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伝説の超ニート トロもず
伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:Ruineme Inquitach 記録007

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「いつももう少しでわかるというところで、奴らは全てを奪っていってしまうんだよ。奴らの脳や神経細胞を採取しに行った班は、必ず全滅してしまう。数百回と試みているが一度も生きて帰ってきたことがない。そのおかげでもう誰も志願せず人員を徴収しようにも誰もが断る。当然だろうね、皆死んでいるよりは生きている方が好きだ」

「それは奴らが知能を持っている証なのでは?」

「もちろん、我々も最初はそう思ったよ。だがそうとは限らないんだ。なぜなら採取に向かった人員の死因は、全てが“自然”なんだ。モンスターに殺されたり食べられたり、逃げる途中に運悪く落ちてきた瓦礫に潰されたり、爆発に巻き込まれたり、果ては自殺や発狂した人間に殺されるなんていうのもある。あのモンスターどもが一切関与していない原因で死ぬことが決して少なくない。ここから考えられるのは――」

「怪物たちより上の次元に位置する存在」

「・・・・・そうだ。ひょっとしたら君達はそういう存在を神と呼ぶのかも知れないが。何か、我々の計り知れない領域で何らかの思惑が動いているんじゃないか、と私達は考えている・・・」

しばらく、沈黙が続いた。・・・アレルがソロに何か話しかける。ソロはそれを聞いて、何も言わずに首を横に振った。

「・・・・・。・・・・それでも、あなたたちが神の存在を受け入れられない理由は何だ?」

「・・・・・・・それはな。そういう神ってのは、いちゃいけないんだよ。矛盾するんだ、俺達の存在そのものが・・・。考えてもみろよ。人間は自分で、・・自分自身で未来を選択していける生き物のはずだろ。全知全能の神なんてのが本当にいるとしたら、俺達の何もかもが無意味になる。全て神の思惑通りで、俺達は自分で選択してると思わさせてるだけってことになっちまう」

「それではいけないのか?」

「・・・・・逆に、それでいいと思える理由は何だい?」

アレルは無表情のまま数秒間黙り、ふと目線を上げて再度口を開く。

「・・俺達は神によって生み出された存在だ。神に創られた世界の中で、それぞれが思い描いた最良の選択をとって生きていく。それは世界が最良の結果を迎えるための筋書きのようなもので、その中でも俺達は確かに自分の意思で未来を掴んでいる。心からそう思えるのだから、それが仕組まれた物であろうとそうでなかろうと関係ない」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・。・・・・・・お前、本当に16歳か?見上げた精神だな。輝いて見えるぜ・・・・・」

「言ったろ、選ばれてんだって。こういう奴じゃないと勇者にはなれないんだ」

今まで無言で同時通訳に徹していたソロが笑いながら言った。

「・・・お前はどうなんだ」

「もちろん該当してるとも。ただ俺の場合は生きた時間が長すぎて、色んな種類の知恵が付きすぎたってだけさ」

「・・・・・そういうもんなのか・・・やっぱり」

「あんたも700年生きてみたらわかるよ」

その時、今まで黙々とノーメマイヤー端末の操作をしていたベルティーニ博士が、音を立てながら慌ただしく席を立った。

「・・何ですって・・・。・・・どういうことなの・・・一体・・・!!」

「・・・アリー?どうした?」

彼女はひどく慌てているようだった。ベクスター博士の心配する声も耳に届いていないらしく、テーブルから端末を取り上げると切羽詰まった表情で素早く手を動かし何やら文章を打ち始める。
そしてそれが終わると、上着を着ながらベクスター博士やスワードソン博士の方を見て言った。

「ワンが薬物処分されることに決まったと軍部から連絡が来たわ。おそらく政府の差し金よ・・・今から軍部の方に向かいます」
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―エリアS16 総軍部特別収容領域にて 

グレー大尉は複雑な思いで端末に文字を打ち込んでいた。メッセージの発信先はアルカディア本部。内容は、先の事態を早くも耳にした政府からの指示。

“アルカディアのオブジェクトレベル5No.001をスケールAの危険物と見做す。早急に薬物処分を行い、結果が出次第連絡するように”

「・・・・・・・・・・・」

短い謝罪文の横に文章をペーストし、送信する。
・・わかっている。政府の人間達はとても臆病で、尚且つ究極の事なかれ主義と言っていい連中だ。厄介なのはそれだけでないこと。

情報を吸収する速さが尋常ではなく、表面的には人間の命を第一に重んじる行動をとる。このような緊急事態の時は特に、疑わしきは即時罰せよと言わんばかりに徹底的に出る杭を打つのだ。
それが本当に脅威となるかを確かめようとはせずに。
しかしそれでも、生きることに必死な人民の表面上の支持を得るには十分なのである。

そしてまた、その表面上の安寧のために一人の命が犠牲になる。いつものことだ。
一人が死ぬことで何十万人という人間の精神の安定が買えるのなら安いものなのだ。

か細いため息をつき、グレー大尉は送信済みのメッセージを眺めた。
そして顔を上げ、強化ガラスの向こうでこれでもかと言うほど厳重な拘束を施され、インタプリタ―政府お抱えの科学者達の集団―に取り囲まれている“それ”に視線を向けた。
――――――――――――――――――
――――――――――――


「ワンが殺される!?」

ベクスター博士は思わず大きな声を上げた。

「・・最も恐れていたことが現実になってしまったわ。私は今すぐ軍部に向かって何とか中止するように説得する」

そう言うと、ベルティーニ博士は速足で部屋を出た。

「・・無茶だ、君まで拘束されるぞ・・・待てアリー、待てって!」

「これはまずい・・・何とかしなければ・・・」

スワードソン博士は大急ぎでノーメマイヤー端末の操作を始め、しかしすぐに終わらせると席を立った。そして上着を手に取り、ベルティーニ博士とベクスター博士の後を追う。

・・その様子を黙って見ていたソロは、何事かと心配そうに聞いてくる仲間達に事態の説明をした。そして珍しくその口元から笑みを消し、真面目な顔で言った。

「さて、もうじきすぐに俺達の力が必要になる。あの3人を死なせるわけにはいかないからな。クロウ博士、カズモト博士、それとジェーン。あんた達はここに残っていてくれ」

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「アリー待ってくれ、落ち着くんだ!もう俺達が何をしたところで止められない・・・政府の命令に逆らえば捕縛されるんだぞ!」

「そんなことわかってるわ!でも何としても止めてみせる・・あの子は私達のために心を殺されたのよ!?その上また私達の都合で身体まで殺されるなんて・・・そんなの絶対に許さない・・・!!」

ベクスター博士の制止を振り切り、ついにベルティーニ博士は速足をやめて走り出した。頭を抱え込み泣き言の一つでも言いたい気持ちで、ベクスター博士も走り出す。

「ミック!アレッサ!」

「ヴィンス・・・どうすればいいんだ!?どうにかしてアリーを説得してくれ・・・ワンは彼女の唯一の心の拠り所だったんだ、あいつを間近で失ったら――」