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しょうきち
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novelistID. 58099
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比翼の鳥は囀りて

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 近い内に、というあまりにもぼやけた話で終わらせていたが、水の曜日にアンジェリークから桜色の封筒が届いた。

────次の金の曜日の朝、ご都合いかがですか。 アンジェリーク

 中のカードにはたったそれだけ書かれていた。彼女らしい柔らかで繊細な筆跡。
 ふと鼻先を爽やかな香りがかすめた。
 よく見ると署名の横に切れ込みがあり、何かが差し込まれていた。
「文香ですか。いい香りですねえ」
 大切にそっとカードを戻し入れ、封筒を引き出しにしまい込んだ。
 そしてすぐに返事を書く。

────次の金の曜日の朝ですね、楽しみにしています。 
          追伸 素敵な香りをありがとうございます。 ルヴァ

 アンジェリークの真似をして、封筒にカードを入れた。
 自分も何か入れられないかと辺りを見回して、小さな折鶴を作り一羽しのばせてみる。

 しっかり封をして侍従に手渡し、ルヴァはその日一日中機嫌良く過ごしたのだった。


作品名:比翼の鳥は囀りて 作家名:しょうきち