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同調率99%の少女(6) - 鎮守府Aの物語

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--- 2 交渉



 交渉日当日、15時少し前に那美恵と三千花は校舎を出て校門前で提督らを待っていた。ほどなくして那美恵たちの高校の校門を通る部外者の影が4人あった。その姿が見えた時、那美恵はそのメンツに少し驚きを示した。

「あれ?提督だけじゃないんだ。」
「あぁ。メンツは多いほうがいいと思ってね。3人連れてきた。」

 そう言って提督が向けた視線の先には、工廠長の明石、重巡妙高、そして秘書艦五月雨の姿があった。

「今回は微力ながら皆さんの役に立てるよう振る舞いますね。光主さん、よろしくお願いいたします。」
 非常にゆったりした話し方で、物腰穏やかに自己紹介する妙高。
 那美恵は妙高とは面識がなかった。提督の談によると、年齢は提督より上で既婚者、実質的には影の秘書艦でその実見えないところで頼っている女性なので、同席してもらうことにしたという。今回は五月雨の代わりに秘書艦という名目での同席だ。

「那珂ちゃん…と、ここでは那美恵ちゃんね。よろしくね。技術的な説明ならお任せください!」
 明石は艦娘の装備や戦闘面でもし質問された場合の技術的な説明をするための要員としての同席である。なおかつ国が直接提携して艦娘制度にかかわっている製造業の有名な会社の社員ということで、ハクも期待してのことだ。

「那珂さん! 私も那珂さんの学校の役に立てるよう、精一杯頑張りますね!」
 五月雨は初期艦として、学校提携の前例の当事者として、それから純粋に艦娘の実務である深海凄艦との戦いに従事する担当者としての立場での同席だ。なお、この日のために五月雨の中学校へは提督が話をつけている。中学校側からは弊校の例が参考になって、他の学校との提携が進んで最終的にはお国のためになるなら喜んで早川皐を貸し出します、という快い承諾を得ていた。もちろん同時間帯の授業は免除である。


--

 那美恵と三千花は4人を校長室にまで案内した。コンコンとノックをし校長から一言あった後、那美恵はドアを開けて提督らを中に入れた。

「校長先生、鎮守府Aの提督方をお連れ致しました。」
 普段とは違い、丁寧な言葉遣いで案内する。

「はい。ありがとうございます。」
 校長は那美恵の祖母とまではいかないが、綺麗に歳を取った初老の女性という雰囲気を醸し出している。那美恵に丁寧にねぎらいの言葉をかけると、校長は提督に近づいた。提督は軽く会釈をした後挨拶の言葉を発した。

「ご無沙汰しております。鎮守府Aの西脇です。」
「お久しぶりね、西脇さん。3ヶ月ぶりくらいかしら? どうぞおかけください。」
 提督らをソファーに座るよう促す。提督らはお辞儀をしてソファーの前に立つ。座る前、自己紹介する前に校長を気遣う話題を振る。
「だんだん気候が変わっていて暑くなりましたが、お身体にお変わりはありませんか?」
「えぇ、おかげさまで無事に過ごしております。西脇さんは?」
「はい。本業ともども健康に気をつけて過ごしております。あの、お話を始める前に私どもの担当者を紹介させていただいてもよろしいでしょうか?」
「えぇ、お願い致します。」

「……じゃあ妙高さんから。」
 提督が促すと妙高は半歩前に出てお辞儀をして自己紹介をし始めた。
「はい。私、鎮守府Aの秘書艦を務めております、重巡洋艦妙高担当、黒崎妙子と申します。本日はよろしくお願いいたします。」
 次に明石が同じような作法で自己紹介をする。
「私は工作艦明石担当、明石奈緒と申します。鎮守府Aの工廠長を担当させて頂いております。それから私、○○株式会社より派遣という形で鎮守府業務に携わっております。」
 そして最後に五月雨こと早川皐が挨拶をした。
「私は駆逐艦五月雨を担当しています、○○中学校2年の早川皐と申します。」

 最後の人物の紹介に疑問を持った校長は提督に尋ねた。
「そちらの女の子は……何か特別な担当されているのですか?」
「いえ。ただこの五月雨は初期艦という、国に認定された鎮守府Aの最初の艦娘です。以前お話しさせていただいたかと思いますが、鎮守府Aと初めて提携していただいた○○中学校様の生徒でして。ご参考までに同席させたいのですがよろしいでしょうか?」
「えぇ、かまいませんよ。」

 それぞれの自己紹介が済んだので、校長に促されたとおり提督らはソファーに座った。