傷付けたくなんかない。
  誰も失いたくないはずだ。さみしいのは、嫌なんだろ?”



・・・・・・・え・・・・・嘘・・・

・・・・・・・・まさか・・・


  “ひとりきりになるのは、嫌なんだろ?”


・・・・・・レック・・・さん・・・・・?

・・・・・じゃあ・・・・・・・・・・・・・


  “怒りや絶望に任せて誰かを傷つけても何にもならない。
  こんなの当たり前のことだろ。お前らしくもないじゃないか”


サマル「・・・・・・」


  “失敗じゃない。お前は正しかった。ただオレはお前自身のことももっときちんと考えて欲しかった、そう思うだけだ”


サマル「・・・・・・・レックさん・・・・・・」


  “だから、な。どうか考え直してくれ”


・・・・・しばらく時間が経つと、壁の文字が全部消えた。

体の冷たさも、背後の気配もすうっと消えていった。