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なかのあずま
なかのあずま
novelistID. 54195
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機動戦士Oガンダム

INDEX|34ページ/46ページ|

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 ネオ・ジオン総帥、ミネバ・ザビ妃殿下である。妃殿下は、地球圏より遠く離れたアクシズの地より、アースノイドと、スペースノイドの融和、そして繁栄を日夜祈っておられた。今日この良き日に、ダカールの地に、ネオ・ジオンの足跡を記すことを妃殿下はこの上なくお喜びである。
 かくも盛大にお集まりいただき、妃殿下の後見人たるこのハマーン、妃殿下に代わり、地球連邦政府の関係各位に、心よりお礼を申し上げる!

 ハマーン・カーンの開式の辞と共に、一見和やかなパーティが始まった。場内の音声は警護隊に渡された無線により“合法的に盗聴”できるようになっていた。
 ≪おい、そこで何してる≫
 いつの間にやらもう一機のドワッジの手が自機の肩を掴み、お肌のふれあい回線が開通していた。
 「あぁ、ニロンさん。今までどこいたんです」
 ≪・・・・・なんだよノリ悪いなぁ≫
 「ニュータイプなんで」
 ≪ニュータイプを言い訳に使うんじゃないよ。それにニュータイプなら俺の考えくらい読み取れるだろ?≫
 「その上で、ですよ」
 ≪なんつーかお前はもっと可愛げってもんを身につけた方がいいぞ?≫
 「嫌ですよめんどくさい」
 ≪人間味ってのがどっか欠落してんだよお前は≫
 「あんたもでしょ」
 ≪・・・・・おめでたい性格してんな≫
 「お互い様です。で、どこにいたんです?」
 ≪昼は館内今こっち≫
<改ページ>
  『地球連邦って…ザビ家を倒そうとした大人の人たちだったんじゃないの?』

 「え?」
 ≪どうした?≫
 「今何か聞こえませんでした?」
 ≪いや≫

 『なんなの、これ…!みんな…嘘をついてる!心から笑ってる人なんて、ここには誰もいない!』

 それはタロだけに聞こえていた、タロだけが感じ取っていた少女の困惑と嫌悪から出る心の叫びだった。
 『この卑屈さはなに?これが大人なの?!この人たちは一体なんなの!?』
 その少女のいる迎賓館へと意識を向けると、国を捨て己の保身に走り、大義を捨てネオ・ジオンに媚びへつらう地球連邦の大人達の俗念が渦巻いていた。

 「そうか…これが、こいつらが魂を引かれた奴らか・・・・!腐ってる・・・!」

 ドウンッ

 大きな粒子の塊が迎賓館付近に着弾した。
 ≪よし、合図だ≫
 「違う!」
 タロはなぜかそう感じた。この光弾が合図ではないと、これは予定にないことだと。
 数分と待たないうちに見たことのないモビルスーツたちが迎賓館前に上陸し、対峙する形となった。
 金色の機体もいたが、その他の機体はカラーリングを見れば、さすがのタロにもわかった。
 ≪よぉーし作戦開始だ!≫
 「待ってください!こいつらは違います!」
 ≪どういうことだ≫
  その時、前方の重火器モビルスーツ、ズサが撃破された。
 ≪みたいだな・・・・ここは引くか!≫
<改ページ>
 みなさん!落ち着いていただきたい!これもセレモニーであります!

