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伝説の超ニート トロもず
伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:Ruineme Inquitach 記録009

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「そうだな・・・。・・・ワンを救えたのはもちろんアリーの力だが、それだけじゃない・・・確実にお前達のおかげってところもあるな・・・ありがとう。お前達が来てくれてよかったよ」

「礼には及ばない。これこそが俺達の生きる意味であり、信じる正義だ。
・・・それはそうと、目が潤んでるぞあんた」

「うるせえな・・・仕方ないだろ・・・」
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――――――――――――


アルカディア本部。ソロは仲間達に、自分と同じ姿形をした“それ”についての全てを説明した。
そして彼らに分け与えられた幾つかのオフィスルームを回り、質疑応答を行っていた。

「な・・・なんか突然すぎて実感沸かねえけど・・・つまり、あいつはお前のコピーってことでいいんだな?」

「そうだ」

「今までにも二回くらいソロが増えたことあったけど、またか。なんかお前いっぱいいるよな」

「そうだな。なんつったって宇宙のすべての場所とすべての時間にいるんだからな」

「そう言えばそうだったね・・・なんか、ソロさんに関することってほぼほぼ終わった後で説明受けてる気がするよ・・・」

「それはそうと、喜べ。こっから数十時間は自由だぞ。しばらくは化け物どもも襲ってこないはずだし、変なことも起こらないはずだ」

「やった!ボク寝る!もうヘトヘトだよ!」

「そうだな・・・なんかふらふらするし・・・。そう言えば物理法則が違うとか言ってたけど、その影響で身体になんか起きたりとかするのか?」

「ああ、主に倦怠感と眠気、眩暈、吐き気など。酷いと全身の痛みだ。まあもうじき身体も慣れるだろうし大丈夫だ」

「モロにこれじゃん」

「全身の痛みってどの程度なんだよ。お前の口から痛みって出ると恐ろしくて仕方ねえよ」

「最悪でも失神する程度だ、どうってことない」

「失神するほどの痛みって割とどうってことあるだろ・・・。つか、そう言や食料ってどうするんだ?さすがに飲まず食わずはキツいだろ」

「問題ない。この部屋に用意してあるし、あと36階の一番デカい部屋に行くと珍しい茶が飲めるぞ。ああ、あれだ、最初に全員で博士達といろいろ話した部屋だ。
そしてな、この世界の物は面白いぞ。言えば使わせてもらえるだろう。こんな便利なものもある」

いつものように右手を翳して空中から・・ではなく、珍しくコートのポケットから何かを取り出した。
見ると四角い半透明のケースに、小さくて白い粒のようなものと同じく小さな細長いカプセルがいくつか入っている。

「・・何それ?」

「ドラッグだ。俺達の身体でもあんまり害がないのを選んできた。そうだな・・・セットで一粒ずつ飲むとかなり長い時間バイキルトとかスカラとか、色んな効果が出る不思議な道具だ。ついでにテンションも上がって疲れにくくなる、おまけに怪我したとき血が出過ぎるのを防いでもくれる」

「何それすごっ。え、もらったの?」

「正しくはもらった色んなドラッグを俺が組み合わせて作った。もともとのやつはもう少し効果が分割されてていっぺんにたくさん飲まないといけないからな。こいつはまさに万能薬だぜ」

「こんな小っちゃいのにか・・・持ち歩くのも楽そうでいいじゃん」

「ただし4時間以内に3セット以上の頻度で飲むと凄まじい副作用が出るから要注意な」

「凄まじい!?」

「お前が凄まじいとか言うともうこの世の終わりが来るのかなって思うわ」
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――――――――――――


―同時刻 レクリエーションフロアにて

夜間ながら珍しくフロアは静かだった。スワードソン博士が、しばらくレベル5未満の職員の入室を禁止したためである。

ソファに腰かけたベルティーニ博士の隣には“それ”が目を閉じ横たわっている。肩までブランケットがかけられているが、薄着で長時間氷点下の中にいたせいか身体は震えており、呼吸は少しばかり早く苦しそうだった。

「・・・・・どんどん熱が上がっているわ。このまま下がらなれば命に関わるかも知れない」

「・・もう一度私が調薬してきましょう。この薬ではもう効果がないようですから」

相変わらず、彼の身体はこの世界のほとんどの薬物を受け入れない。第一級薬剤師の資格を持つカズモト博士が席を立った。

「・・・・ワン、聞こえる?意識があるのなら返事をして」

ベルティーニ博士の呼びかけには応えず、“それ”は深く早い呼吸を繰り返すばかりだった。

「・・・・・。・・・ねえ、カズモト博士に聞くべきなのでしょうけど・・・・・この子が見ていた幻の世界の正体は何だったのかしら?
私は・・心に大きすぎる負担が掛かったせいで、それから身を守るために彼の記憶と願望が混ざったものが現れたのだと思っていたのだけれど」

「・・僕もそう思うよ。君は今は違う考えを持っているのかい」

「・・・ほとんどは同じよ。でも・・少しだけ違う部分があるのではないかと思うの。
人工知能に全てを制御されている間もずっと、この子は同じような夢を繰り返し見ていたのかも知れない、と。そうでなければあの時私や元帥たちを助けようとはしなかったはずよ。少しでも既存の自我がなければ私達を認識することなどできない。あの人工知能は完全ではなかったのだわ」

「・・・・・この際もう白状しよう。もしあれが完全だったら、ワンの意識と自我は機能停止するだけではなく完全に破壊されていたんだ。取り除いた後は植物状態になるはずだった。
だが手術の直前にトラブルが生じて、やむを得ず完全ではない実験作の物を埋め込みに使った。
・・・すまない、アレッサ。あまりにも君を傷付けてしまうだろうから黙っていたんだ」

スワードソン博士が少し沈んだ表情でため息をつく。

「・・・。・・・そうだったのね・・・。・・本来ならあの手術でこの子は死ぬはずだったのね。それがどういうわけか、生き延びた・・・」

ベルティーニ博士は頭をもたげ、天井を見上げた。

「・・・・・ひとつ思うことがあるのよ。ソロは、自分は決して嘘は言わないと言ったわね。・・・それもまた嘘ではないと、私は確信するに足る何かを見た気がするの」

「・・と言うと?」

「彼の言う“神”・・・それに該当する何かが、本当に存在しているのではないかって」

神妙な顔で言うベルティーニ博士に、クロウ博士が真面目な顔で視線を向けた。

「・・つまり、ワンには何か生まれついての使命みたいなものがあって、それを全うするために今回は神によって生かされたと・・・?
あの世界を救った英雄達も同じようなことを言ってたが・・・」

「・・・・あいつらの中ではそれはとんでもなく当たり前のことで、人間が手足を二本ずつ持って生まれてくるのと同じように宿命を持って生まれてくるんだそうだ。・・・あいつらは、生まれた時から自分の人生が予め固定されて決められてるもんだと信じて疑ってない。
そしてそれがもし本当なんだとしたら、あいつらの宇宙の存在であるワンもまた同じなのかも知れないな・・・」

ベクスター博士もため息をついた。

「・・・では、ワンにも彼らと同じく何らかの使命があるとして・・・それは一体何だろう?