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同調率99%の少女(6) - 鎮守府Aの物語

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 那美恵が今まで見たことないような照れ具合をしたのを目の当たりにし、提督はうっかり五月雨や夕立らにするように自然にしてしまったことに気づき、那美恵にすぐに謝った。
「あ……すまない!うっかり。」
「う、ううん……わざとじゃないんなら、いい。気にしない……でいてあげる。」
 睨んではみたが那美恵の態度は照れによって非常に柔らかいものであった。心臓の鼓動は破裂するのかと思うほど早まっていた。片手はスカートをギュッと掴み、もう片方の手では胸元に手を当てて密かにセーターを握りしめる。那美恵は顔が熱くなり心臓や心がふつふつと燃えるような思いを沸き上がらせていた。
 左後方では三千花もその突然の出来事を間近で見て唖然としていた。それ自体にも驚いていたが親友が本気の本気で照れていることにも驚きを隠せないでいた。10数年も付き合いがある間柄であったが、三千花は目の前の那美恵の軽さ・おちゃらけさよりも遥かにしおらしさ・こいつもこんなに乙女チックに振る舞えるんじゃんとツッコみたくなるような生娘のごとく恥じらう様を見たのは初めてだった。普通に恥じらう程度であれば今までも見たことがあったが、この場で親友の身に起こったことは、初めての春ゆえのことなのかもと感じていた。

 当事者とその周辺がドギマギして微妙な間の沈黙を作っているその端で、見ていた妙高が提督に諫言する。
「提督、その……子どもたちの頭を撫でるの、お控えになったほうがよろしいかと思いますよ?家族以外の人に頭触られるの嫌な子いるでしょうし。……五月雨ちゃんはどう?」
 急に振られた五月雨は照れつつも、提督のその仕草についてフォローする。
「あぇ!? ええと私は……嫌ではないので〜アハハ。」
「まぁ五月雨ちゃんの歳ぐらいだったらまだいいかもしれませんけど、さすがに光主さんくらいの高校生の娘を撫でるのはどうかと。」
 普段であれば軽口を叩く那美恵は顔をまだ少し赤みを帯びさせ、言葉を出せないでいた。そんな那珂を見て妙高は素で気にかけていた。傍で見ていた明石が妙高にまぁまぁ、とだけ言ってなだめ、そして那美恵の代わりに軽口を叩く。

「提督、私の頭はどんどん撫でてもいいですよ? むしろ撫でてくれると新装備開発のグレードがアップする特典が付きますよ。」
 明石が本気なのか悪乗りなのかわからない口ぶりで提督を茶化すと提督は
「いやいや。さすがにあんたにはやらないぞ?どんなプレイだよ。」
と一蹴する。その場には苦笑いが広がったが妙高の視線はまだ温かくはなく、それにすぐに気づいた提督は一言謝した。妙高がフゥ…と一つため息をついて表情を柔らかくして口の両端を緩やかに伸ばして上げたのを見て、提督や他のメンツはようやく雰囲気が落ち着いて戻ったと察した。