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機動戦士ガンダムRSD 第15話 戦場への帰還

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 シグマン少佐は、自分がつまらない人間じゃないかといつも疑っておりハイマン軍曹のリアクションが逐一気になっていた。
「そうですよ」
 ハイマン軍曹は、自信を持って断言した。
「そうか。
俺は、こうして何でもない道を一番大好きな彼女と歩いてるだけで楽しいぞ」
 2人が歩いてる場所は、都会ならどこでも見られる一般的な道と風景が広がっている。
しかしシグマン少佐にとってみればそんな場所も彼女という特別な存在だけで鮮やかに彩られる。
その言葉にハイマン軍曹は、照れ笑いをした。
言った本人も改めて考えるととても恥ずかしいことを言ったため照れ笑いをした。
「まっすぐ帰っちゃうのもつまらないな」
 シグマン少佐は、困っていた。
ここからどこかへ行くにも帰還指定時間を過ぎてしまう。
「どうも、こんばんは」
 そこに一般人が近くを通ったがなぜかハイマン軍曹と面識があるようだ。
「前にアクシズに引っ越した前のうちのお向かいさん」
 ハイマン軍曹は、先の人を紹介した。
「ステファニーは、顔が広いな」
 シグマン少佐は、知り合いが多いハイマン軍曹を羨ましがった。
「たまたまですよ。
いつもは、知り合いに会うなんてありませんから」
 ハイマン軍曹が訂正した。
(しかしこんなにドッグの近くまで来てから今からどこかに行くのも)
 シグマン少佐は、何かいい案はないかと必死に頭を回転させた。
「そういえばドックの近くに公園があったな。
公園にでも行こうか?」
 シグマン少佐は、ドッグ近くにある公園に行こうとハイマン軍曹を誘った。
「はい、行きましょう」
 ハイマン軍曹も異論は、なかった。
「何か懐かしいですね」
 公園に入るなりハイマン軍曹は、興奮しながら言った。
「お前は、ここの出身じゃないだろ?」
 ハイマン軍曹の出身は、18バンチコロニーだった。
「公園の遊具なんてどこも同じですから記憶が蘇ったんです」
 ハイマン軍曹は、言った理由を述べた。
「見てください。
鉄棒があんなに小さいですよ。
あれでは、回るのが大変ですね」
 ハイマン軍曹は、鉄棒を見てその小ささに驚いた。
「鉄棒ってあんなに小さかったかな?」
 シグマン少佐も自分の記憶を思い返してみた。
「ステファニー、記念に逆上がりをしてみたらどうだ?」
 しかし記憶は、はるかかなたに過ぎ去ってしまったのか思い出せなかったためシグマン少佐はハイマン軍曹をからかうことにした。
「ご、ごめんなさい。
私は、逆上がりが出来ないんです」
 ハイマン軍曹は、申し訳なさそうに謝罪した。
「普通は、『あんな小さい鉄棒では、回れない』とか言うもんだろ」
 シグマン少佐は、そんなハイマン軍曹の姿に良心が痛められながら一般的なかえしを言った。
「そうですね」
 ハイマン軍曹は、そういうと恥ずかしそうに笑った。
それからしばらく2人は、公園にまつわる想い出を語り合った。

                 ※

 アスラン中将は、艦長室に着くとタリア艦長にギルバート大統領直々の命令書と小物入れを渡した。
艦長室には、アーサー副艦長もいた。
タリア艦長は、命令書を一瞥すると小物入れの蓋をあけた。
そこには、フェイスのバッジが入っていた。
「貴方を前線に戻し最新鋭の機体を与えてこの艦に寄こし私までフェイスに?」
 そこで初めてアスラン中将は、小物入れの中身がフェイスのバッジであることに気付いた。
「一体何を考えてるのかしらね。
大統領は。
それに貴方も」
 タリア艦長は、アスラン中将とギルバート大統領の考えていることが全く分からなかった。
「申し訳ありません」
 思わずアスラン中将は、謝ってしまった。
「別に謝る事じゃないけど。
それで?
この命令内容を貴方は、知ってる?」
 タリア艦長は、アスラン中将に命令内容を知ってるかどうか聞いた。
「いえ、私は聞かされておりません」
 アスラン中将は、はっきり答えた。
「そう。
なかなか面白い内容よ」
 タリア艦長は、もったいぶるように言った。
その発言にアーサー副艦長が興味を持った。
「ファントムペインは、出撃可能になり次第スエズ基地周辺の海域にて敵の攻略部隊増援を阻止せよ」
 タリア艦長は、少し間を開けてからゆっくり作戦内容を言った。
「敵の増援部隊の阻止ですか?
我々が?」
 その作戦内容にアーサー副艦長が驚いた。
「ユーラシア西側の紛争もあって今一番ゴタゴタしてる所よ。
確かにスエズ基地は、アーティ・ジブラルタル基地攻略のための重要拠点だけど。
何も私達が行かされるようなものでもないと思うわね」
 タリア艦長は、地球地図を空中に映し出すと困ったように言った。
「ですよね。
ミネルバは、地上艦じゃないですし。
一体また何で?」
 アーサー副艦長は、この任務に自分たちが選ばれた理由が分からなかった。
「ユーラシア西側の紛争というのは?」
 アスラン中将の質問にタリア艦長は、少々鋭いまなざしでアスラン中将を見た。
「すみません。
まだいろいろと解っておりません」
 アスラン中将は、自分の無知を謝った。
「常に大西洋連邦に同調しと言うか言いなりにされている感のあるユーラシアから一部の地域が分離独立を叫んで揉めだしたのよ。
つい最近の事よ。
知らなくても無理ないわ」
 そういうとタリア艦長は、地球軍兵士が民間人に自動小銃やストライクダガーなどの武力で制圧する画像を空中に映し見せた。
アスラン中将は、その行為に心を痛めた。
「開戦の頃からですよね?」
 アーサー副艦長がこれが行われた時期を確認した。
「ええ」
 タリア艦長も肯定した。
「確かにずっと火種はありましたが」
 アスラン中将もパトリック・ザラの息子であるためユーラシア連邦の話は、時々耳にする。
その中に確かにユーラシア西側で大きなデモが行われているというのを聞いたことがある。
「開戦で一気に火がついたのね。
徴兵されたり制限されたり。
そんなことは、もうごめんだと言うのが抵抗してる地域の住民の言い分よ。
それをユーラシア連邦側は、力で制圧しようとしかなり酷いことになってるみたいね」
 タリア艦長が現状を説明した。
アスラン中将は、1人の人間としてユーラシア連邦のやり方に憤慨していた。
「そこを護れということでしょ?
つまり」
 タリア艦長がこの任務がどういう重さを含んでいるのか説明した。
アスラン中将とアーサー副艦長は、やっとその任務の重さがわかった。
「コロニー軍の戦いは、あくまでも積極的自衛権の行使である。
コロニー連邦共和国に領土的野心は、ない。
そう言ってる以上下手に介入は、出来ないでしょうけど。
護らなくては、ならないのはそういう場所よ。
しかもフェイスである私達二人が。
覚えていてね」
 タリア艦長が2人にくぎを刺した。
「は」
 アーサー副艦長は、敬礼で答えた。
「はい」
 アスラン中将は、口頭だけで答えた。

            ※

 リーン・ホースJr.の艦内では、テリー大尉とジーン中尉いがまた話をしていた。
「今度は、私に爪を切らせてください」
 唐突にジーン中尉がテリー大尉にお願いした。
「ジーンが爪を切ってくれるのか?
それじゃあお願いしようかな」