あの人へのHappy Birthday
そして翌朝。
早くに目覚めたアンジェリークがそっと頭を持ち上げると、その下に伸びていたルヴァの腕がするりと引っ込められた。
(腕、痺れちゃってたかな……ごめんなさい)
ターバンのない青緑の髪に、そっと手を伸ばす。
(ちょっとだけ、硬い髪ね。……こうして見るとルヴァってすごーく男の人って感じがする)
普段は守護聖たちの中でもそれ程男っぽい印象は持っていなかった。
だが今は、その情熱や強引さを知った。
穏やかな物腰やのんびりとした話し方の内側に、秘められた原初の熱があることを、知った。
「愛してるわ、ルヴァ……お誕生日、おめでとう」
昨夜散々翻弄された少々意地悪な唇へ、たくさんの愛と感謝を込めて。
「ん〜……」
目を閉じたままのルヴァの腕が、アンジェリークの体を引き寄せる。
その腕に包まれながら少しざらついたルヴァの顎にも口付けて……彼の肩が冷えないようにとシーツを引き上げた。
(おはようは、またあとで……もうちょっとだけ、こうしてよっと)
ルヴァの温かな胸に頬を寄せて、アンジェリークは再びとろとろと眠りの中へと誘われていった。
作品名:あの人へのHappy Birthday 作家名:しょうきち