機動戦士ガンダムRSD 第12話 血に染まる海
ガンダムサイガーの攻撃武装は、全てが対ビームシール用武装でありビームシールドを貫通できる火力を誇る。
しかしこの武装は、地球連合を壊滅できるその時までのとっておきであり今使ってしまうと地球連合はガンダムの鹵獲に心血を注いでしまう。
ガンダムーひいてはマン・マシーン全てーは、絶対に鹵獲されてはならないものでありこの武装も今使うべきではなかった。
1機のガイヤス・ギヤは、1機の新型量産機にビームライフルを連射したがシールドで防ぎながら接近してきた。
そして1機の新型量産機は、ビームサーベルで切りかかってきた。
ガイヤス・ギヤもビームサーベルを抜刀し何度もつばぜり合いをしたが気迫に押されている。
※
リーン・ホースJr.では、戦況が逐一報告されていた。
「7時の方向にモビルスーツ、4」
ヘルマン中尉が報告した。
リーン・ホースJr.に新型量産機4機が接近していた。
※
それは、直掩隊も確認した。
「アルバート大尉」
アリーナ中尉は、叫ぶようにアルバート大尉に声をかけた。
「クソ」
アルバート大尉は、悪態をつきながらレール・キャノンから6連ミサイルポッドを排除し1機の新型量産機にレール・キャノンを撃った。
しかし回避され新型量産機は、反撃にロケット弾を撃ってきた。
アリーナ中尉は、レール・キャノンで1機の新型量産機を撃墜した。
※
セント・アイビスは、さらに1発のミサイルが命中した。
※
リーン・ホースJr.では、最悪の展開が察知された。
「後方に地球軍艦艇を確認」
エルヴィン中尉が戦慄しながら答えた。
その戦慄は、ブリッジにいた皆に伝わった。
とうとう敵は、包囲網を完成させたのだ。
「艦種は?」
それでもマーカー艦長は、冷静に質問した。
「多数のデモイン級、アーカンソー級とフレーザ級から構成される艦隊です。
空母は、伴っていない模様です」
エルヴィン中尉が答えた。
後方の艦隊に空母がいないだけでもありがたかった。
※
1機のキリー中尉は、1機の新型量産機に追尾されていた。
「やはり速い」
キリー中尉は、ベースジャバーと専用バックパック搭載のモビルスーツとの空中戦ではこちらが不利だと感じていた。
その時自分の近くに艦船からのミサイル群が来ているのに気付いた。
キリー中尉は、あえてその中を突っ切った。
しかし命中せずに突破した。
※
1機のパイロットは、回避しきれずその中に突っ込んだが何とか命中せずに済んだ。
すると敵パイロットは、それを見越していたように右上からビームライフルを撃ってきた。
「調子に乗るな」
パイロットは、攻撃態勢に入った。
※
後方のユーラシア連邦艦隊旗艦では、司令官が双眼鏡で戦況を見ていた。
「Nジャマーが開発されて以降戦場で主導権を握るようになったのは、モビルスーツだが我々のような船乗りが消えたわけではない。
所詮モビルスーツだのモビルアーマーだのマン・マシーンだの母艦がなければただの蚊トンボ。
そういう意味では、Nジャマーが開発されて以降も我々の存在意義は消えていない。
主砲発射準備。
狙いは、敵旗艦だ。
帰艦を沈めればどんな艦隊も烏合の衆さ」
この司令官は、今の時代では珍しい大艦巨砲主義者であり艦隊決戦こそ戦闘の華と信じ切っていた。
「はい」
オペレーターが答えた。
「司令、それでは命令に違反します」
副司令官が異議を唱えた。
この艦隊は、前方の機動艦隊司令官の隷属下にありその司令官の命令なしに発砲はできなかった。
「援護射撃だ。
援護射撃で敵を沈めても懲罰には、ならないさ」
司令官は、軽く答えた。
※
リーン・ホースJr.の後方にロケット弾が至近弾で命中した。
リーン・ホースJr.は、副砲で左舷にいた1隻のデモイン級を撃沈した。
※
リーン・ホースJr.所属のホーク・デッサウ中尉は、1機のマイナーチェンジ量産機が発射したロケット弾を回避すると反撃にビームライフルを撃ち撃墜した。
すると1機の新型量産機がビームライフルを撃ってきた。
ホーク中尉は、ビームライフルで水柱を造るとその中に一度退避した。
そしてビームライフルをマウントしビームサーベルを持たせた。
「お前は、エースだな」
ホーク中尉は、パイロットをそう判断し切りかかった。
新型量産機は、シールドで防いだ。
そして貫こうとしたが回避されたが動きを読み連続で切りかかった。
新型量産機は、気迫で押されシールドで防ぐのが精一杯だった。
「お前たちのせいでサキは、死んだんだ」
ホーク中尉は、前の戦争で死んだ恋人の敵討ちをとろうとしていた。
※
ガイヤス・ギヤに圧倒されているパイロットは、戸惑っていた。
「この気迫は、何なんだ?
こいつは、何者なんだ?」
パイロットは、仲間に援護を呼ぶ思考すら失っているほど混乱していた。
※
「艦長」
ミハイル副艦長は、袋小路を突破するためマーカー艦長に指示を仰いだ。
「ここで転進しようが先に進もうが艦砲射撃の餌食になることに変わりは、ない。
なら針路そのまま。
あたるなよ」
マーカー艦長が状況を分析しアルベルト曹長に命令した。
「はい」
アルベルト曹長は、苦しい表情をして答えた。
※
サイジョウ元帥は、上空からセント・アイビスの状況を見た。
「セント・アイビス」
これ以上被弾すればどうなるかわからい状況だった。
※
後方のユーラシア連邦艦隊旗艦では、副司令官が司令官を見た。
司令官は、静かにうなずいた。
「主砲、撃て」
副司令官の命令でユーラシア連邦艦隊は、α艦隊に向け艦砲射撃を始めた。
※
それは、α艦隊でも確認し皆はさらなる絶望に叩き落とされた。
※
「後方からも艦砲射撃が始まった。
どうすれば」
サイジョウ元帥は、思考をめぐらせこの事態を打開する策を考えた。
その時ガンダムサイガー改が大きく揺れた。
モビルアーマーに右足をつかまれてしまったのだ。
「しまった」
モビルアーマーは、そのままガンダムサイガー改を海面に叩きつけようとした。
その時モビルアーマーのクローを上空から飛来したものが切った。
サイジョウ元帥は、ガンダムサイガー改の姿勢を正して見てみるとガンダムサイガーMk-2だった。
「サオトメ」
サイジョウ元帥は、ガンダムサイガーMk-2を見ると言い知れぬ安心感に満たされた。
※
それは、ザムザザーでも確認できた。
「また新手か」
作品名:機動戦士ガンダムRSD 第12話 血に染まる海 作家名:久世秀一