機動戦士ガンダムRSD 第16話 インド洋の死闘
カムイ中隊も敵が帰艦したので帰還し始めた。
※
島の影に隠れていたミネルバとガーティー・ルーが合流地点を目指して動き始めた。
※
それは、α艦隊でも確認できた。
「4時の方向にボギー1とボギー2です」
ヘルマン中尉が敵艦発見の報告をした。
その報告にマーカー艦長とミハイル副艦長が驚いた。
「さらに地球軍潜水艦1隻も確認できました。
ボズゴロフ級です」
さらに潜水艦の艦種と敵の数を報告した。
※
敵ガンダム部隊が撤退した。
サイジョウ元帥は、戦場近くにあるスマトラ島を見ていた。
サオトメにも潜水艦発見の報告が来た。
「敵をあまり倒せてないのは、癪に障るな」
そういうと僚機に通信を開いた。
「レール・キャノンを貸してくれ」
サオトメは、僚機にお願いした。
「了解」
サオトメは、僚機からレール・キャノンを受け取ると潜水艦がいる座標に向けレール・キャノンを2発撃った。
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それは、ニーラゴンゴでも確認できた。
「高エネルギー体、接近。
距離200」
オペレーターが悲鳴のように報告した。
「取り舵いっぱい。
機関最大。
躱せ」
艦長が即座に命令した。
「駄目です。
間に合いません」
オペレーターが戦慄しながら報告した。
弾は、ニーラゴンゴに命中した。
船内には、大量の海水が浸水し乗員を流した。
ニーラゴンゴは、ゆっくりと沈んでいった。
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サオトメは、とどめに4発のミサイルを撃った。
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ミサイルも命中しニーラゴンゴは、爆沈した。
その爆発に救援に駆けつけようとしたアビスガンダムも吹き飛ばした。
海面には、巨大な水柱があがった。
ミネルバのブリッジでは、皆がナチュラルへの敵愾心を増していた。
水柱が消えるとそこには、ニーラゴンゴの部品が浮いていた。
アスラン中将は、その光景を上空からやりきれない気持ちで見ていた。
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サオトメは、レール・キャノンを僚機にかえすとガンダムサイガー改に通信を開いた。
「2隻だけであれだけの機体は、搭載できないでしょう」
サオトメは、ボギー1とボギー2の搭載数を知らないがあれだけの搭載数はないだろうと考ええていた。
「そうだな。
あの黒色ガンダムがスマトラ島から俺を引き離したのも気になる」
サイジョウ元帥も同じ考えだった。
サオトメは、スマトラ島を見た。
「まさかあそこに建設中の基地があるのでは?」
サオトメは、自分の考えを述べた。
「可能性は、あるな」
サイジョウ元帥も異論は、言えなかった。
「偵察してみましょう。
私が帰還したらR型でスマトラ島を偵察してみます」
サオトメは、偵察の任を買って出た。
「分かった」
サイジョウ元帥も許可を出した。
帰還したガンダムサイガーMk-2は、推進剤の補給のみ受けR型に換装され再出撃をしようとしていた。
「アツシ・サオトメ、ガンダムサイガーMk-2出る」
サオトメは、スマトラ島に向け発進した。
あくまでサオトメは、偵察が主任務であり基地の掃討にはガイヤス・ギヤ分隊が行われる手はずだった。
※
それは、インド洋前線基地司令官も気付いた。
「対空砲急げ。
ロアノークの奴、何をやっているか」
司令官は、ネオ大佐の不祥事に愚痴を言った。
基地では、けたたましくサイレンが鳴り続けていた。
迎撃にソードストライカーパック改に換装したダガーL小隊がグゥルに載って発進準備を行ったり50mmガトリング砲の銃座に配備していたりした。
それに監視役の兵士が気付き持ち場を離れた。
強制労働者たちは、この時とばかりに逃げ出した。
「あなた」
「早くこっちへ。
逃げて」
基地の周りは、堀と有刺鉄線で囲まれていた。
村側の有刺鉄線では、残された家族が異常事態に近づいていた。
基地側の有刺鉄線の一部には、大人1人分が通れる穴が所々開いておりそこから次々と強制労働たちは脱出した。
※
ガンダムサイガーMk-2に向け地対空75mmバルカン砲塔システムが発射されたが回避した。
「地対空バルカンか」
サオトメは、周辺を拡大した。
すると前方に建設中の基地があった。
「建設中の基地?
やはり。
この規模だとトリントン基地攻略のための前線基地といったところか」
サオトメは、この基地の使い方を推測した。
※
強制労働たちは、なおも脱出を繰り返していた。
※
それは、サオトメも気づいた。
「なるほど。
不足していた労働者を現地住民から強制徴兵したから気付けなかったのか」
サオトメは、基地建設に気付けなかった理由がわかった。
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強制労働たちの脱出に気付いた監視兵は、脱出した強制労働たちに向け自動小銃で撃ち殺した。
家族たちは、悲鳴を上げ目を覆った。
※
それは、サオトメも気づいた。
「口封じかな?」
サオトメは、脱出した強制労働たちを殺した理由を推測した。
「サオトメ、今ガイヤス・ギヤ分隊がショットランサーを持って発進した」
その時リーン・ホースJr.から通信が入った。
「了解」
サオトメは、もう少しで帰還しようと考えていた。
その時ダガーL小隊がグゥルに載って発進した。
3機は、76mm重突撃機銃を装備し撃ってきた。
その時後方から実弾攻撃が飛来しダガーL小隊を全滅させた。
それは、ガイヤス・ギヤ分隊だった。
「これより帰艦する」
サオトメは、自分の役目が終わったと感じ帰艦し始めた。
ガイヤス・ギヤ分隊は、地上に着地するとショットランサーのマシンガンで地対空75mmバルカン砲塔システムを破壊した。
さらに基地に侵入すると施設に向けマシンガンを撃ち徹底的に破壊した。
その爆風で逃げる地球軍兵士たちが巻き込まれ戦死した。
さらにビームサーベルも駆使して徹底的に破壊した。
そして破壊には、四肢も使った。
「これぐらいだな。
この基地は、二度と使えまい」
パイロットは、そう判断するとガイヤス・ギヤを有刺鉄線に近づけた。
そして2か所の有刺鉄線をマニピュレーターで引き抜き壊した。
強制労働たちと残された家族は、再会を喜びあった。
僚機のパイロットもその光景を温かく見ていた。
※
ミネルバのモビルスーツデッキでは、アスラン中将がネオ大佐に鉄拳制裁を行った。
「弁解の余地もありません。
しかし間違った判断とは、思えません。
作品名:機動戦士ガンダムRSD 第16話 インド洋の死闘 作家名:久世秀一