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伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第40話

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object no.001: ・・・努力はしてみます。・・・・ミス

博士: 何かしら?

001: ・・・・・・・シャルルやrubbery達は、元気にしていますか?

博士: ・・ええ。・・・みんな毎日のように貴方の様子を聞きに、私の周りに集まってくるのよ。「いつになったらワンと遊べるの?」「おしゃべりもダメなの?」って。八方から質問攻めにされちゃうの。velvety達も言葉こそ発しないけれど、一緒に私のところに来るわ。
今日みたいにこっそりついてくることもたまにあるわね。本当に全然気付かなかったのよ

001: ・・そうですか。彼らは素早いし小さいですからね・・・また5階の通信回路の中で遊んでいて、出られなくなっていなければいいのですけれど

博士: そうね。・・でも悲しいこともあったわ。そのvelvety達のことなんだけど。・・・彼らの何体かがね、うっかり“動かないで”の隔離エリアに入り込んでしまったの。・・・急いで助け出そうとしたのだけれど・・・

001: ・・・・・・・死んでしまったのですか

博士: ・・ええ。見つかった時にはもう手遅れだったわ。滅多にない事故だった。・・“動かないで”は全然気付いてなかったみたい。悪気はなかったんだわ・・・

001: ・・・・あれほど、レベル3以上のフロアに行ってはいけないと教えたのに・・・・・

博士: 仕方ないわ・・・きちんとエリア整備をしていなかった私達の責任よ。しばらくレベル2と3の間の通路は封鎖されることになるでしょうね・・・

001: ・・・・・・・・・・(音声は確認されていません)

博士: ・・・いいのよ、我慢しないで泣きなさい。貴方はその涙に自信を持つべきよ・・・本当にスワードソン博士の意見が正しいなら、こんな風に何かの死を悼んで泣いたりするはずないんだもの

001: ・・・・・・・そうでしょうか。・・私に・・・罪のない生物達の死を悲しむ資格があるのでしょうか

博士: 勿論よ。悲しむ資格がないなんて現象は起こりえないのよ

001: ・・私は・・・信じていました。そしてどこか安心してもいたのです。彼らと一緒にいる間は、こういう種類の現実を忘れていられた。・・・・・でも私はもう、・・・私にはそんな権利はないのです。私は彼らに、遠ざけるべき危険を教えてあげられる存在ではない・・・私は・・・彼らが遠ざけるべき対象である“危険”そのものなのですから

博士:・・ああ、ワン・・そんなこと言わないで。貴方が苦しくなっていくだけよ。ほら、こっちを向いて。(しばらく沈黙)・・・貴方は何も悪くはないのよ。これは事実なの。だからそんなに自分を閉ざさないで。貴方は貴方のままよ













10日目 08時15分 ―エイト―


エックス「・・・ほんとにここにあるんだろうな?」

ソロ「ああ、そのはずだ。手に入ればこの世界から出られる」

僕たちは戻ってきた。閉ざされたはずの扉。庭に咲く花。
ここで「鍵」を見つけることができれば、このステージはクリアしたことになり次のゲームに進める。ソロさんはそう言った。

ここから出られる。そしてゲームを終わりに近づけることができる。・・しかし、心なしか彼の表情は曇っているように見えた。

レック「そう言やどこだったかに旅の扉があったよな。鍵かかってるやつ」

アルス「あ、そうだね。そこの鍵のこと?」

ソロ「・・・・・・・・・・・・・・」

アベル「・・・・・・ソロ君?・・どうかしたのかい?」

ソロ「・・・・・・いや」

ほとんど何も喋らずに、黙々と先頭を歩いていく。そしてまるで食事の後片付けをするかのようにトラップを解除し、無効化してゆく。
彼のおかげで僕らは無傷どころか一切の危険に晒されることなく、目的地にたどり着いた。

ロト「・・・・・・・・こんな場所があったのか・・・」

壁の裂け目を進んでいき、地下に降りさらに進んでいった先にあったのは、壁に無数の扉がある細長い部屋だった。

ソロ「・・・・」

到着するなり突然、ソロさんがその扉たちを次々に破壊し始めた。本人は棒立ちのまま何もしていないのに、その視線が向いた先の扉はひとりでに一瞬で粉々に砕け散る。

エックス「うお!?」

アルス「びっくりした・・いいの?」

ソロ「ああ」

右から4番目のものだけを残して、他は全て壊してしまった。
すると部屋全体の壁から軋むような音が聞こえ始め、残った扉の周りに赤い・・文字列のようなものが現れた。見方によっては模様にも見える。

ソロ「・・・・行こう」

どこか悲しそうにも聞こえる声で、ソロさんは僕らに進むよう促した。

・・・・扉を抜けた先には、道があった。・・・これは・・・どう形容すればいいのか。暗闇で埋め尽くされた空間の中に、流れるインクのような―支離滅裂な色が入り組んでいる―不気味な何かが、絡み合って1つの道を構成している。
その上をためらいがちに進みながら、僕は空間を眺めた。

エイト「・・・この先に「鍵」があるんですか?」

ソロ「そうだ。だがそれを探す前にひと仕事終わらせないとな」

ロト「・・・嫌な予感しかしてこないな」

僕たちはおよそ戦いに役立つものは何も持ってきていない。なぜならソロさんがそう指示したからだ。つまりその「ひと仕事」とは戦うことではない・・・のだろうか。
だとしても、まあ厄介なことに変わりはないのだろうけれど。

そのまま進んでいくと、突然道が途絶えた。代わりに目の前には・・・大きい、とてつもなく大きな円のようなものが現れた。道と同じ色で流動し、波打っている。

それは僕らや道に対して垂直・・・なのに、普通に歩くのと同じようにその面に向かって歩くと、ごく自然にそこに降り立ち、歩くことができるのだ。
今度は今まで通ってきた道が垂直になっている。

アレフ「・・・・・・・・ここは、一体・・・・・・」

ソロ「・・・言うところのボス戦だよ。少しばかり違反はしたけどな」


ソロさんが言い終わると、頭上の黒い空間に鋭い音を立てて亀裂が入った。
その隙間からどろどろとした、強烈な赤い色をした絵の具のようなものが大量に溢れ出てくる。
それは空中で蠢き、やがて円形の複雑な魔法陣になった。

レック「・・・・!」

魔法陣が赤く発光する。同時にその上に真っ黒い影の塊のようなものが現れた。それは徐々に人間のような形に変化していく。

ソロ「・・・・・よう。ちゃんと説教喰らってきたか」

現れた人物に、ソロさんはさも当然のように普通に話しかけた。
少し長いオレンジ色の髪と、禍々しい赤い瞳。
・・・・こいつは。

リトセラ「ははっそれがねえ、僕もう彼に見放されちゃったみたいなんだよねえ。何言っても聞かないからって理由で自由行動権もらっちゃった♪」

ソロ「・・アホか。で、今回は何をやらかすつもりなんだ?」

リトセラ「何もやらかさないよ、ていうか今まで一度たりとも何かをやらかしたつもりはないんだけどねえ」

破壊神は含み笑いをしながら魔法陣に降り立つと、僕らの顔を眺めた。