五人の力、一人の『武器』
また星が減ったな…。
五つ目のスターピースも無事手に入り、次の目的地を目指す道中。
辺りが暗くなり今日はここで野宿することに…ピーチ姫がいる手前、マリオはそれを避けるためにどうしても宿を探したかったようだったけど。
そしてだいぶ夜も更けてきた頃、ボクはいつものように夜空を見上げる。
あの日から、星は生まれなくなり、スターロードという制御を失い、星は望まぬ時に地上に降るようになった。
だから夜空からは星の輝きがどんどん失われる。
ボクの力とは対照的に。
「……。
昼間の戦闘を思い出して、ボクは自身の…いや、『ジーノ』の手を見つめる。
大群で現れたモンスターを前に、いつものように戦おうとするマリオ達を止めたボクは、取り戻したスターピースの力によって新たな技を使った。
ボクの放った光の柱による攻撃でモンスターは一掃された。
それを見たマリオはボクの新しい技を強いと褒めてくれた。
それはすごく嬉しかったんだけど…。
カチャン
腕を変形させて今の武器を構える。
それは、この人形の持ち主からもらった時から全く別の物になっている。
このカラダにはあの子の『想い』が込められている。
『ジーノはこんなふうに戦うんだ!
『ジーノはこういう必殺技を使えるんだ!
『ジーノの武器にはこういうのもあるんだ!
ボクはその想いの分だけ強くなる。
あの子が望む『ジーノ』というヒーローに近付く。
それは集めたスターピースの力によるものだ。
スターピースが集まれば、その力によって人形に込められたあの子の想いを実現させるカラダになる。
あの子が渡してくれた武器も、元は人形の大きさだったのをその力で今のカラダに合わせるようにしたんだ。
そして今ではそれは『ハンドガン』に形を変えている。
今日覚えた技もそれと同じで、あの子の想いを叶えた結果使えるようになった。
だけどボクは不安だった。
それはボク自身が一つの『武器』として強化されているのではと考えてしまうからだ。
子供が考えたヒーローとはいえ、その力はマリオ達の持つ力とは全く質が異なる。
この世界とは異なる力、何か間違いが起きた時、ボクの力は脅威になりうるのではないか。
現にこのカラダはマリオを傷付けている、それがいつもボクの中に居座り続けている。
あの時のこと、マリオはどう思っているのだろうか?
実際に『ボク』が攻撃したわけではないのだけど、それは今の『ボクのカラダ』と同じであることは事実だった。
やはり、ボクは
「この世界では…異端なのだろうか……。
作品名:五人の力、一人の『武器』 作家名:KeI