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なかのあずま
なかのあずま
novelistID. 54195
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機動戦士Oガンダム

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 「ありがとうございます!」
 彼が案内をすると、彼女は少し離れた距離にいる青年とまでは言い切れない少年のもとへ走っていった。あの二人は恋人同士なのだろう。
 「グランさんとオリガさんが入っていった店に行ってもよかったんじゃ」
「…バカじゃないの」<改ページ>
などと他愛のない話をしながら歩いていく2人を挟むように子供たちが駆け抜けていった。

                    ≠

 日没、マイクロ・アーガマの停泊するドックに、ニロンは戻って来ていた。
 「やっぱこっちが落ち着くんだよなぁ俺は。えーっと確かここを・・・・ん?」
 特別に立ち入りが許可された無重力ブロックの通路を進んでいると左の頬に生暖かい感触がピトリとついた。そこを手で掬い取ると、指先が黒く染まっていた。
 横を見ると、『関係者以外立ち入り禁止』と書かれた扉から、赤黒い液状の球体が滲み出てきている。
「なんだよこれ・・・・・・・」
 扉を開けた先に、裸の男達が体に黒い穴をあけ、血をあたりに漂わせながら力なく浮かんでいた。
                    ≠
 「すいませーん、この機体を点検したいのですがよろしいですか?少し問題があるようなので」
 マイクロ・アーガマのデッキ内で、整備士がアウターを指しながら、艦内に残って作業をしているメカニック班に尋ねていた。
 「えぇっ?点検ですか?」メカニック班の中でもひと際小さなフィアが目を丸くしていた。
 「はい、少し動作のチェックを」
 アウターはまだ自分たちにすらわかっていないことが多く、彼らの手に負えるようなものではない。
 「こ、この機体はややこしくて、私たちにもよくわかんなくて・・・って、あのっ!」
 整備士は半ば強引にアウター・ガンダムのコックピットへ向かった。
それとほぼ同時に、ニロンがデッキへやってきた。
 「おい!あっちに死体が!」
 「チィッ」
 アウターへ近づく整備士が懐から銃を取り出していたのをニロンは見逃さなかった。
「そいつをアウターに近づけさせるな!」
その時、整備士だけではなく作業をしていた係員までもが次々と銃を取り出した。
 「動くな!」
 膠着状態へ入る前にニロンは一番近くの機体、ジム・セークヴァへと向かいながらアウターに向かう係員へ引き金を引いた。<改ページ>
 乾いた排莢音の後に呻き声をあげ、作業服に朱が滲んでいく。
 それでも尚アウターへの進行を止めない相手に再度引き金を引いた時、鉛の弾がニロンの左ももに食い込んだ。
 「ぅぐうッ・・・!」
 ニロンはなんとかコックピットにたどり着き、鋼鉄の防壁で身の安全を確保すると、ジョブ・ジョンへ緊急回線を開いた。
 「艦長、緊急事態だ!アウターが乗っ取られた!ここは敵に囲まれている!」
≪なんだと!?くそっ・・・・!≫
 間もなく、ジョブ・ジョンからマイクロ・アーガマ乗組員達に第一戦闘配置の知らせが届いた。「ここにいるものは直ちに配置について白兵戦に備えろ!!」

                    ≠

 反射鏡が太陽光を遮り、コロニーの陽は完全に落ちていた。タロとクシナは、夏の夜風が肌にあたる丘から街を眺めていた。
 「きれい・・・」
 夜空にはまた別の街の明かりが星のように瞬いていた。タロの中には、コロニーに置いてきた妹の姿があった。ファナも連れてきたほうが良かったのだろうか?そしたら今頃は、この景色を・・・
 「地球ってさ、空に見える光は全部星なんだって」
 クシナがポツリいう。
 「コロニー生まれだからさ、行ったことないんだ」
 「そうか、行ってみたいな」
 「うん」
 2人は思いっきり空気を吸うと、人工の大地にあおむけに倒れ込んだ。
 「腹減ったな」
 「泊まるとこも探さないとね」
 「ここでいいや」
 この背中の向こうには宇宙が広がっている。造られたゆりかごに包まれながら、悠久の海にとけてしまいそうだった。しばらくこの安らぎの中に身をゆだねていたい。
 「あっ!流れ星!」<改ページ>
 コロニーのそら、街の隣にある『河』の向こうには星が瞬いていた。そこにきらりと一筋の光が流れた。
 「天の光はすべて星、か・・・」
 「え?」
 「そんな本があるんだ」
 「いい題名だな」

気が付けば、タロはクシナの、クシナはタロの目を見つめていた。
 鼓動が次第に高鳴ってゆく
  互いの息をまさぐり、ぬくもりを感じあい・・・このまま・・・・

バリイイィィィン

 爆音がし、上空でグラスが砕け散った。スペースコロニーの中心軸である無重力帯が割れ、中から3機のモビルスーツが姿を現した。
 「なに・・・あれ・・・・」
 ジム・セークヴァとアウター・ガンダムが中空で閃光を描きながら激突していた。
 ≪タロ!クシナ!今どこにいる!?≫二人の持っていた通信機が鳴り、ジョブ・ジョンの声が響いた。
 「なにがあったんですか!?」通信機にクシナの唾えきがかかる。
≪アウターが奪われた!今はニロンが交戦しているが・・・・≫
 通信機から聞こえる声を聞いても、上空で繰り広げられている光景を見ても状況を呑みこめない。
≪すまない!こちらの不注意でこんなことに・・・!≫
「・・・・今から向かいます!」
≪来るな!そこで待機していろ!!≫違う声が答えた。
「グランさん!?なぜです!!」
≪こっちは銃撃戦だ!≫
「えっ・・・・・」
 通信機の向こうから届く生々しい銃声が、クシナをじわじわと締め付けていった。≪お前はアウターを取り返せ!!≫
その時、鈍い轟音が街の方から聞こえ、街には赤黒い炎が上がった。<改ページ>
不協和音を奏でるサイレンと共に声明が響き渡った。

『ただいま、緊急避難警報が発令されました。直ちにお近くのシェルターへ避難してください』

 タロはクシナの腕を引っ張って戦場へ向かっていた。シェルターへ避難する人々の波を掻き分け、逆らいながら
 かつて見た戦火の灯火がそこに上がっていた。今日を過ごした街が、戦渦にのまれた『あの日』と化していた。一つ目の巨人が街を焼いた、あの日へと
 『この日だ・・・俺はこの日から・・・・!』
「おい!!どこへ行くんだ!!!」
 タロの耳に届いた声は、あの学校にいた先生の声だった。
 「あんた・・・・さっきの」
「君たちは・・・!とにかくこっちへ!!」

 タロとクシナが “先生”に誘導されシェルターへたどりつくと、日常を燃やした火から逃げ延びた人たちが、薄暗い蛍光灯の中で寄り添って身を震わせていた。
「いったい何考えてるんですか!街へ向かっていくなんて」
 “先生”がタロとクシナを叱っていると、彼の教え子と思われる子供たちが駆け寄ってきた。
 「せんせぇ・・・ぼくたちかえれないの・・・?しんじゃうの?」
 「だいじょうぶ!きっとすぐに終わる・・・!」
 教え子たちをなだめる彼の姿に、タロは過去を少しずつ感じ取っていた。
 「それで?なんで街へ向かってたんです」
 再び2人に子供を叱る時の目を向けるが「・・・・ガンダムが奪われたんです」というタロの言葉に、彼の瞳孔が開いていった。
 「なんだって・・・・?」