 ≪だとよ!肝が据わってんなぁこの姉ちゃん≫
無線からは相も変わらずハマーンの声が聞こえてくる。
 「えぇ、下手には動けないですね、どうします!」
 ≪どっかの陰で脱出するしかねぇだろ≫
 無線からクラシックな音楽が流れ出すと共に、ドワッジ両機に警報が鳴り、ガンダムMk-?と金のモビルスーツ、百式が光弾を放ちながら接近してきた。
 ≪ちっ!ロックオンかよ≫
 「やるしか・・・・ないか」
 全天周モニターの正面で“ガンダム”がビームサーベルを取出ながら迫る間に、ジャイアント・バズを腰につけ、背後からヒートサーベルを構えた。
 「・・・・またガンダムが敵かよ!」
二種類のサーベルが衝突し、鍔迫り合いの火花を散らした。

                    ≠

「アドルフ様」「どうした?」
 大気圏を遥か地にし、重力に掴まれないくらいの宙域にバレンドラは待機していた。
「カラバに潜伏した分隊からの報告によると、既にダカールで戦闘が始まっている模様です」
「そう」
「・・・てめえ、タロをどうする気だ」
 傷がある程度塞がり、なんとか歩けるくらいまで回復したグランがアドルフに迫っていた。
 「別に?どうもしない」
 「なんだと?」
 「もしこの作戦で死んだらそれまでだよ、生きて帰ってくる方がいいけどね」
 「――――――――――ッ!!」
 薄ら笑いを顔ではなく声に浮かべた少年の胸ぐらを掴みにかかるも、塞がりきってない傷口がそれを止めた。「ぐぅあッ――――!」<改ページ>
 「あーもう無理しちゃだめだよおっさん。タロにはもう一役二役かってもらいたいんだ」
 「あいつに連邦もジオンもぶっ潰してもらおうってか?あいつはそんなこと」
「先に面倒な奴を消す、タロにはそれを手伝ってもらうんだ」アドルフの眼はいつの間にかスクリーンに映った蒼い星を見ていた。「ニュータイプを食い物にするあいつを・・・」

                    ≠

 ダカール市街地と言うこともあり、モビルスーツの白兵戦は銃撃戦へ突入していた。
ライフルのビームが機体を掠める。
 ≪動きが悪いな、どうした?機体があわないか≫
 「違いますよ!けど・・・・」
 ≪けどなんだ?≫
 タロは、リボーコロニーを、そして戦争孤児になったあの日のことを思い出していた。
『もう・・・燃やすものか!』

 『失望したぞジュドー・アーシタ!お前がそれほど子どもだとは思わなかった』
 『残念だったな、せっかくのパーティーがめちゃめちゃになって!』

『なんだ!?』
 タロは再び、無線を傍受するように、声を捉えた。
 迎賓館内ではネオ・ジオンの女傑、ハマーン・カーンが銃口を向けていた。その先には、ガンダムの襲撃と共に館内に紛れ込んだもう一人のニュータイプの少年、ジュドー・アーシタがいた。
 2人のニュータイプの邂逅は、タロ・アサティの干渉を許した。

『動くな!お前にはわからないのか…このパーティーに駆けつける、我らネオ・ジオンに尻尾を振る大人どもこそ、この地球を腐らせる根源なのだと』
『だからって、あなたに正義があるとは思えないな!』
『私はアステロイド・ベルトで…ぞっとするほど暗く冷たい宇宙を見つめながら、何年も生きてきた・・・
 その間に、地球の愚かな人間たちは何をした…地球再建に奔走するあまり、地球の汚染を顧みず!あろうことか汚染を拡大させてきた!それを許すわけには行かない…!』<改ページ>

 漆黒のイメージがタロに流れ込んできた。『これが・・・この人の闇・・・?』

『フフフ…私はお前といると、すらすらと本心をしゃべってしまう・・・不思議なものだ』

  本心・・・・これが?

 『そんなこと言っても、俺はあんたの物にはならない!』
 『わかっている、お前には確かにニュータイプの要素を感じるが…お前は流れに乗るということを知らなさ過ぎる。直感だけに頼っていれば、いずれ破滅するぞ』
 『ニュータイプなんて知らないね!俺はリィナを助けるだけだ!』
 『この期に及んで、わたくしの感情で動くとは…初めは私に期待を抱かせ、最後の最後に私を裏切る・・・ジュドー・アーシタ、お前もだ!』