二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

五人の力、一人の『武器』

INDEX|4ページ/6ページ|

次のページ前のページ
 

「マロや。がんばってお星様を探しておいで!
「はい、パパ!ママ!

ぼくのパパとママとこうやって再会できて本当によかったです。
冒険はすごくハラハラドキドキで、何度も弱音を吐いてしまったけど、マリオさんや他のみなさんはとても優しくて、そんな弱虫なぼくでも自分の願いを…パパとママの願いも叶えることができました。
だけど、ぼくはパパとママに見送られて旅立つ準備をしています。
なぜならまだカジオー達がこの世界を荒らしているから、スターピースがあと二つ見つかっていないから。
ぼくとこのマシュマロの国に平和が戻っても、世界が平和でなければ意味がないでしょう?
だからぼくはまだマリオさん達と一緒に旅に出るというわけなんです。
パパとママの部屋からマリオさん達の待つところに向かう途中、ぼくはたくさんの従者の人達に会いました。

「お帰りなさい、マロ王子!
「この度はありがとうございました!
「マロ王子は我が王国の誇りです!

なんだかまだ王子っていう実感が湧かないけど、自信を持ってその方達にはあいさつができました。
ふと、ぼくは疑問に思いました。

この国の人達は戦うことができるのでしょうか?

マシュマロの国の人達は、見た目通りフワフワふかふかなので穏やかな性格だと思うのですが。
マルガリータが国を支配する時、誰も抵抗しなかったのでしょうか?
パパやママはあの女と戦うことをしなかったのでしょうか?
それとも戦える人達はみんなマルガリータに追い出されていなくなってしまったのでしょうか?
確かに、ぼくだってマリオさんと出会ってカエル仙人のおじいちゃんから言われるまで、ちょっとした魔法は使えてもそれを戦うことに利用するなんて考えたこともないくらい、冒険や戦いとは無縁に生活していました。
ぼく達のようなマシュマロの人達は、本当は戦うことをしない人なのかもしれません。
そんなぼくが、
冒険にも慣れっこなスーパーヒーロー・マリオさんや
泣く子も黙る大魔王・クッパさんや
願いの叶う世界のために戦うジーノさんと
同じくらい戦闘で活躍しようだなんてムリなんでしょうね。
いつもマリオさんは『気にしなくていいよ』と言ってくれますが、ぼくだって男の子です。
みなさんに守られてばかり、後手に回ってばかりなのはやっぱりイヤです。
でも、ぼくの家がこのマシュマロの国だってことを知ったら、急にぼくの力の小ささが現実としてわかった気がしました。

ぼくは足を止めて、荷物の中に入っている唯一の武器を取り出しました。
おじいちゃんが譲ってくれた、ケロケロの杖。
おじいちゃんは、ぼくくらいの年の頃に使っていたと言ってましたが、きっと戦うために使っていたわけじゃないのでしょう。
ぼくの周りは全然戦える人がいないのに、ぼくだけが戦える。
でもその力も本当の戦いになったらずっと小さい。
きっとこの後向かう火山のモンスターも手強いやつが多いはずです。
最後はカジオーも倒さなくてはいけないのに、こんなぼくがマリオさん達について行っていいのでしょうか。

泣かない。
泣かないと決めたけど、
ぼくの気持ちは泣きたくなるくらいの曇り空みたいでした。
作品名:五人の力、一人の『武器』 作家名:KeI