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伝説の超ニート トロもず
伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:Ruineme Inquitach 記録015

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「・・・そうかもな、でも・・頼むからあんまり無理はすんなよ。ソロだってお前にあんまり辛い思いさせたくないって言ってたし。あと・・俺らのこと気遣ってくれるのは嬉しいけど、無理やり平気そうにしてなくたっていいからな」

思いがけない言葉に、レックははっとした。・・・エックスはどこか申し訳なさそうに、頭を掻きながら続ける。

「いや、俺が気にし過ぎなのかもわかんねえけど。・・なんか・・・俺らと喋ってる時とそうじゃない時のギャップがさ、見てる方が不安になってくるっつうか。話しかけたら今までと同じように明るい感じで元気そうだけど、話すのやめた瞬間怖いぐらい無表情になってずうっと一点を見てるんだぜ。銅像みたいにさ。お前自分で気付いてないだろ?」

「・・・・・・・・・・・」

・・演技をしているつもりなどなかった。気を遣って無理やり笑顔を作っているつもりもなかった。
全て無意識だった。・・・少なくともみんなといる時はそれほど辛くはなかったし、自分がどのように見えているかなど気にしたことはない。だが他人の口から文章で聞くと、周りから見えている自分の様子がいかに尋常でないかイメージするのは容易だった。

「・・・ほんの少し前までのソロに・・そっくりなんだよ。お前も気になってたろ?微動だにしないで、ぼんやりした無表情で、ずっと明後日の方向を見つめてた。・・ソロがそれをやらなくなった途端、今度はお前が似たような状態になったんだ。
・・・・今このことをお前に言っても焦らせるだけなのかも知れないけど・・・無理はすんなってことだけ、伝えたかったんだ」

・・・レックが黙り込んでしまったのを見て、エックスはばつが悪そうに視線を揺らした。そしてそっとベッドから立ち上がる。

「ごめん、プレッシャーかけるようなこと言って。・・俺もう戻るから。お前はまだゆっくり休んでた方がいいよ」

そしてレックに背を向け、ドアのモニターに手を翳そうとしたが。
 
「エックス」

背後から声がかかり、手を止めた。

「・・ん?」

「・・・ソロは・・・他に何か言ってなかったか」

思い当たることがあるのか、エックスは少し表情を強張らせて腕を下ろした。・・・答えようか迷い、少しの間悩んでから口を開く。

「・・・・・・・お前が、自分を捨ててソロを救おうとしてるってことか?」

「・・やっぱり、そこまで説明したのか・・・。じゃあ、今のあいつが今までのあいつとは“別人”なんだってことも、知ってるんだな?」

「・・・・ああ。ソロが自分の分身を新しく作ったってことも教えてもらった。そのせいでお前が半端じゃないダメージを被ったってことも。・・今のソロがどういう理屈で動いて、お前に何をさせようとしてるのかも、全部」

「・・・・・・・。・・・・そっか・・・・・」

・・・エックスはまた少し悩んだ後、踵を返してレックの方に向き直った。

「・・・ソロは何もかも知ってるんだろ?あいつが感情を取り戻した結果お前がどうなるのかも。それを全部わかった上で、・・・お前を利用して犠牲にするのを承知の上で頼んだんだろ?」

「いや、それは違う。オレが自分から申し出たんだ」

「だとしても・・・だとしても、・・わかんねえよ。だってソロは・・・助けたい人のために過剰なぐらい自分を犠牲にする奴だった。なのに今のあいつは自分のために他者を、お前を犠牲にしようとしてる。なあ、お前は納得してるのか?今のあいつがソロだって信じられるか?・・俺はできないよ」

「・・・・・エックス・・・違うんだ、あいつは・・・」

「俺にはあいつがソロだと思えない。感じられないんだ、人間らしさが。自分が誰かを助けるために他の誰かを犠牲にするだなんて、そんなの矛盾してる。ソロが考えることとは思えない!
・・きっと、あいつ自身耐えられなくなって、本当に成すべきことが何なのか・・・見失ってしまったんだ。なあ・・・お前だって薄々は気付いてるんだろ・・・・?」

・・・・・。・・・知らなかった。エックスがこんなに勘の鋭い奴だったなんて。

「・・・・・・・・・・・でも・・・オレはソロにとって最後の望みなんだ。自分が今まで生きてきた意味がなくなるのは嫌だって、そう言ってた。今まで何度もあいつの苦しみを見てきた。・・オレだけがあいつを助けてやれるんだ。オレが自分でそう思って、自分であいつの感情を取り戻すって決めたんだ」

「・・・レック・・・わかってるのか?ソロを助けられなかったことへの償いには確かになるのかも知れない・・・でもよ。もう何をしたって、ソロは戻っては来ないんだ。ソロはもういないんだよ。それにあいつは、お前が自分を犠牲にしてまで罪滅ぼしをするなんてことは望んじゃいない!お前は自分だけがソロを助けられるという幻想に取り憑かれてるだけなんだよ!」

「・・・・・エックス?・・何言って・・・」

・・・何だ、これ。何かおかしい。話が妙な方向に曲がってる。エックスはここまで異常に物分かりのいい人間だっただろうか。そもそもソロがエックス一人にここまで詳しい説明をするだろうか?
何か・・・・・・違和感が・・・・・

「自分でわかってるはずだ、こんなことしてもソロは救われないしお前の心が壊れるだけだ!目を覚ませレック!もうお前の知ってるソロは帰って来ないんだ!!」




「レック、しっかりしろ!誰と話してるんだよ!?なあってば!」

ひどい眩暈がレックを襲った。何かを大きな声で喋っているエックスの声が二重に聞こえる。

・・頭が重い。

「・・・・・知ってる・・・そうだけど・・・・だけど・・・・・・オレ・・・は」

「レック!」

「・・・・・・・・・。・・・・・何、どうした?」

ふと、眩暈が嘘だったかのように消えた。何だか頭の中がすっきりしている。

「ど・・どうしたじゃねえよ・・・一体誰と何の話をしてたんだ?」

「・・・何言ってんだよ。もう・・・ソロは戻って来ないって・・・オレはただ、自分で言い訳を探すためだけにソロの感情を取り戻そうとしてるって言いたいんだろ。それは・・確かにお前の言う通りだけどさ。でもこれはみんなを守るためにも必要なことなんだよ。今のあいつはソロじゃないけど・・・これで少しずつなら自分を騙せていけそうなんだ」

「・・・何の話だよ?ソロじゃない?・・・戻って来ない・・・?」

「・・・・・どうしたんだよ、いきなり。ソロに説明されたんだろ?」

「・・何の説明だよ。何も説明なんてされてないよ。お前が精神的に参っちまってるってこと以外何も知らされてない!
・・・・なあ、頼むからもう休んでくれ・・・俺が余計なこと言ったのが悪かったんだ。ごめん。もう一回くらいなら注射打っても大丈夫だから」

エックスはどこか切羽詰まったような口調と表情で、デスクに置いてある注射器を手に取ってレックに近付いた。

「・・・え?いいって、平気だよ。さっきまで寝てたんだしさ」

「いいから腕出して。・・・・・・・ソロがさ、言ってたろ。もうしばらくは魔物も出てこないから、自由にしてていいって。俺もこっちに来るし、たまにはみんなとも一緒に喋ろう。それ以外の時はなるべくゆったり休んでればいい」