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のび太のBIOHAZARD カテゴリーFの改造版

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「のび太君から離れなさい!」

 牙がのび太の首に突き立てられる前に、咲夜がゾンビ犬をありったけの力で蹴り上げた。渾身のハイキックをモロに食らったゾンビ犬は宙を舞い、教室後方の壁に叩きつけられてから床に落下した。

「聖奈! 今よ!」
「……! はい!」

 咲夜に促され、聖奈はハンドガンを構え直した。のび太からゾンビ犬が引き離されたことにより、もう誤射することはないだろう。これで存分に撃つことができる。
 しっかり照準が定め、起きあがろうとするゾンビ犬を銃撃する聖奈。ゾンビ犬は弾丸が命中する度にビクンと身体を震わせ、5発目の弾丸を受けたところで完全に動きを停止した。

「大丈夫ですか? のび太君」
「怪我は無い?」

 ゾンビ犬が沈黙するのを確認すると、聖奈がのび太のもとに駆け寄り、咲夜が倒れているのび太に手を差し伸べた。

「はい。二人のおかげで噛まれずに済みました。あははっ、二人とも僕が守るつもりだったのに、カッコ悪いところ見せちゃいましたね」

 咲夜の手をとって立ち上がったのび太が、自嘲気味に笑う。

「一人で無理をしすぎよ、のび太君。少しは私たちを頼ってほしいわ」
「咲夜の言うとおりです。私たちは先輩なんですから、もっと私たちをあてにしてください」

 そんな彼に、もっと自分たちを頼るように言う咲夜と聖奈。二人にも最上級生としてのプライドがあり、守られてばかりでいるつもりは無いようだ。

「……そうですね。じゃあ、僕の背中は二人にお任せします」
「「了解♪」」

 のび太も二人の意志を汲み、彼女らを頼ることにした。
 その後、三人は一通り室内を調べたが、これといったものは無かったため、次の場所へ移ることにした。

「のび太君、咲夜、あれを見てください」

 廊下の突き当たりを右に曲がったところで、聖奈が床に血の手形や足跡を見つけた。血痕は一年生の教室へ続く北側の廊下から校舎の西側へと伸びており、何者かがその方向に移動したことは間違い無いだろう。

「足跡はこの学校の指定の上履きのものね。手形も私の手とだいたい同じ大きさだから、たぶん私たちの同級生だと思うわ。ゾンビになってるかどうかはわからないけど……」

 足跡と手形から、咲夜が血痕の主を推理する。

「とにかくこの血痕をたどってみましょう」
「はい」
「えぇ」

 のび太たちはとりあえずこの血痕の主を追うことにした。もしその人物が生きているのなら、この騒ぎについて何か聞けることがあるだろう。ゾンビ化しているのなら安全のために排除するまでだ。
 しばらく歩き、三人は調理室前にたどり着いた。

「……鍵はかかってないな」

 ドアノブを回し、のび太はゆっくりと扉を少し開けた。そして隙間から室内の様子を探る。ここも先ほどの会議室ど同様に荒らされた形跡は無く、ゾンビや化け物の気配も無かった。血痕は室内の奥にある、調理師たちの休憩スペースの扉へと続いている。この扉には鍵は無く、自由に出入りすることが可能だ。

「ゾンビも化け物もいないみたいです。行きましょう」

 扉を開け、休憩スペースへと向かうのび太。聖奈と咲夜もそれに続く。

「ここですね。僕が三つ数えたらドアを開けるので、一斉に突入しましょう。それから僕がまっすぐ奥に行くので、二人は左右のチェックをお願いします」
「わかりました。では私は室内の右側をチェックします」
「じゃあ、私が左側を見るわ」

 突入の段取りは決まった。後はドアを開けるだけだ。

「……1……2……3ッ!」

 バンッ! と勢いよくドアを開け、三人はのび太を先頭に休憩スペース内に踏み込んだ。そして打ち合わせ通りに動いて室内をクリアリングしていく。
 のび太と咲夜のほうには特に何も無く、クリアリングはすぐに完了した。

「ッ!? と、知子(トモコ)ちゃん!?」

 右側を担当していた聖奈が、奥の方に座り込んで俯いている血塗れの女子を見て声を上げた。その肩には大きな噛み跡があり、血はそこから大量に出ていた。
 彼女の声を聞いたのび太と咲夜もそちらに向かう。どうやら、知子と呼ばれたこの少女が血痕の主のようだ。

「ぁう……聖、奈……ちゃん……咲、夜……ちゃん……?」

 聖奈と咲夜の姿を見た知子が、かすれた声で彼女たちの名を口にしながら顔を上げた。辛うじてまだ生きているようだが……。

「しっかりしてください! 知子ちゃん!」
「知子ちゃん! その怪我はどうしたの!?」
「……たっ……体育、館、に……大きな……化け物、が……」

 知子は咲夜の質問に答えると、ガクリと頭(こうべ)を垂れ、そのまま動かなくなってしまった。

「そんな……知子ちゃん……!」
「くっ……!」

 知子の死に涙を流す聖奈と咲夜。

「……友達、だったんですか?」
「はい。相良(サガラ)知子ちゃん。クラスメイトでした……おとなしいけどとても真面目で、誠実な方でした」
「私たちとはよく一緒に遊んだわ。夏休みには一緒に映画を見に行くって約束もしてたの……なのに……うぅぅ……」
「こんなの……あんまりですッ……」

 泣いている二人にとりあえず話しかけたのび太だったが、それがかえって彼女たちの悲しみを増幅させてしまったようだ。二人の目からポロポロと、涙が止めどなくこぼれ落ちていく……。

(……しばらく、そっとしておいたほうがよさそうだな。ここの探索は僕一人でやろう)

 のび太は静かにその場から離れ、一人調査を開始した。