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同調率99%の少女(6) - 鎮守府Aの物語

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「……それは、恐怖よりも強い憧れと譲れない信念と、誰かのために尽くしたいという気持ちがあるからです。あたしは戦うために戦ってるわけじゃないですし。普段の生活を大切にしたいし、誰かのその生活をも大事にしたいから。心に強く思うからこそ、自分が信じるもののために心を熱く燃やせるから、だから怖くても平気なんです。あたしは戦えるんです。」


 そこまで言って、那美恵は突然提督のほうを向いて尋ねた。
「ねぇ提督。うちの鎮守府に配備される艤装ってちょっと特殊なんでしょ?」
 突然話を振られた提督は、あぁ、といつも那美恵に返す口ぶりで返事をし、艤装のことならと明石の方を向いて合図をする。

「光主さんが艤装について触れられたので、少しだけ補足させていただきます。艤装は、インプットされた膨大な量の情報により、一般的な機械よりも人間に対して高度で身近な存在となっています。いわばそれ自体が人を選ぶ生き物みたいになっています。ですので同調といいましてそれを扱える、簡単にいえば艤装とフィーリングの合う人を見つけないといけないんです。さらに鎮守府Aに配備される艤装は、新世代の艤装のテストも兼ねておりまして、それは人の思いによって、艤装の性能を変化させる機能を実装しているんです。未だテスト段階ですので他の鎮守府には知られていませんが、より装着者と一体化させて、その人の強い思いを実際の力として具現化とさせることができるんです。ですので、光主さんが持つ強い思いは、大げさかもしれませんがきっと技術の発展、しいては世界の平和へとつながると思います。」
 技術大好きな明石は自分の得意分野ならとペラペラ解説するが、その内容を理解できた学校側の人間はいなかった。明石の話を聞いて校長はそうですかとだけ言い、那美恵がこれから紡ぎだす言葉を聞くために彼女に視線を戻した。那美恵は校長が戻した視線を受け、せっかく解説してくれた明石の話を受けてうまく話をつなげなければと思案し、回答を再開する。

「校長先生、あたしは最初こそは単なる興味でしたけど、着任してからのこの2ヶ月、思いはきちんとしたものになってきてると実感しています。そしてその思いは、うちの鎮守府の艤装によって、実際に深海凄艦を倒す力として、あたしやここにいる五月雨ちゃ……さん、他の艦娘仲間たち、それから提督を助けてくれました。きちんと心に思えば、うちの鎮守府ではそれが力になる。だから怖くても戦えるんです。」

 那美恵は深呼吸をした。そして微笑みながら続ける。

「あたしはこうして艦娘として今日まで無事にやってこられたけど、それはあたし一人の力じゃない。あたしは一人でなんでも出来てきたと思っていましたが、それは周りの密かな支えがあったからこそなんだと気づきました。あたし一人ではどうしようもできない状況でも仲間がいれば解決できるかもしれない。これからも怖い思いはするかもしれないけど、仲間が集まればやりきれる。あたしには仲間が必要なんです。うちの学校からも艦娘として一緒に戦ってくれる仲間が欲しいんです!」