比翼の鳥は囀りて
近い内に、というあまりにもぼやけた話で終わらせていたが、水の曜日にアンジェリークから桜色の封筒が届いた。
────次の金の曜日の朝、ご都合いかがですか。 アンジェリーク
中のカードにはたったそれだけ書かれていた。彼女らしい柔らかで繊細な筆跡。
ふと鼻先を爽やかな香りがかすめた。
よく見ると署名の横に切れ込みがあり、何かが差し込まれていた。
「文香ですか。いい香りですねえ」
大切にそっとカードを戻し入れ、封筒を引き出しにしまい込んだ。
そしてすぐに返事を書く。
────次の金の曜日の朝ですね、楽しみにしています。
追伸 素敵な香りをありがとうございます。 ルヴァ
アンジェリークの真似をして、封筒にカードを入れた。
自分も何か入れられないかと辺りを見回して、小さな折鶴を作り一羽しのばせてみる。
しっかり封をして侍従に手渡し、ルヴァはその日一日中機嫌良く過ごしたのだった。