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なかのあずま
なかのあずま
novelistID. 54195
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機動戦士Oガンダム

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 避難命令が解除され、シェルターに籠っていた住民は次々と帰路についていた。家が残っていない人もいる。身内を、隣人を亡くした人もいる。リボー・コロニーは再び戦禍にのまれてしまったのだから。


 鏡が次第に光の矢を反射し、コロニーの中を染めていった。先生は二人の若い軍人との名残を惜しんでいた。
 「もう行くのか?」
 「ああ」
 「そうか、残念だ…」
 「大丈夫だよ。あんたが叫んだ時、なんとなくわかった」
 「え?」
 「オレ、ニュータイプってやつだからさ」
タロがそういうと、彼は安堵とも憂いともつかない顔をしていた。
 「・・・・なぁ、またこのコロニーに来てくれよ」
 「えっ・・・?」
 「次はオレが案内してやるからさ」
 「・・・・・あぁ、いつか来るよ!」この戦いが終わるまでこの身がどうなるかもわからない。それでもタロは
「必ずさ」思いを押し殺して彼に約束した。


 タロとクシナはアウターに乗りこみ、互いが見えなくなるまで手を振っていた。
ハッチが完全に閉まると、教え子に囲まれた先生が全天周モニターに映し出された。
 彼は目から一筋の涙を流して何かを言った。
言葉は聞き取れなかったが、タロにはわかっていた。「・・・・さすが先生だな」
<改ページ>
 朝、若い陽の光がコロニーの『河』から街を染めてゆくころ、時計の針は6時を指していた。
 陽の登る中を、白いモビルスーツが翔び立っていった。
黄金の靄に包まれながら深呼吸をすると、彼の長い一日が終わりを告げた。



  おはよう、バーニィ








 港の襲撃も鎮圧し、艦内には白兵戦で飛び散った生暖かい血がこびりついていた。ネオ・ジオンによる係員と連邦軍整備士を偽っての奇襲により、クルーたちは肉体的にも精神的にも大きな傷を負っていた。
 「艦長である私の不注意でこんなことになってしまった。すまない」
もっとしっかりしていれば、と責めるものはジョブ・ジョン自身だった。
 「残念ながら、物資は僅かしかなく補給もままなっていない。我々はまず地球へ進路を取り、近くの連邦艦隊と落ち合う。」
ニロンが手をあげた。
 「それよりも連邦側のコロニーに行った方がいいんじゃないのか?ここから地球にたどり着く間にいつネオ・ジオンの襲撃にあうか」
 「正直言うと俺もそうしたい。ただ・・・今回の事を考えれば、連邦側だろうが何だろうが奴らは侵入できてしまうということだ」
 「そりゃあここが中立だからだろ?」
 「いや、あいつらは“連邦軍基地”から来た、ということは軍自体にも侵入できるってことだ」
 「そりゃ考えすぎだぜ・・・・」<改ページ>
 「それに、先の抗争で連邦そのものの地盤が緩くなっている。ジオンの手がどこまで伸びてるか把握できない現段階ではこうするしかない」
 「じゃあ地球へ行っても無駄かもな」
 疑心暗鬼、誰もが事を冷静に考えられず、安全圏を見出せないでいた。
マイクロ・アーガマがリボー・コロニーを出ると、そこから昨夜の傷跡が見えた。
 「わたし達のせいで・・・こんなことに・・・」
 「そういう考えはやめろ、身がもたねぇぞ」クシナにニロンが棘をつけて返した。
言葉を喉に詰まらせたまま、彼らは一分間の黙祷を捧げた。

 「まもなく戦闘禁止区域を抜けます」
 「コロニーでやってきちまったけどな」
 「艦長・・・・これ・・・・」と言ったオスカーの声色は震えていた。
 「なんだと・・・・・・」それは、まだ事件が終わらないことを告げた。
 レーダーには、五つの敵戦艦と数十機ものモビルスーツの機影があった。
「くそぉっ・・・・くそおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
 敵は、万が一アウターを奪取できなかった際の事を見越し、歩兵とモビルスーツの二重包囲網を形成していた。
 「総員第一種戦闘配置につけ!」
 「いや待て!」
突如マーカーが下した命令をジョブ・ジョンはすかさず止めた。
 「持久戦はできない・・・・白旗をあげて降伏をするしか…って、おいタロ!何する気だ!?」
 彼が回避方法を模索していると、それをかき回すようにタロ・アサティは走り出していた。
 「俺がアウターであいつらを殲滅してきます」
 「馬鹿野郎!何考えてんだ!おい待てぇっ!!」
 タロは艦長の制止も聞かずにモビルスーツデッキへ向かい、アウター・ガンダムに乗り込んだ。操縦室のシートには、まだ血がべっとりとついていた。
 「ハッチ開けてください。壊してでも行きますよ」
「艦長・・・」オスカー、マーカーの二人がジョブ・ジョンの指示を仰いだ。
 「開けてやれ・・・・壊されるよりマシだ」
<改ページ>
 カタパルトハッチが開いていきアウターが解き放たれ、タロの意思に応えるように敵陣の中へと進撃した。
「ううおおおああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
血管が千切れるほどの叫びが、真空で雷鳴の如く木霊した。