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伝説の超ニート トロもず
伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:Ruineme Inquitach 記録001

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「わからない。でもきっとすぐに戻ってくる。・・それから、この世界についての情報をほんの少しだけ預かった」

「情報?」

上空から吹き付けた風が、彼らの眼前を通り過ぎ、ビルの壁面を滑り降りてゆく。
まるで何かに操られているかのように。

「・・ここは・・・レーベンスボルン。この世界に生きる人々はそう呼んでいるそうだ。そして見ての通り、オレ達が生きてきた宇宙とは全く別の、違う種類の宇宙にある世界。
今この世界は未曾有の危機に瀕している。・・・それをオレたちの手で何とかして、救わなければならないが・・・・」

・・・その時。低い地鳴りのような振動が押し寄せ、空気を揺らした。


「・・この世界は・・・・・救われることを望んではいない・・・・・・・」


――――――――――――――――――
――――――――――――



ああ、約束の神々よ。絶対の理に縛られし英雄たちよ。
罪に濡れ堕落した我らをどうか救いたまえ。


創造主を失い、慈しみの心を忘れ、傲慢と冷酷の海に沈みし方舟を掬い上げよ。
哀れなる無数の魂に断罪を。歪なる進化を遂げし世界に制裁と救いを。
永遠なる闇を断ち切り、光の国へと導け。

輝く光の輪、全ての器離れしとき、我らその懺悔を赦さん。
詫びよ、そして誓え。代償として差し出すは何か。

審判の時、此処に来たれり。


ゲームスタート。

――――――――――――――――――
――――――――――――




―西暦2■27年 12月  エリアN20
              “アルカディア” 総合評議室にて



「・・・ありがとう、君のその主張を受けて私は自分のするべきことが理解できた」

椅子に腰をかけて足を組み、ブラックコーヒーのカップをテーブルから持ち上げると、男は苦々しげにため息をついた。

「君のオフィスに数日毎、カウンセラーを寄越そう。信頼できる優秀な医師を私が手配する。何も心配はいらない、少し体を休ませたまえ」

「ええ、お気持ちだけを頂いておきます。私はその処置が必要である可能性を加味した上で報告しているの。少しでも時間に余裕があるのなら、どうかそのコーヒーを飲み終えてから私の話に耳を傾けていただけないかしら」

早朝の評議室。中央の大テーブルとそれを囲む無数の椅子は空だ。
正面奥の壁一面を占拠するモニターには、淡々と日付と時刻、室内の温度と湿度が繰り返し表示されるのみだった。

出入り口のドアにロックをかけた状態で、三人の研究員が顔を合わせている。
そのうち一人は資料も持たずに、一人は漫然とカップを傾けつつ、一人はガムを噛みながら手持ち無沙汰にメモリチップを弄んでいる。

「ああわかった、そうするとしよう――まったくサムの奴、また砂糖を入れ忘れたな。ふむ。それで、何の話だったかな」

「今すぐにとは言わないわ。でも出来る限り早く、私達と同じライセンスレベルの職員をかき集めて欲しいの。それが終わったあとで、私に精神鑑定が必要かどうかはっきりさせます」

「まあね、問題はそこじゃないんだよ。その・・何だ、君がそうする必要があると思い立つに至った経緯をもう少し詳しくお願いしたいんだがね」

「先程申し上げた通りよ。私は確かに“彼”に会った、そして話をしたわ。これ以上詳しく説明しようがない」

すると小さなデータ端末を白衣のポケットに押し込んで、今まで何も言葉を発さなかった男がガムを飲み込み、口を開いた。

「まあまあ、まずは落ち着けよアリー。お前のことを疑ってるわけじゃないが―」

「あなたはしばらく黙っていて。それと軽々しく人の名前を略さないでっていつも言ってるわ」

「オーライ、ごめんよアレッサンドラ。だがちょいと待ってくれ。俺もヴィンスも今の寝起きの頭じゃお前の話について行けてないのさ。一度整理させてくれよ」

「そうだ、それがいい。ええと?・・・ううん、早い話が君はワンの―オリジナルが君の前に現れて、話をしたと言うんだね?」

「ええ。夢じゃなかったことだけははっきりしてる」

「それで“彼”は君に、こう言った。この世界は滅びの運命にある、自分達はそれを救いに来たと。そして手土産程度に君のテーザーガンを分解して、再構築してみせた。そしてどこへともなく消えた。これで合ってるかい」

「間違いないわ」

二人の男性研究員はちらと顔を見合わせ、―片方は神妙な顔で頷き、片方は頭を掻きながら椅子を引いて軽く腰掛けた。

「あー、その、あれだ。お前ちゃんと寝てるか?」

「ええ。心配ご無用」

「最近MYRの患者と接触したことは?俺の予想だと自律神経失調が深刻化して―」
                 、、、
「そういう話はあとにして、ミック」

「うん、君の言いたいことはよくわかったつもりだ。私としては直ぐにでも君の要求を飲んで行動に移りたいのだが・・・・今君が実感してる通り、他の職員たちが君の話を受け入れられるか定かじゃない―もっとも、何か証拠になるものがあれば話は別だが」

「そうね。あなた達の思ってる通り私がイカれてるんじゃなければ、じき証拠は向こうからやって来る。でもそれじゃきっと遅すぎるわ」

「ああ、確かに事態は深刻化している。・・わかった。そこまで言うのなら・・・君の言う通りにしようじゃないか」

「おいおい頼むぜ所長さん、今日は何曜日だ?俺はもう帰ってシャワーを浴びたら寝ようと思ってたんだよ。カフェテリアのプレッツェル食べ放題デーでもなけりゃあ―」

「いいかいミック、君の胸についてるライセンスをよく見てみるといい。君は忘れてるようだけど、僕らはここを動かす立場の人間なんだ。わかるかい?科学の神のための科学、そうだろう?」

ミックと呼ばれた男は盛大にため息をつき、机に後頭部を乗せて脱力した。
その様子を横目に、残りの二人は会話を再開する。

「感謝するわ、所長。用事が終わったら精神科医を寄越してくれて構いませんよ」

「その証拠とやらが我々の前に現れるかどうかで判断しよう。ひとまず、オンラインになっている職員だけ集めたまえ。それまで私も一眠りするとしよう」

隣の男と同じように背もたれに体を預け、脱力して目を瞑った一等研究室長の前を通りすぎ、女性研究員はノーメマイヤー―研究所の心臓であるマザーコンピュータ―のパネルに手を伸ばした。





―数時間前  エリアN24
              “アルカディア” 2階個人オフィスにて  


「・・・・・・・・・・・・」

デスクの奥に置かれた写真を見つめ、父は表現の難しい感情を噛み締めた。そしてそこに写る愛しい娘と、今は亡き妻に思いを馳せる。

幼い娘は5本のロウソクが立ったケーキを前に、母と共に微笑んでいる。その愛らしい笑顔にそっと手を伸ばし、触れた。

・・・・・・・そして深呼吸をすると、・・・・・・・・デスクの手前にある何かを持ち、自らの側頭部に先端をあてがった。
それは電流が流れる護身用のものではなく、紛れもなく殺傷を目的とした金属の弾を撃つための銃だった。

・・もう一度深呼吸をし、目を閉じる。

そして、震える小さな声で、神への懺悔を口にする。