ドラクエ:Ruineme Inquitach 記録005
「記憶に残ってないってことさ。育ての親がつけてくれたと思うんだが・・・あれ違ったかな。ああ、生まれてくる前から決まってたんだった。ちなみにここの言葉で言えるように細工したわけでもないし、ついでにもとイタリア語の単語と同じなのも意図したわけじゃない」
「違ったのか。じゃ偶然?・・にしちゃ何かしらの思惑を感じるなあ。音楽用語で独唱、または独演って意味だぜ。意味深すぎるだろ」
「ああ。なんだか盛大な皮肉を言われてるような気がするよ。彼らに出会うまでの数百年間、俺は自分がずっと独りきりだと信じてたからな。
ま、俺の身の上話なんざどこをどう採ったって不愉快極まりないクソの山だ、言うべくもねえ。なんでこんな話になったんだっけ?」
「あー、お前の友達に名前があるのかどうかって俺が言い出したから」
「そうそうそれだ。・・知りたいのか?でも俺がいちいち説明しないと誰が誰だかわからんだろ」
「そこはまあ・・・その、あれだ。一応科学者として未知の――」
「細胞採取するために拘束するとか言い出したらてめえのケツの穴6つに増やして顔と頭にある全部の器官と溶接するからな?」
「じょ・・冗談だよ。つかそれどんな状態だよ・・・」
「拘束しなくても勝手に細胞採って増やすとか改造するとかしたら少なくとも上半身のどっかに新しくケツ穴もしくは生殖器を5つ以上こさえてやるからな。肝に銘じとけ」
満面の笑みで恐ろしい言葉を並べ立てるソロから視線をそらし、ベクスター博士は盛大にため息をついた。
「・・じゃあさ、言いにくいんだけど・・・せめてデータだけでも保存させてくれないか?本当に情報だけ。マジで。お前ならわかると思うけどそのデータをもとに何かそれ以上のことをするのは絶対できないしする気もない、微塵もな。神に誓うよ」
「おいミック・・・怖いもの知らずにも程があんだろうがよ・・・」
会話を聞いていたクロウ博士が表情を強張らせる。
「ああ、いいぞ」
「いいのかよ!!」
突然絶叫したクロウ博士に、周りにいたほとんどの人間の視線が集まった。
「い、いや・・何でもない。すまん。何でもないんだ」
「いいの?ホントに?」
「別に情報だけなら何のことはない。そりゃまあ奇跡的な神の気まぐれってやつだしな、あんたらからすれば記録を残したいに決まってるだろ」
「あっさりしてんなあ・・・まとにかく、ありがとよ。そんじゃ早速ファイルを。っと」
「じゃあ名前からだ。一回ずつしか言わないからな。まずさっきから話に出てた彼はアレル、スペルはそうだな近いのは・・・“A,R,E,L,E”ってとこか。オーケー?・・順々に右に行くぞ。すぐ横の青髪の奴は“L,E,C,K”レックだ」
「わかんねえ・・・こいつマジで意味わかんねえ・・・やべえ・・・」
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―報告用自由製作ファイル No.14583 No.“番号付けるとか、おかしいんじゃねェーの?”
※警告 このデータはレベル5セキュリティロックがかかっています。いずれかのレベル5権利者の許可なくアクセスした場合・または持ち出した場合、理由に関わらず厳正に処分します。
二つ目のファイルには特に注意してください。基本的には上記の通り。許可なく閲覧・使用した者はもれなく新品のケツ穴を増設することになります。これより先プレッツェル大好き男てめえ何してやがる、勝手に変な注意文書き込むな!
↑“ソロ”がデバイスの半径10m以内に存在している場合に音声認識でファイル名を入力することを禁じる。スワードソン博士より
No.14583 「彼が彼自身について知っている、または知っていない多数の事柄」
以下の個別ファイルは、総合異常心理学の権威であるK・カズモト博士と“ソロ”との、周囲と完全に隔絶された状況での会話をまとめた音声データです。データクリーンナップを推奨します。
・ ヒュームって一体全体何なんだ???
・ 冷静になれ、さもなくば****
・ もういい加減この話すんの飽きてきた
・ とんでもなく景気のいいクソ話!
・ 赤、青、赤、青、赤、青、赤、青、赤、青、赤、青、赤、青、赤、青、赤、青、紫
・ この俺に心理療法?
・ めっちゃキモいとみんな同意する
・ そうとも、誰もがお前を踏み潰したい!!
・ アーメン、ハレルヤ、ピーナツバター
・ このくそいまいましい****は俺のすべてだった
・ 心理に影響する音階、とある法則を持つメロディーラインの画期的な役割
~中略~ 省略された個別ファイルへのアクセスを要求する際はK・カズモト博士に直接申請してください。
・ 進化の代償は、知識という名の重荷。この地獄からは逃れられない。何者も。←※このデータファイルを閲覧するには、カズモト博士本人による心理鑑定に合格する必要があります。
この手順を踏まずに閲覧すると、ミーム感染による重篤な統合失調症または解離性人格障害などを引き起こす恐れがあります。
・ 素晴らしき悪魔様物質!
・ 唯一、自分を褒めてあげられること
・ 逆因果律とは何か。過去改変と多元宇宙、そして今俺の後ろにいるクソモンスターについて
・ 何が真実でそれがどのようにしてお前たちを苛むのか、その全て
・ そんなことより紅茶が飲みたい
・ 何がどうしても絶対的に我慢ならんモノたち
・ Joushrea ievlle powrella!!(未知の言語です。近しい音を割り当てました)
・ 最後のもの
・ Avthyei echzi. Makivia wiethness makithuiyu o epness.(未知の言語です。近しい音を割り当てました)
・ Eddurilla couwaduiyu resshopuwor purala asowajoudo.(未知の言語です。近しい音を割り当てました)
―警告―
これより新しいファイルを閲覧するには、レベル5に加えてランナー:Runner(旧学名Molecule Changer)の使用する言語“swiema”習得レベル3以上が求められます。
また、定期心理鑑定でグリーンパス試験に合格している必要があります。これらの基準を満たしていない職員の閲覧を固く禁止し、ファイル閲覧によって精神障害または情緒障害を患った職員についてはレベルC4記憶処理を実行するものとします。
閲覧を続ける場合、ライセンスコードとセーフティコードを入力してください。
―承認しました。データファイルの閲覧を許可します。また、閲覧の記録は自動的にノーメマイヤーにコピーされます。
以下、“ソロ”の不完成体の肉声による歌の音声データです。“ヒールクラウン”に代表される向精神薬を服用しての視聴を強く推奨します。
・ Laclouess iquoro (強い悲壮感、虚無感を引き起こします)
・ Yahr karyiah iyhehya ique(強い不安感、閉鎖的孤独感を引き起こします)
・ Ruei weqiacht joeyvs(非常に強い恐怖感を引き起こします)