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同調率99%の少女(6) - 鎮守府Aの物語

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 2〜3当り障りのない話題で会話してその場の雰囲気を潤した後、提督は本題を切り出し始めた。
「御校の生徒さん、あちらにいらっしゃる光主那美恵さんに艦娘になってもらって2ヶ月ほど経ちました。」
 提督に言及され、那美恵は校長に向かって会釈をする。

「その間いくつかの出撃任務に携わってもらいました。いずれも怪我なく無事に任務遂行し、優秀な戦績を上げてもらいました。我々としては彼女の参加で非常に助かっております。彼女の活躍は他の鎮守府や防衛省でも少しずつ話題にあがるようになっております。おかげさまで市や県からの依頼だけでなく、企業・団体からの依頼任務も徐々にではありますが増えてきました。」
 まずは那珂となった那美恵のこれまでのことを報告し褒める。そして一拍置き、提督は言葉を続ける。

「それでですね、我々としても引き続き光主さんには艦娘として働いてもらいたいのですが、何分私どもの鎮守府はまだ小さく、人が集まっていないために、任務を請け負ってもなかなか数少ない彼女たちでは捌き切れないのが現状でして。那珂を始めとして他の艦娘たちの功績のかいあって、おかげさまでだんだん我が鎮守府も知名度があがってきております。そのため懸念しているのは、今後任務が増えることによる、艦娘たちの普段の生活への支障なんです。これは今現在、とくに那珂として活躍してもらっております光主さんに強く当てはまることでして。もし、このままの人数で任務が増えますと、私どもだけでは艦娘たちの普段の生活の支援が行き届かなくなる恐れがあります。私個人としても、艦娘になる人たちの普段の生活が第一と考えております。そのために艦娘が普段の生活で所属している学校様や企業様に協力していただけるよう、提案させて頂いております。つきましてはバックアップに協力していただけないか、本日お願いに伺った次第であります。」

 交渉事に慣れていないために途中早口になりつつも必死に、慎重に提督は校長を説得しに言葉を選んで進める。一方の校長は提督から手渡された資料と、教頭経由で那美恵たちから受け取った鎮守府見学の報告書を数ページ読むために提督から資料へと静かに視線を動かした。
 沈黙が続く。さすがの那美恵も今回は口を挟むタイミングや雰囲気ではないために、黙って提督と校長の雰囲気を見守るしか出来ない。

 しばらくして校長が口を開いた。
「西脇さんのお気持ちや熱意は確かに伝わりました。……前回来ていただいたときよりも、言葉がしっかりなさっていますね。この2〜3ヶ月で、きっとうちの生徒がお役に立てる何か出来事があったのかしら。」
「へ?あぁ、えぇ。光主さんはさすが生徒会長もされているだけあって、恥ずかしながら彼女から学ぶところは私にも多々ありまして。」
 提督は照れくさそうに、正直にありのままの今の気持ちを伝えた。すると直後、提督には校長の頬が少し緩んだように見えた。

「西脇さんのことはわかりました。あとは……。」
 提督の心境を確認した校長は言葉の最後のほうで言いかけて一旦止め、那美恵のほうを向いた。
「光主さん、ちょっとこっちへいらっしゃい。」
 校長は那美恵を呼び寄せた。那美恵と三千花は教頭とともに、校長・提督らのいるソファーとは離れたところに立っていた。そのため那美恵は返事をしたのち、校長のとなりまでしずしずと歩いて近寄った。