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伝説の超ニート トロもず
伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:Ruineme Inquitach 記録015

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「あのなぁ、これは一過性のものなんだよ。ちょっとしたきっかけで長らく忘れてたものを思い出しちまっただけだ。あんたらに憐れみの視線を投げられるいわれはねぇ」

「ああ。まぁ、そりゃごもっともだ。・・ひょっとしてカズモトさんと何か相談してたのはこれを見越してのことだったのか?」

「半分はな・・・。もう半分は彼の望みだ。俺の心を分析して、研究してみたいらしい。本当に研究者ってのは変人しかいないんだな・・人のこと言えないけど・・・。
・・・・ざっけんな、くたばれ!!死ね!!」

ソロは言葉を切って顔を上げた瞬間、突然“彼ら”の言語で恐らく罵倒語と思われる言葉を大声で喚き立て始めた。
博士二人は何事かと目を丸くする。

直後腕を振り上げ、遠くの壁に向かって青白い閃光のようなものを放った。・・電撃魔法だ。
幸いあまり力を入れていなかったらしく、周囲の床と壁が黒焦げになって崩れた程度だった。

「おいおい何やってんだ!正気か!?花火大会なら外でやってくれ!」

「・・ミック、今そこに誰かいたか?」

「・・はぁ?」

「いや、何でもない。・・何でもない」

「・・・ランディ、やめてくれよ。お前までリラックスのし過ぎで――」

「そうじゃなくて、今一瞬・・・たぶん俺の脳が本当に一瞬だけ奴のクリアの影響範囲内に入ったんだと思う。痛みを感じた。・・はっきりわかったぜ、ありゃMYRの症状とクリソツだ」

ベクスター博士がソロを振り返る。
何を言っているのかはまったくわからないが、見たところ目の前にいる誰かと口論しているらしい。
・・頭を掻きながらため息をつき、クロウ博士も彼を見る。

「・・・薬剤の過剰摂取?」

「いや、感情が大きく動いて、クリアの情報認識能力を超えてオーバーフローするとああなるんだとさ。何があったのかは知らねえが。それを少しでも抑えるためにあんな無茶をしてたんだが、どうも間に合わなかったらしい」

「ほー。・・カズモトさん呼ぶ?」

「こんな時間にか?迷惑だろ」

「それもそうか。・・・おーい、聞こえるか?もしもーし。ハロー?」

「聞こえてるぞ!わかってるもううんざりだ。全く・・・神経回路ごとリニューアルした方がよさそうだぜ、畜生め。いつまで追いかけ回すつもりだ!いい加減にしないと・・うっせえ、マジで殺すぞ!だいたい人違いなんだってことがわからないかド低能め、そんなだから・・・―ああくそっ。後ろの奴らがうるさい・・・。クソ丁寧にちゃんと脚本の仕様まで変えてやがる。本当にありがたいね、そんなにまでしてやっつけたいかこの俺を。作り直したんだからこういう部分はリセットさせろってんだ。はいはいありがとうございますどうも・・・どうでもいいけど、いい加減可哀想な自分に陶酔しすぎなんじゃないのか?もう十分で腹一杯だ。いつまでもやってろ。犬みたいに同じところをぐるぐる廻ってるがいい。それともただの嫌がらせか?ならお生憎様、こっちは調子が戻りさえすればてめえなんぞとは永遠に関わりなくやっていけるんだ残念だったな。
・・俺の・・・いや彼の育ての母親はよくあいつに言ったんだよ、何があってもずっとここにいてくれってまるでまじないみたいに毎日のように言って聞かせてた。無駄にデカい六本脚のクソバカ畜生がどれだけ街を踏み散らかそうと、実際問題全てが滅びさえしなければ俺達に関係はないんだよなあー。なんで奴がそうまでしてどうしても自分の人生をぶっ潰そうと志したのかなんて俺には理解する義務も意欲もないわけで、ふうぅ、それもこれもとりあえずはレックのためだ・・・顎が外れそう。ふふふふふふ」

「ダメだな、これ。もう遅いわ」

「ああ、ダメだ。精神安定剤じゃ間に合わねえ。カズモトさん起こそう」
――――――――――――――――――
――――――――――――


No.14583 「彼が彼自身について知っている、または知っていない多数の事柄」

以下の個別ファイルは、総合異常心理学の権威であるK・カズモト博士と“ソロ”との、周囲と完全に隔絶された状況での会話をまとめた音声データです。データクリーンナップを推奨します。

ファイル05 “赤、青、赤、青、赤、青、赤、青、赤、青、赤、青、赤、青、赤、青、紫” ― 17分 09秒


K.カズモト博士: ・・前回お話していただいた内容からすると、貴方の言動や挙動の全てはあらかじめフローチャート化してあるものだということになりますが・・・・・とりあえず、何らかの重大な問題が発生したとみてよろしいのでしょうか・・・?

ソロ: そんな大袈裟なもんじゃない、決して。あの二人にも言ったけど一時的なものだ。こうなることは予想済みだし、別段特に問題もないよ

博士: なるほど、やはり予想済みだったんですね。ところで先程からひどく背後を気にしてらっしゃるようですが

ソロ: ああ・・・簡潔に言うと、この前説明したほとんどの他人事が今俺に起きてる。こう言うと一見多大に問題があるように見えるだろうけど。・・俺がやらなきゃならない仕事については何の支障もない。その辺はちゃんと考えてあるんだ。ついでに全部無視しないでいちいち相手をするのも決められてることなんだ

博士: そうなんですか。それがなぜなのかはわかりますか?

ソロ: さあ。特にわかりたくもないし、面倒臭い。つまりは奴にとって俺には知らせたくないことなんだろう。どうしてもって言うなら検索してみてもいいが・・・ああ、そう。物好きだな。
・・・(30秒ほど沈黙)・・・駄目だ、弾かれる。何らかの理由でこういう状態の俺をあんたたちに見せとかないといけないそうだが、その何らかの理由がわからねえ。申し訳ないな。いつもこうなんだよ・・・肝心のことは何もわからせてくれない。所詮俺は操り人形のレプリカでしかない

博士: ・・・・・。・・・メモリチップの中身は、先日拝見させていただきました。個人的な感想を述べるのは控えさせてもらおうと思ってます。貴方と、この記憶の持ち主である彼とは、貴方の言う通り別人なのですね。・・・彼が貴方を躊躇いなく捨て駒として利用できるのも、彼の極端な自己犠牲的発想ゆえですか。同じだが違う、違うが同じ存在。私には・・・そうですね、すみません。誤解を恐れずに言うのなら、彼はひどく身勝手で自己中心的であるように思えます

ソロ: ・・かもな。だがもう奴にはそれしか縋るものがなかった・・・いや、初めから縋るものなどなかったんだ。今の俺にはわかるんだ。・・神の命に従い、世界のために全てをかけて成し遂げたことが台無しにされる。それをやったのは誰あろう、神だ。今まで何のために苦しんで生きてきたのか、自分は何のために生まれてきたのか・・もう何もわからなくなったんだろう

博士: ・・縋るべきもの、信じるべきものに裏切られたということですか