機動戦士ガンダムRSD 第15話 戦場への帰還
「あるかどうかは、知らないんですが。
ネイルアーティストとかは、いるじゃないですか」
ジーン中尉も爪切り専門の職業などは、聞いたことがなかった。
「それは、爪切りとは関係ない職業だろ」
テリー大尉は、思わず突っ込んで爪切りを続けた。
そして爪切りは、終わった。
「思ってたよりずっと良かったよ」
ジーン中尉は、満足そうに言った。
「満足してもらって何よりだ」
テリー大尉は、お礼を言った。
さすが究極の爪切りと謳われるだけあって爪を切った後は、大抵やすりで整形するのが一般だがこの爪切りはその必要がないほど美しく爪が切れた。
※
地球連合軍スエズ基地では、ミネルバとガーティー・ルーが補給を受けていた。
この基地には、多くのザクウォーリアやザクファントムなどの最新鋭機も配備されていた。
「でもさあ、ミネルバとガーティー・ルーの補給ってもうじき終わるんでしょ?」
メイリン軍曹が店でルナマリア少尉に確認した。
乗員たちは、皆上陸許可が出ていた。
「ああ、まあね」
ルナマリア少尉は、そっけなく答えた。
「じゃあ、いつ出航命令出るか分からないじゃん。
やっぱ今のうちに買っとかないと」
メイリン軍曹は、慎重に品定めをしながら大量に籠に商品を入れていた。
「あっそ。
何が何でそんなにいるのか知らないけど」
ルナマリア少尉は、籠に入った大量の商品を見てため息をつくとそういった。
そして一足早くレジに向かった。
「悪かったわね」
メイリンは、姉のルナマリアよりファッション関係に関心がありその関係上美容品などは大量に買わなければならなかった。
※
ヴィーノ兵長とヨウラン兵長は、屋台で食事をしていた。
「でも今度こそ戻れるんだよな。
月ってか宇宙へさ」
ヴィーノ兵長は、月のアルザッヘル基地に帰れることを願っていた。
「だろうね。
ミネルバもガーティー・ルーも宇宙用戦闘艦だしな。
月軌道に乗らないと意味ないもん、だいたい」
ヨウラン兵長は、肯定しミネルバとガーティー・ルーの本来の運用方法を言った。
「どうなってるのかな、本国は」
ヴィーノ兵長は、不意に本国を心配した。
「どうって?」
ヨウラン兵長は、ヴィーノ兵長が言わんとすることがわからなかった。
「だってまた核が防がれたんだぞ。
大きな混乱にお袋達が巻き込まれてなければいいけど」
ヴィーノ兵長は、両親の状態を心配した。
「彼女のこととか?」
ヨウラン兵長は、ヴィーノ兵長をからかった。
「アホ。
居ないよそんなの。
何でお前の話は、直ぐそっちに行くの?」
ヴィーノ兵長は、あきれながら言った。
※
レイ少尉は、複合店舗内を歩いていると無料で弾けるピアノが置いてあった。
レイ少尉は、1曲弾こうとピアノの蓋を開けた。
そして音色を聞くため適当に鍵を押した。
音色は、悪くなく椅子に座り1曲弾き始めた。
※
シン中尉は、格納庫密集地を気をつけながら歩きこの基地に配備されているモビルスーツを見た。
シン中尉は、そのうちレイダー制式仕様に目を奪われしばらく歩き続けながら見続けていた。
するとミネルバとガーティー・ルーが停泊する方面に見慣れないモビルアーマーが飛行しているのに気付いた。
しかもその機体は、モビルスーツに変形した。
シン中尉は、急いでミネルバに戻った。
※
ミネルバは、モビルスーツハッチを開けてセイバーガンダムを受け入れた。
セイバーガンダムは、着艦しハンガーに固定された。
「何なのこの新型。
一体誰?」
先に戻っていたルナマリア少尉は、その機体を見るや否やモビルスーツとパイロットの正体をマッド大尉に聞いた。
するとコックピットからパイロットが出て昇降リフトで降りた。
まだ誰か分からないがその姿に皆がくぎ付けになっていた。
そしてパイロットは、下に降りるとアタッシュケースを置くとヘルメットを脱いだ。
それは、まぎれもなくアスラン・ザラ中将だった。
「アスラン中将」
ルナマリア少尉が思わず叫んだ。
「認識番号285002、特務隊フェイス所属アスラン・ザラ。
乗艦許可を」
アスラン中将は認識番号、所属と名前を言い乗船許可を求め整備兵の1人にヘルメットを持たせた。
「ねえさっきの」
そこにシン中尉が来た。
シン中尉もアスラン中将に気付いた。
「あなたは」
アスラン中将は、アタッシュケースを持ちこの場から離れようと考えていた。
「どうしてあなたが?
一体なんで?」
シン中尉は、アスラン中将に近づきながら皆に質問したが少々混乱していた。
「もう、事情が呑み込めないのは私たちも同じだから少し落ち着いて。
彼は、フェイスよ」
ルナマリア少尉は、そんなシン中尉を叱るとアスラン中将に敬礼した。
その言葉にシン中尉は、驚きアスラン中将の左胸を見た。
そこには、確かにフェイスの証であるブローチが飾っていた。
シン中尉も兵学校時代に授業でレプリカは、見たことがあったが本物を見るのは初めてだった。
シン中尉とメイリン軍曹以外の皆は、アスラン中将に敬礼した。
「あなたならもらわれても何の疑問もありませんね」
シン中尉は、むしろ今日までアスラン・ザラという人物がフェイスに任命されなかったことが不思議で仕方なかった。
「シン」
ルナマリア少尉は、シン中尉に敬礼を促した。
アスラン中将は、微笑むと皆に敬礼で返した。
そこで初めて自分が敬礼してないことに気付いたが両手は、荷物でふさがれていた。
仕方なかったためメイリン軍曹に荷物を無理やり持たせ身だしなみを整えるとアスラン中将に敬礼した。
アスラン中将は、シン中尉の行為に微笑むと敬礼を止めた。
「艦長は、艦橋ですか?」
アスラン中将は、整備班長に質問した。
「はい。
そうだと思います」
マッド大尉が答えた。
「私が御案」
「確認して御案内します」
メイリン軍曹の言葉をルナマリア少尉がかぶせた。
「ありがとう」
そういうとアスラン中将は、ルナマリア少尉について行った。
「前線に戻ってきたんですか?」
シン中尉が思わず質問した。
その質問に2人が立ち止まった。
「そういうことになるな」
アスラン中将は、否定しなかった。
「何でですか?」
シン中尉は、前線に戻ってきた理由を質問した。
「後輩の活躍を間近で見たかったからでは、ダメか?」
アスラン中将は、そういうと2人は再び歩き出した。
※
η艦隊所属の兵たちに短期休暇が与えられた。
皆は、それを利用しアクシズへの上陸していた。
それを利用してシグマン少佐とハイマン軍曹は、デートをしていた。
すると不意にハイマン軍曹がにやけた。
「急ににやけてどうした?」
シグマン少佐が不審がった。
「シグマン少佐と一緒にいるのってやっぱり楽しいと思いまして」
ハイマン軍曹がにやけた理由を言った。
「そうかな」
作品名:機動戦士ガンダムRSD 第15話 戦場への帰還 作家名:久世秀一